防衛株が強い!世界の防衛産業やおすすめの日米防衛株を一挙紹介!

コラム

From:編集部 黒木

ウクライナ問題や中東問題など2025年に入っても地政学リスクは高い状況が続いています。

また、トランプ氏が大統領に就任をして、より地政学リスクが高まるとして、防衛株に注目が集まっています。

今回の記事では、世界の防衛産業や日米の代表的な防衛株についてご紹介をします。

2025年の投資を制するためにぜひ参考にしてください。

世界の防衛産業

世界の防衛産業の売上高は増加の傾向にあります。

2023年のデータにはなりますが、2023年の防衛産業上位100社の売上高は前年比4.2%増加をしました。2024年のデータはまだ出ていませんがさらに増加していると予想されています。

やはり、地政学リスクの高まりや、トランプ氏大統領就任による不透明感が、防衛に注目を集めているのでしょう。

防衛株全体の時価総額も上昇をしており、2024年末から比較するとなんと33兆円も上昇をしています。

今後も各国の防衛意識は高まることが予測されており、さらなる上昇が期待できるかもしれません。 

世界の軍事費のシェアは以下の通りです。

出典:一般社団法人平和政策研究所

世界最大の軍事支出国のアメリカは、全世界の軍事費総額の約40%を占めています。

近年、海洋進出を積極的に進める中国との覇権争いが激化する中、アメリカの軍事費は拡大傾向にありますがトランプ氏の大統領就任で潮目が変わるかもしれません。

アメリカ(トランプ大統領)の防衛の流れ

トランプ大統領の新国防予算計画が世界に大きな影響を与えそうです。

ヘグセス国防長官が国防費の8%(約500億ドル、7兆5000億円以上)の削減を国防総省に指示しました。

防衛費の削減資金でトランプ大統領は、メキシコとの国境、警備強化や新型ミサイル防衛システム構築などに振り向けたい考えのようです。

削減対象となるのは、ヨーロッパ、中東、アフリカに展開する米軍基地の予算が有力候補になります。

一方、中国を警戒して、インド太平洋地域の軍事関連予算に関しては維持もしくは強化される見通しです。

やはり前政権の時も、中国に対する厳しい姿勢が目立ったトランプ大統領ですが、今回も対中国戦略を優先しているのでしょう。

ただし、安倍総理の時は、親密な関係を築いていましたが、トランプ大統領は日本の防衛に関してもメスを入れそうな勢いです。

2025年3月19日に、CNNはトランプ大統領が日本の在日米軍の機能を強化する計画を見直しすると報道をしました。在日米軍の日本の負担を大きくすることも要求しているようです。

また、トランプ大統領は、日本は現在GDPに占める貿易の割合は約1.5%程度ですが、こちらも3%程度まで引き上げるべきだと発言をしました。

また、トランプ大統領はヨーロッパに対しても防衛費の増強を求めています。NATO (北大西洋条約機構)の加盟国に関しては国防費をGDPの5%まで引き上げるよう要求をしています。

実際にイギリスのキア・スターマー首相は2027年度までにGDP対比防衛費を2.5%にすると発言しました。

ただし、国防予算の最終決定権は連邦議会にあるため、この削減計画は確定したものではなく、今後議会から強い反発が予想されています。

特に海外駐留軍の削減については、安全保障上の懸念から超党派で反対の声が上がる可能性があります。

トランプ政権は防衛費に関しても「海外の一部地域での軍事費を縮小し、国境警備と中国対策に資源を集中させる」というアメリカ・ファースト政策を国防予算に反映させようとしているのです。

ヨーロッパの防衛の流れ

ヨーロッパでも防衛の流れに変革が見られます。特にドイツで大きな動きがありました。

ドイツ連邦議会は2025年3月18日、防衛・インフラ支出のための大規模な借入を可能にする財政改革パッケージを賛成多数で可決しました。

ドイツ上院が21日に承認し、国の借り入れ規則の改革と、インフラの刷新と欧州最大の経済の再生に向けた5000億ユーロ(5420億ドル)の基金を正式に可決になりました

この改革は、数十年続いた緊縮財政から財政拡大政策への歴史的転換を意味します。

次期首相候補メルツ氏が提案したこの法案は、憲法改正に必要な3分の2以上の賛成票を獲得し、防衛・安全保障関連支出についてGDPの1%(約450億ユーロ)を超える額を「債務ブレーキ」から除外することを可能にします。

また、今後12年間で最大5000億ユーロの借入を行う特別インフラ基金も憲法に組み込まれます。

ドイツ経済は過去2年間、エネルギーコスト高騰や製造業低迷などの構造的問題により縮小傾向にありましたが、この積極財政への転換は経済復活の契機となる可能性があります。

トランプ大統領のウクライナ支援やNATOへの懐疑的姿勢も、この決断を後押ししました。

市場はこの動きを好感し、DAX指数は最高値を記録、投資家心理を示す3月期待指数も2年間で最大の上昇を見せました。

CDU(ドイツキリスト教民主同盟)・CSU(バイエルン・キリスト教社会同盟)とSPD(ドイツ社会民主党)の連立協議も急ピッチで進み、4月20日までの政権発足を目指しています。

今後、ドイツを中心にヨーロッパがどのような防衛体制を敷いてくるか、非常に注目を集めています。

トランプ関税が発動。予想以上に厳しい内容に…

トランプ大統領は4月2日にアメリカに輸入されるすべての品目について新たな関税計画を発表しました。

日本には24%、中国には34%の関税をかけるなどおよそ60の国に10%以上の関税が課せられることになります。

この影響は非常に大きく、トランプ関税の発表を受けた3日の日経平均株価は前日比989.94円安になりました。NYダウも1679.39ドル下落し、世界各国のマーケットに大きな影響を与えています。

関税の算出根拠があいまいで各国から非難を受けており、早速カナダがアメリカからの自動車に同率の25%の報復関税を課すと発表。

日本や中国も報復関税を検討しており今後の展開にマーケットが注目をしています。

トランプ氏の今回の関税はアメリカにも大きなマイナスの影響を与えると見られており今後の各国との調整に注目が集まります。

日本の代表的な防衛株

まずは日本の代表的な防衛株について紹介をします。

日本の代表的な防衛株は以下の通りです。

  • 三菱重工業
  • 川崎重工業

防衛に関するそれぞれの企業の特徴や2025年年初来の株価推移についてご紹介をします。

三菱重工業(7011)

三菱重工を一言でいうと、防衛の何でも屋さんです。艦艇、戦車、地対空誘導弾システムなどをはじめ、産業制御システム向けサイバーセキュリティ対策も手掛けています。

三菱重工業は日本の防衛産業の中核企業です。航空機、艦艇、ミサイルなど幅広い防衛装備品を開発・製造しています。

近年は防衛費増額に伴い事業拡大を進めており、今後さらなる業績拡大が期待されている企業です。

三菱重工の2025年年初来からの株価推移です。

出典:GoogleFinance

なんとわずか3か月で株価は30%以上も上昇をしています。日経平均株価が軟調な中、驚異的な実績といえるでしょう。

川崎重工業(7012)

川崎重工業は、陸・海・空の各自衛隊向け装備品を幅広く手掛けている企業です。

防衛省の主要調達先でもあり、国産ヘリコプターの開発、無人機や次世代戦闘機の開発にも力を入れています。

川崎重工の2025年年初来からの株価推移です。

出典:GoogleFinance

川崎重工はなんと年初来30%以上も株価を上昇させています。日本の防衛費は基本的に右肩上がりで上昇をしており、さらなる需要が見込めそうです。

出典:日本共産党

アメリカの代表的な防衛株

世界最大の軍需大国であるアメリカの代表的な防衛株について紹介をします。

  • ノースロップ・グラマン
  • ボーイング 

それぞれの企業の特徴や株価推移についてご紹介をします。

ノースロップ・グラマン(NOC)

ノースロップ・グラマンは、米国を代表する大手航空宇宙・防衛企業です。特にステルス技術や無人航空機システムに強みがあります。

ノースロップ・グラマンの2025年年初来からの株価推移です。

出典:GoogleFinance

ノースロップ・グラマンの年初来の株価は4%以上上昇しています。S&P500は2月に10%以上下落したことを考えると良い成績であるといえるでしょう。

ボーイング(BA)

ボーイングは世界最大の航空宇宙企業です。

防衛・宇宙・安全保障部門で事業を展開しています。防衛分野では、米国防総省の主要契約企業になります。

ボーイングの2025年年初来からの株価推移です。

出典:GoogleFinance

ボーイングは年初来そんなに株価は上昇していません。ただし、アメリカの防衛費は日中と比較しても圧倒的です。

出典:読売新聞

ボーイングはアメリカ防衛省の主要契約先であることを考えても今後の上昇に期待ができます。

まとめ

今回は現在注目されている世界の防衛事情や日米の主要防衛銘柄についてご紹介をしました。

地政学リスクの高まりを受けて、世界は今防衛費の増額に動いています。

戦争などが起きる事はよくありませんが、現在、悲しいことに多くの国が警戒をしている状況です。

決して戦争などで利益を出すといった意味ではありませんが、防衛株が注目をされているのは確かです。ぜひ今回の記事を投資の参考にしていただければ幸いです。