From:編集部 黒木
ナスダック指数は世界が最も注目する株式指数の一つといえるでしょう。
ナスダックとはアメリカの取引所のことで、ナスダック取引所に上場している銘柄で構成される指数がナスダック指数です。
テクノロジー業界の最先端技術が集まるアメリカの成長企業が集まるナスダックは投資の指標としても、投資対象としても重要な役割を持ちます。
ナスダックとはそもそもどのような取引所なのか、指数の特徴や構成銘柄などを詳しく解説します。
1.ナスダックとは
ナスダックとはアメリカの株式取引所の名称です。正式名称を「National Association of Securities Dealers Automated Quotations(ナショナル・アソシエーション・セキュリティーズ・ディーラーズ・オートメイティッド・クウォーテーションズ)」といい、頭文字をとり「NASDAQ(ナスダック)」と呼ばれます。
ナスダックは全米証券業協会により運営され、立会場を持たない電子取引専門の証券取引所です。当初は店頭銘柄の取引をおこなうための通知システムであったナスダックは、トレーディングと自動取引の機能を備えることで世界的な株式取引所へと成長しました。
現在では時価総額の大きさが世界2位の取引所となり(1位はニューヨーク証券取引所)、世界を代表する大企業が名を連ねるナスダックですが、もともとは新興企業や成長企業の資金調達をサポートするための市場として創出されています。
そのため、ナスダックに上場する要件は厳しくなく、株式の流通条件などクリアすれば売り上げがない赤字の企業でも上場できます。これから成長する新興企業がナスダックに上場する流れが確立されたことにより、ナスダックは世界のグロース市場を代表する取引所に成長しました。
日本でよく使われるナスダック指数には2種類あります。一つは「ナスダック総合指数」で、ナスダックに上場する全銘柄約3,000の時価総額加重平均を算出した指数です。
もう一つは「ナスダック100指数」で、ナスダックに上場する銘柄のうち時価総額上位100銘柄で構成された指数です。金融関連企業を除きます。ナスダック全体の約80%の時価総額を100銘柄で占めています。
日本から投資をおこなう場合は、ナスダック100指数に連動した商品に投資をおこなうことが多いため、以降の指数はナスダック100を使用して説明します。
2.ナスダック100構成銘柄の特徴
構成業種と比率
業種 | 比率 | 銘柄数 |
テクノロジー | 57.10% | 38 |
一般消費財 | 18.73% | 21 |
ヘルスケア | 7.12% | 14 |
情報・通信 | 5.48% | 4 |
工業 | 4.87% | 9 |
ナスダック100に組み入れられる業種の特徴は、まずテクノロジー関連企業が半分以上と多いことです。ナスダックと言えばハイテク関連銘柄と想像されるのは、構成業種の比率からも裏付けられています。
その他にはヘルスケアに分類されるバイオ関連企業やインターネットに関連する情報・通信関連企業が存在します。
構成銘柄TOP10と比率
銘柄 | 比率 | 概要 |
アップル | 10.82% | iPhoneやiPadを製造する時価総額世界最大企業 |
マイクロソフト | 9.48% | WindowsやOfficeが有名、AI関連としても話題 |
アマゾンドットコム | 5.30% | ネット通販最大手、クラウド関連でも先行 |
エヌビディア | 4.34% | 成長著しい半導体企業、AI関連銘柄としても期待 |
メタプラットフォームズ | 3.78% | 旧フェイスブックが社名を変更 |
テスラ | 3.21% | 電気自動車大手、電力システムも製造 |
アルファベット A株 | 3.14% | Googleの親会社、A株とは株式の種類 |
アルファベット C株 | 3.09% | Googleの親会社 C株とは株式の種類 |
ブロードコム | 2.97% | 通信インフラ向け半導体・ソフトウェア製造企業 |
コストコ | 2.17% | 会員制の大手卸売・小売チェーン店 |
構成銘柄の上位10銘柄を見てみると、世界を代表するハイテク銘柄が集結していることが分かります。
GAFAMと呼ばれる現在の世界をリードする大手テクノロジー企業、「グーグル(アルファベット)」「アマゾン」「旧フェイスブック(メタ)」「アップル」「マイクロソフト」はすべてナスダックに上場している企業です。
将来のGAFAMのような企業がナスダックからまた生まれてくるのではないかと、期待を多くの人が持つこともナスダック指数に世界が注目する理由です。
3.ナスダック100のパフォーマンス
ナスダック100指数の過去5年の推移です。2018年末を6,329ポイントで引けたナスダック100は、2023年12月19日現在で16,811ポイントです。この期間の上昇幅は10,482ポイント(+166%)、年率に直すと単純平均で約+33%となります。
同様にアメリカを代表する指数であるS&P500とニューヨークダウを比較対象として入れています。一番上の青い線がナスダック100です。真ん中の緑の線がS&P500指数、一番下の赤い線がニューヨークダウです。
ナスダック100は変動が大きいながらも長期的に見れば一貫して成長しており、他の指数を大きく超えるパフォーマンスを記録しました。
4.ナスダック投資の注意点
ここからはナスダックに投資をする際の注意点を紹介します。
ボラティリティの高さ
ナスダックは他のアメリカ株指数と比較して値動きが激しい(ボラティリティが大きい)特徴があります。S&P500やニューヨークダウよりも激しく動くため投資には注意する必要があります。
投資商品と手数料
ナスダック100指数に投資する場合、国内外ETFや投資信託、CFDとさまざまな選択肢があります。ETFであれば市場取引での売買、投資信託であれば毎日1回算出される基準価格での約定するなど商品ごとに取引ルールと手数料が異なります。自分に合った商品を選んで投資するようにしましょう。
レバレッジ商品の注意
ナスダック100指数に2倍連動や3倍連動する商品があります。レバレッジ型商品と呼ばれる金融商品は、もともと値動きの大きいナスダック100指数をさらに大きく価格が動くように設計されています。リスクをよく理解しないでレバレッジ商品を購入すると、予期しない大きな損失を被ることがあるため注意しましょう。
為替リスク
ナスダックの銘柄は米ドル建てで売買されます。日本から投資をおこなう場合、円を米ドルに交換した上で投資をおこなうため為替リスクが発生します。為替が円安になれば投資のパフォーマンスにプラスの要因、円高となればマイナス要因となります。
5.まとめ
ナスダック指数はアメリカの株式市場を代表する指数です。その特徴はこれから成長する中小型のグロース株が多く、業種で見た場合はテクノロジー関連銘柄が多いことです。
ナスダック市場から世界に羽ばたく企業も多く、アップルやマイクロソフト、アマゾンなどGAFAMと呼ばれる現世界の時価総額上位銘柄もナスダックに上場している銘柄です。
世界が注目するナスダック指数は、投資の対象としても、投資の参考指標としても重要な指数です。ナスダックに注目してアメリカのハイテクグロース株の動向をチェックしましょう。