
テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。
今日はテクニカル分析の基礎について。投資を学びはじめると、特に短期売買はそうですが、必ず「テクニカル分析」という言葉に当たります。
ウネウネしてるローソク足やチャートを見た時、「よくわからない」となったはず。
「このチャート、どう読めばいいの?」
みんな最初はそうゆうものです。しかし、ここでひとつ重要な視点があります。テクニカル分析に完璧な正解は存在しないということです。
というと、そもそも話が終わってしまうのですが、でも実はこれは真理で、例えば「どの時間軸で見るか?」で答えが変わるんですよ。
ライブやSNSで、「これから株はどうなりますか?」と聞かれることがあります。でもその答えは「どの時間で見てるか」によって変わるので、答えようがないんですね。
たとえば同じ銘柄のチャートでも、1分足を見ているデイトレーダーと、日足を見ているスイングトレーダーではまったく違う判断になります。
そもそもローソク足などを見ずに、決算書などファンダメンタルから投資してる人は、また違った答えになるでしょう。
そこで今回は「時間軸の違いによって、テクニカル分析の使い方はどう変わるのか?」をテーマにしました。
デイトレ・スイング・中長期の3タイプに分けて解説していきましょう。
なぜ“時間軸”が重要なのか?
たとえば、ある銘柄が「押し目買いのチャンス」と見えるチャートがあったとします。
上昇トレンドに乗っていて、ちょっと休憩モードで下落し、さらに再反発していくところを狙うのが押し目買いですね。
なのですが、5分足チャートなら、ほんの30分〜1時間の反発を狙ったトレードなので反発しそうでも、日足チャートで見れば、まだ下降トレンドの真っ只かもしれません。
つまりどの時間軸でトレードするのか?どれくらいの期間ポジションを持つのか?など、この前提がまったく違えば、使うテクニカル指標や、判断の仕方も変わってくるのです。
デイトレードは?
デイトレードでは、「今この瞬間の需給」が全てです。
だからこそ、移動平均線でも短期の時間を見ています。使う時間軸も5分足・15分足や、1時間足が中心ですね。
小さい利益を積み重ねるのがデイトレで、株の保有期間も数分〜数十分です。
5分足で「下落→底打ち→反転」を狙ったり、もはやチャートすら見ずに板情報を見て買いの勢いを探ったり、つまりリアルタイムの反応速度が求められるトレードです。
なので、私はデイトレが最も難易度が高いと思っていて、初心者がやるべきではないという考えなのですが、ポイントはテクニカルより「反射神経」です。
スイングトレードは?
私の手法はスイングトレードなのですが、スイングではデイトレよりも「1段大きな波」を捉えにいきます。
そのため、ローソク足の形状やトレンドライン、移動平均線の傾きなどを重視しています。分足や時間足は全く見ないですし、見ているのは「日足」です。
日足が確定するのは、1日の終わりです。つまり今だと15時半ですね。
デイトレーダーは寄り付き9時から10時くらいが最も活況なので、この1時間に集中します。私の場合、寄り付きはほぼ見ておらずで、大引け前の30分から1時間でマーケットを見ています。
たとえば、日足チャートで上から短期・中期・長期と移動平均線が並んでいる銘柄は、基本的には上昇トレンドの最中にいます。これを私は「信号機」と呼んでいて、赤黄青の順番が信号機と同じなので、そう呼んでいます。
保有する期間は人によるところですが、短期のスイングだと数日から数週間、長期のスイングだと数週間から数ヶ月、といったところです。わりと短期のスイングの方が多いのではと思いますね。
デイトレと同じく、こちらも需給バランスで上に行くか下に行くかを見ているため、企業の業績などは全く見ておらずです。
金利や為替などのマクロのファンダメンタルで方向性を見つつ、テクニカルで「タイミングを測る」のがコツです。
中長期投資は?
中長期投資においては、テクニカル分析はほとんど使いません。
使うとしても、週足や月足、年足を見て長期のトレンドを見るくらいで、むしろどちらかというと決算書など見て「上がる銘柄を選ぶ力」が必要とされます。
保有期間も数ヶ月〜数年で、短期の上げ下げは見ないです。その分、狙う値幅も大きく、複利で増やしていくイメージです。
中長期投資の大事なことは、チャートを見るときも「細部より全体像」を意識することです。誤差に振り回されず、長期で伸びていく銘柄を選ぶ目利きを養う必要があります。
時間軸の違いで、判断が真逆になることも
中長期の投資をしてる人は、私の発信を見ていないと思うので、基本的には投資家よりトレーダーが多いと思います。
その視点で解説すると、勝てないトレーダーは「時間軸」をあまり見れない印象です。
日足チャートで「いい感じに上昇している」と思って買ったら、あまり伸びずにむしろ下がる・・みたいな時に、よく見てみると週足月足がかなり高騰していたり、または5分足を見るともっと加熱して高値掴みになったり、などです。
チャートを読むときには、必ず「自分がどの時間軸で戦っているのか?」を明確にすることです。
日足で押し目を作っている中で、4時間足や1時間足でエントリーポイントを決めたり、月足でトレンド転換しそうな時に日足でタイミングを探ったり、このようにトレード「大きな流れに乗りつつ、小さな波で仕掛ける」のが理想です。
なので、まずは「自分のトレードスタイルに合った時間軸」を1つ決めることから始めましょう。
まとめ:時間軸を制する者が、トレードを制す
テクニカル分析は便利なツールであると同時に、「どの時間軸で使うか?」によって大きく意味が変わります。
デイトレなら「瞬間の勢い」を捉える視点が大事で、スイングなら「トレンドの転換」を捉える視点が大事です。中長期なら企業のポテンシャルや成長性、市場の勢いなどを捉える視点が大事ですね。
ですので、冒頭に書いたように「この株、今から上がりますか」という質問に対して、アンサーできないのはこうした理由からです。
どの銘柄を、どんな時間軸で、どんな流れでINとOUTを考えているのか?です。むしろこれがまだよくわからない、、という場合。それは「適当に買ってる」のと同じですよ。
たまたま儲かってもラッキーパンチですから、しっかりとテクニカル分析を学んでから本番トレードしましょうね。
自分のトレードスタイルを明確にし、その時間軸に合ったチャート分析のスキルを磨くことが、勝ち続けるための第一歩になります。ぜひ参考にして下さいね。