
テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。
ここ最近のマーケットは、トランプ大統領による関税問題で揺れています。
なかでも注目するべきは自動車への25%関税と、全輸入品に対する一律10%の関税措置。日本にとっての影響は? 投資家としてどう捉えるべきか?今日は関税についてわかりやすく解説します。
トランプ関税の概要:なぜ今こんな政策が?
2025年3月、トランプは自動車とその部品に25%の追加関税を課す大統領令に署名。4月3日から発効されました。これによってマーケットは急落。
その後、マーケットは回復し、ここ直近の1ヶ月は上昇相場が続いています。こちらはS&P500と日経平均のチャート。


トランプは「相互主義」の名のもと、日本には24%、他国にも一律10%の関税をかける方針を発表しています。
その狙いは、アメリカの貿易赤字の削減と国内産業の保護で、特に日本は自動車輸出が対米輸出全体の約28%(2024年:約6兆円)を占める大国なのでターゲットになった形です。
自動車産業へのインパクト
日本の自動車産業は、まさに経済の柱。約500万人が自動車業界で仕事しており、関連会社も入れると1,000万人を超えるとも言われます。
実際、トヨタ・ホンダ・日産などは、毎年100万台超の車をアメリカ市場へ輸出していますが、そこに25%の関税がかかればコストと販売への影響は避けられません。
想定される影響としては、日本車の米国での価格が上がって需要減になることが想定されます。もちろんこの上乗せ分は米国民が負担するわけではなく、トヨタなど販売会社が負担します。(が、おそらく下請けやサプライチェーンにしわ寄せがきます)
これらの自動車メーカーはすでに米国に工場を作ることを発表し、世界的にその流れが加速していますが、国内のことを考えるとよろしくありません。国内の生産ラインが縮小し、雇用への影響も考えられます。
また、自動車部品にも関税が適用されてサプライチェーン全体でコスト高になることも考えられ、野村総研はこれらの要因から関税で日本のGDPは最大0.5%押し下げるという試算も出しています。
「日本は大丈夫」説は本当か?
私が心配しているのはこれです。一部には「現地生産してるから大丈夫では?」という楽観論もあり、たしかにトヨタなどは米国内に工場を作り、関税回避を狙っています。
例えば、トヨタは4月に125億円を米工場へ追加投資したり、鉄鋼・アルミへの重複課税を回避する緩和策や、先日は赤沢大臣が渡米し、2回目の交渉に臨みました。
とはいえ、関税そのものがどうなるかはまだ未知数であり、ノーダメージで終わることはないと思います。
当初からの話の通り、自動車25%関税、一律10%関税はやってくるかもなと。そして、その時にマーケットが織り込んでいないと、巻き込まれるかもなと。
ですので、「想定より軽い」と楽観するのは危険かもしれないので、GW真っ只中ですがマーケットの動きは見ておきましょう。
今から見ておきたい視点
まず、為替の動きを見てみましょう。こちらはドル円の直近1ヶ月チャート。

関税が緩和に進み、さらに先週は日銀会合がありましたが、ここでも植田総裁はハトっていたので、為替は円安へ進みました。
自動車株は円安が追い風になりますから、株高になったわけですが、関税発言で動きやすいとも言えます。
このような短期的な思惑で動く銘柄は、デイトレーダーは面白いと思いますが、スイングトレーダーはやりづらい相場とも言えます。なので、私は関税に影響を受けないセクター/銘柄を触っています。
為替の動きがどうなるか、140円が意識されているサポートラインですが、円安が進めば輸出企業の業績にはプラス。過度な円安は原材料の輸入コスト増からインフレ圧力ですが、株高の要因です。
また、この記事を書いている間に、トランプが「全ての外国制作映画に100%関税」との報道も出てきました。

出典:ブルームバーグ
ネットフリックスやアマゾンプライムなど、関税に影響を受けないと思っていましたが、こうなるとちょっと話は変わってきますね。自動車関税についてもニュースが出てきたら要チェック。明日もいい波乗っていきましょう!