
From:編集部 小早川
2024年9月27日に自民党総裁選挙が行われ、石破茂氏が総裁に選出されました。
消費税の増税や金融所得税を導入するなどの警戒感があり、翌営業日の9月30日の日経平均株価は2000円近く下落したのは記憶に新しいところでしょう。
今回は、自民党総裁選後の株価の動向について、過去のデータを紐解きながら解説をします。
政治と経済は切っても切れない関係です。特に日本のように自民党が長期政権を担ってきた国では、自民党総裁選の結果が今後の経済政策に大きな影響を与えるため、市場も敏感に反応します。
では、実際のところ、過去の総裁選は株価にどのような影響を与えてきたのでしょうか。
1. 安倍晋三氏の再選(2018年9月20日)
2018年9月20日、安倍晋三氏が石破茂氏を破って自民党総裁に3選されました。この時の株価の動きを見てみましょう。
総裁選当日の日経平均株価は、前日比125円高の23,674円でした。
市場は安倍氏の勝利をほぼ織り込み済みだったようで、大きな変動は見られませんでした。
しかし、その後の1週間で日経平均は約1,000円上昇し、24,000円台を回復しています。
これは、アベノミクスの継続への期待が市場に好感されたためだと考えられます。特に、日銀の黒田東彦総裁との協調体制が維持されることへの安心感が、株価を押し上げる要因となりました。
ただし、この上昇は長くは続きませんでした。10月に入ると、米中貿易摩擦の激化や米長期金利の上昇懸念から、世界的に株安となり、日本市場も影響を受けることになります。
2. 菅義偉氏の就任(2020年9月14日)
2020年9月14日、菅義偉氏が自民党総裁に選出されました。この時の株価の動きはどうだったでしょうか。
総裁選当日の日経平均は、前週末比152円高の23,559円でした。菅氏の勝利は事前に予想されていたこともあり、株価への直接的な影響は限定的でした。
しかし、興味深いのは総裁選後の動きです。菅氏が首相に就任した9月16日以降、日経平均は上昇基調を強め、10月中旬には24,000円台を回復しています。
これは、菅政権がアベノミクスを継承し、さらにデジタル化や規制改革を推進するという方針を打ち出したことが、市場に好感されたためと考えられます。
特に、携帯電話料金の引き下げや、デジタル庁の創設といった具体的な政策が、市場の期待を高めたようです。
ただし、この上昇も長くは続かず、11月に入ると、欧米でのコロナ感染再拡大への懸念から、世界的に株安となりました。
3. 岸田文雄氏の就任(2021年9月29日)
2021年9月29日、岸田文雄氏が自民党総裁に選出されました。この時の株価の動きはどうだったでしょうか。
総裁選当日の日経平均は、前日比7円安の30,183円でした。岸田氏の勝利は予想されていましたが、市場の反応は複雑でした。
総裁選直後の10月1日には、日経平均は大幅に下落し、29,000円台まで落ち込みました。
これは、岸田氏が「新しい資本主義」を掲げ、金融所得課税の強化や富裕層への増税を示唆したことが、市場に警戒感を与えたためと考えられます。
しかし、その後の展開は面白いものでした。10月中旬以降、日経平均は急速に回復し、11月には29年ぶりに30,000円台を回復しています。これは、岸田政権が具体的な経済対策を打ち出したことや、世界的な株高の流れに乗ったことが要因と考えられます。
特に、100兆円規模の経済対策の策定や、GoToトラベルの再開検討といった政策が、市場に好感されました。
ただし、この上昇も長くは続かず、2022年に入ると、インフレ懸念や地政学的リスクの高まりから、世界的に株安となりました。
過去の総裁選から見える4つの特徴
直近の自民党の総裁選挙の株価の影響について解説をしました。
過去の総裁選と株価の関係を調べてみると、3つの特徴があるのがわかります。
「織り込み」の効果
総裁選の結果そのものは、多くの場合事前に予想されているため、当日の株価への影響は限定的です。むしろ、選出された総裁(そして次期首相)の政策方針が明らかになる過程で、市場は徐々に反応していきます。
政策への期待と不安
市場は、新しい政権の経済政策に対して敏感に反応します。成長戦略や経済対策への期待は株価を押し上げる要因となり、増税や規制強化への懸念は株価の下落要因となります。
短期的な影響と長期的な影響の違い
総裁選後の株価の動きは、短期的には新政権への期待や不安を反映しますが、長期的には国内外の経済情勢や地政学的リスクなど、より大きな要因に影響されます。
世界情勢の影響
日本の政治イベントは確かに重要ですが、グローバル化が進んだ現代では、世界的な経済動向や国際情勢の影響も無視できません。
多くの場合、これらの要因が、総裁選の影響を上回ることさえあります。
今後の総裁選で見るべきポイントとは
まず、総裁選の結果そのものよりも、新しい総裁(そして次期首相)の具体的な政策方針に注目することが重要です。
特に、経済成長戦略、財政政策、金融政策などの方向性が、市場の反応を左右する鍵となるでしょう。
次に、総裁選の前後で株価が大きく動く可能性は確かにありますが、その動きが長期的なトレンドになるとは限らないということです。
むしろ、新政権の政策が具体化し、その効果が現れ始める頃から、本格的な株価の動きが始まる可能性が高いでしょう。
また、総裁選の結果に一喜一憂するのではなく、より広い視野で市場を見ることが大切です。
国内政治は確かに重要ですが、世界経済の動向、国際情勢、技術革新の進展など、より大きな要因にも目を向ける必要があります。