
テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。
今週の日本株は、“暴落と反発”を繰り返し、上に下に激しい相場になりましたね。
期待と失望が交互に訪れるなか、日経平均は引き続き下落トレンド。米国株も同様に上げ下げ激しい相場になっています。
今日の株式市場
今日の日本市場はトランプ政権による「中国への145%関税発動」でリスクオフに傾きました。
日経平均は一時32,000円台まで下落したものの、そのあとは反発しました。しかし、34,000円の壁は高く、「戻り売り優勢」の地合いが続きます。
半導体関連や防衛株、銀行株、輸出株などが売られましたが、スーパーやドラッグストアなど内需株が堅調でした。
売りが一巡した後は週末要因もあり、日経平均は少しずつ下げ幅を縮めました。また、寄付きに算出された4月限SQ値は32,737.29円でした。
とにもかくにも、目の前の問題は関税です。米国政府は中国への関税を145%に引き上げることを表明し、これはすなわち100万円で買えたものが245万円になるということです。
よって、中国経済はかなりピンチになることが考えられます。すでに経済が停滞してデフレも始まっている中での関税引き上げはダメージも大きいはず。
また、今日の日本市場は33セクターすべてが下落しました。非鉄金属や銀行などの景気敏感株、自動車や半導体など輸出株が特に重く、関税が警戒されていることがそのままマーケットに反映しています。
米国と日本の関係は近く、そもそも同盟国でもあります。なので、関税の交渉としても他国より有利に進めるはずですが、トランプからどんなディールがあるか不透明です。来週以降も引き続き関税に警戒です。
日経平均、今日の終値は33,585円。前日比1,023円安(-2.96%)でした。TOPIXは-2.85%の2,466、グロース250は+2.89%の631で今週の取引を終えています。売買代金は5兆4412億円でした。
また、昨日の米国株も反落しました。ダウ-2.5% ナスダック-4.31% S&P500-3.46% とトリプル安に。
強かったのは生活必需品で、ハイテクが売られました。警戒しているのは金利高。米国金利が止まりません。特に今週は上がりすぎで、4.5%が目前に迫ってきています。
ただ、下院が恒久的な減税を含んだ予算案を可決、そしてトランプ大統領が閣僚会議で中国との取引を望んでいると言及しました。これが好感されて、やや下げ幅を縮めたのはよかったです。
引き続き米中対立の激化と、世界の貿易構造が“変わってしまった”という現実から、来週も荒れる相場になりそうです。
円は142円台まで急騰。債券市場はリスク回避モード。
そして、為替を見ていくと円高が止まりません。リスクオフの円買いが進み、ドル円は半年ぶりの142円台へ。
背景には日経平均の大幅安、米中対立によるドル資産売り、世界的なリスクオフなどがあります。日銀がこの状況で利上げに踏み切る可能性は低くなったため、数か月前の円安水準に戻るかは不透明です。
よって、日米の金利差は大きく変わらず、じりじりとドル安・円高の流れが進んでいます。
「円は買われる通貨」というより「リスク回避時の避難所」とも考えられ、かねてからそう言われますが、エネルギーも食料も海外に頼っており、さらに国防までも他国に任せている日本円が本当に安全資産なのか?は疑問ではあります。
また、日本の長期国債は買い優勢で、10年債利回りは1.33%まで低下しました。世界の金利構造が変わって、日本も米国も欧州も金利高の流れになっています。
金価格が史上最高値を更新
次にゴールドを見ていきます。ここ最近はコモディティをよく見ていますが、特にゴールドの強さが光ります。
金価格は1オンス=3,200ドルを初めて突破しました。「有事の金」の言葉のとおり、貿易戦争の激化や世界的なインフレ不安、債券市場の不安定などから世界的なゴールド買いが進んでいます。
ゴールドは「究極の安全資産」とも言われ、精製することができないことからその価値は担保されています。
ゴールドが買われる時は、世界の金融秩序そのものが問われているときで、荒れている証拠とも言えます。
その他も銀や銅、プラチナなども見ていますが、世界的なコモディティへの関心が高まっているのを感じています。
次の関心は決算
関税が少しずつ落ち着いてくるとしたら、また別の話題が出てくるときです。
そして、それはおそらく決算でしょう。さっそく今週もファストリやセブンアイ、ABCマート、イオン、良品計画などの小売店から決算がスタートしました。
米国はウェルズファーゴやJPモルガンなど金融大手から決算が出てきますが、この流れをかき消すような強気決算、または自社株買いなどに期待したいところです。
特に大手銀行の決算発表は「米経済の実態」がどうなっているのかを測る上で非常に重要です。
来週はバンクオブアメリカ、ジョンソンエンドジョンソン、ネットフリックス、半導体ASML、TSMCなど主力企業が続々と出てきます。
「好決算なら安心感」「悪決算ならリスク再燃」と、今の流れ的にもどちらにも振れやすそうです。ハイテクや主力企業の決算は4月末から5月頭あたりに集中しています。
向川の視点:この暴落は偶然じゃない。
今週もお疲れさまでした。
いま私たちが見ているのは、短期的な材料相場ではありません。世界はもう変わってしまったんですよ。ルールも、価値観も、国の運営方針も。
これからは反グローバル、ブロック経済です。どの国も余裕がなく、自分たちで精一杯です。特にバイデン政権のグローバル社会からの揺れ戻しが起こっており、それをトランプがさらに激しく世界中をかき回しています。
米国は「敵と味方を分ける世界」をつくり、中国は「それを受けて徹底抗戦の構え」です。日本はその狭間で「輸出・為替・金融政策」の三重苦に直面している状況と言えるでしょう。
日経平均を1週間単位で見てみると、前週比で195円安でした。これで3週続落です。感覚としてもっと下がっている印象もありますが、上げ下げ激しい相場でしたね。
来週も引き続き関税問題に注目です。日本政府も本日、関税について対策チームを設置したことを発表。国内でも減税の話が出てくるなど議論が進んでいます。
米中の関税もさすがに今週で145%まできたので、さらにここから増えていくことは考えにくいはず。すでに落としどころを探っている感もあり、ややポジティブに考えると関税引き下げの可能性もあるでしょう。
引き続き荒れる相場ですが、来週も安全運転で。いい波乗っていきましょう!
追伸
4月後半も新しい企画をリリースする予定です。
初心者さんむけの米国株投資スタートアップセミナー、他にも空売り、銘柄選びなども。こちらもお楽しみに!