はじめまして、編集部のラウールです。
移動平均線は、株価の変動傾向をみるうえで有用なテクニカル指標の一つです。
しかし、実際にどういうロジックなのかを理解している人は意外に少ないと思います。
そこでこの記事では、移動平均線を使ったトレードのみかたや、基本的な使いかたをわかりやすく丁寧に解説していきます。
ぜひ、投資をするうえで、移動平均線の使いかたをマスターしてください。
移動平均線とは
【ある一定期間の価格から平均値を計算した、折れ線グラフ】
移動平均線はトレンドの方向性を判断する上で重要な指標です。
移動平均線が上昇トレンドの場合は、短期の値動きを除去しつつ、長期的な上昇トレンドをあらわしています。逆に、移動平均線が下落トレンドの場合は、長期的に下落傾向を示唆しています。
移動平均線は、相場のトレンドを一目で読み取れるため、初心者にも扱いやすいテクニカル指標です。
移動平均線を見る方法
移動平均線のだしかたは、以下の手順を使いましょう。
- 見たい移動平均の期間を決める
- 求めたい期間のもっとも古い値から直近の値までの平均値を求める
- 算出された値をグラフにして線で結ぶ
移動平均線は、相場のトレンドや価格の方向性を見る際の参考です。
移動平均線が株価の推移に対してどの役目を果たしているのかも気にしておくとよいでしょう。
移動平均線の使いかた:株式投資での活用法
ここでは、具体的な株の売買をするタイミング、移動平均線の使いかたを解説します。
- ゴールデンクロスとデッドクロス:売買のサインを見る方法
- 移動平均線の期間設定方法
1つずつ解説します。
ゴールデンクロスとデッドクロス:売買のサインを見る方法
「ゴールデンクロス」「デッドクロス」は、移動平均線における売買サインを指します。
「ゴールデンクロス」: 短期移動平均線が長期移動平均線の上から下にクロスした場合、株価の上昇トレンドの兆候とされ、買いのシグナル
「デッドクロス」: 短期移動平均線が長期移動平均線の下から上にクロスした場合、株価の下降トレンドの兆候とされ、売りのシグナル
移動平均線のクロスは、株価のトレンド変化を捉える上で有効な指標とされています。ただし、全てのシグナルが当たるわけではないため、他の技術的分析と合わせて判断しましょう。
移動平均線の期間設定方法
移動平均線の期間設定方法には以下の種類があります。
- 短期移動平均線:5日・10日・14日・15日・20日・21日
- 中期移動平均線:50日・60日・75日
- 長期移動平均線:100日・200日
チャート上に移動平均線を表示するには、取引プラットフォームの設定画面から移動平均線を選択し、期間を設定しましょう。
一般的には短期5日線、長期25日線などが使われます。
株価の短期トレンドを捉えるには5-10日程度、中期トレンドを捉えるには20-60日程度の期間が適しています。
移動平均線の期間設定方法はさまざまありますが、自分の取引スタイルや相場の状況に合わせて期間を設定しましょう。
移動平均線の種類
移動平均線にはいくつかの種類があります。ここでは、主によく使われる3つを解説します。
- 単純移動平均線(SMA)
- 加重移動平均(WMA)
- 指数平滑移動平均(EMA)
1つずつ解説します。
単純移動平均線(SMA)
単純移動平均線(Simple Moving Average)は、一定期間の終値の単純平均を算出し、それを結んでグラフ化した平均線です。
特徴としては以下をみてください。
- 一定期間(n日間)の終値を単純に平均した値をプロットする
- もっともポピュラーで代表的な移動平均線
- 計算がシンプルで分かりやすい
- 期間を短くすると株価変動に敏感に反応する
- 期間が長いと遅れが生じる傾向にある
- 古いデータが残るので直近の変化に鈍感
SMAはシンプルゆえに一般的に使われていますが、新しいデータに対する反応が鈍い欠点があるので注意しましょう。
加重移動平均(WMA)
加重移動平均(Weighted Moving Average)は、移動平均線の一種で、新しいデータに大きな重みを置いて平均を計算する方法です。
特徴としては以下をみてください。
- 最新のデータに重要度と、過去のデータには次第に小さな重要度を付ける
- 新しい情報を反映する速度がSMAより速い
- 計算式は複雑で分かりにくい
- 期間中のデータに重要度がある評価するのでSMAより平らになりやすい
- 期間を同じにした場合、SMAより株価に近い値となる
WMAは新しいデータを重視するため、トレンド変化を敏感に捉えます。しかし計算が複雑なためSMAほど一般的ではないでしょう。
指数平滑移動平均(EMA)
指数平滑移動平均(Exponential Moving Average)は、過去の価格データを一定の期間ごとに平均した、平均値の線です。
特徴としては以下をみてください。
- 最新の株価に大きな重みを置いて計算するため、株価のトレンド変化を敏感に捉える
- 古いデータの影響は徐々に薄れていく
- 一般的には移動平均期間を設定し、その期間の終値の加重平均を取る
- 加重平均の計算において、新しいデータほど重要度が大きくなるよう指数関数が使われる
- EMA線が株価の上昇トレンド下では株価の下方からサポートしてくる
単純移動平均線(SMA)とよく似ていますが、EMAは直近の重要度が評価価格を計算するため、SMAよりも直近の値動きに敏感に反応します。
移動平均線の注意点
移動平均線は、トレンドや相場の勢いを判断するのに一番有名なインジケータ―としてのツールです。使いかたをマスターして、他のテクニカル指標やファンダメンタルズ分析を組み合わせて、総合的に判断しましょう。
しかし、移動平均線を使う際は以下に注意しましょう。
- ダマシのリスク
- 正確に相場を予測できない
移動平均線は直近の価格に比重を置いて算出されているため、相場の変化に素早く反応する特徴があります。
ただし反応が早いだけにダマシが発生するリスクも高いでしょう。
移動平均線は相場の状況をつかむのに役立ちますが、正確に相場を予測できるわけではありません。
あくまでも相場の「過去の動き」を示す平均線であり、未来の値動きを予測する平均線ではないため、注意しましょう。
注意点を理解して正しく活用し、効果的にトレードしましょう。