【4/13相場まとめ】週末の米国株は反発も、世界中で始まる“安全資産リセット”。米国債売りが止まらない理由。

相場まとめ

テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。

先週末の米国市場は反発で終えました。日本も米国も上げ下げが激しい1週間となりましたが、S&P500は週間で2023年以来の大幅高になりました。

今日は週末なので、米国株を中心に振り返っていきます。

米国マーケットの振り返り

トリガーとなったのは、FRBの「市場支援発言」です。無秩序な市場環境になれば支援する準備がある、とボストン連銀総裁がコメントしました。

中央銀行の救済に期待して、一気に買い戻しが入った形で今週の取引を終えました。米国市場は“爆上げ”で終えたものの、安心材料の裏側で着々と進む静かな崩壊も見せており、相場が乱高下しています。

引き続き関税問題で揺れていますが、関税戦争が“当面のエスカレーション回避”となったこと、そしてJPモルガンやモルガン・スタンレーの好決算もありました。

そして先ほど書いたボストン連銀総裁のコメントもあって、これらが重なり短期的には“リスクオン”の空気が戻ってきました。

S&P500は週間+5.7%、ダウは週間+4.95%、ナスダックは週間+7.43%となり、それぞれ上昇で今週の取引を終えました。

インフレ、どうなった?

今週は消費者向け(CPI)と、業者向け(PPI)、それぞれのインフレデータが出ました。

どちらも予想を下回っており、米国のインフレ鈍化がはっきりとわかる展開になりました。

ただ、今後は関税コストが商品価格に転嫁される可能性も考えられます。懸念すべきは米国経済がさらに強くなっていくことによるインフレ再燃ですからね。

一方、ミシガン大学の消費者信頼感指数は大幅に低下したものの、1年先のインフレ期待は6.7%と前月の5.0%から上昇し、将来のインフレを不安視する心理が強まっています。

その裏で“静かに崩れている”もの

今、見ておくべきは米国債です。米国債といえば安全資産としての地位を確立していますが、ドル離れが起こってます。

米10年債利回りは週間で1980年代以来の大幅上昇となりました。30年債利回りは5%に接近し、2年債利回りも4%に回復。これは「FRBの利下げ観測が遠のいた」という単純な理由ではありません。

市場は今、米国債という“安全資産”への警戒と、関税戦争による景気悪化と財政悪化への懸念を強めており、不安定な状況に直面しています。

こちら4月4日から現在までの米国10年債です。

出典:investing.com

米銀決算が強烈な“安心材料”に

そして、次なる関心は決算です。

日本もファストリやセブンアイなど小売店から決算が始まりましたが、米国は金融株から始まります。

さっそく今週はJPモルガン、モルガン・スタンレーなどが決算を発表しましたが、JPモルガンは株式取引収益が+48%で過去最高益に。純利益も前年を超えて好調な業績でした。

ただし、「貸倒引当金の積み増し」しており、「今は稼げているが、嵐に備えている」と考えることもできるので、関税リスクや景気減速への備えを始めている点は気になるポイントです。

モルガン・スタンレーも市場予想を大幅に上回る好決算を発表しました。EPS(1株あたり利益)は市場予想2.20ドルを大幅に上回る2.60ドルへ。株式部門の収入が45%増加でした。

ここから金融セクター全体に買いが入り、S&Pの上昇を後押ししました。

アジア市場は投資家の“疲労感”から“神経質な地合い”に

こちらも関税問題が影響し、アジア株全体に売りが広がっています。

今週のアジア株マーケットは、過去最大の下げと1日として2008年以来最も大幅な上昇を記録。日本国債利回りは急騰、中国人民元は2007年以来の安値に到達しました。インドネシアルピアも最安値更新です。

そしてオーストラリアドルも、2008年リーマンショック以来の1日として最大の下落を記録しています。

この要因もトランプ関税で、それに対する各国の政府の対応によるものです。

今週はMSCIアジア太平洋指数が一時5%以上上昇し、2022年11月以来となりましたが、こちらも上げ下げ激しい相場が続きます。

投資家は次に何が起きるかを警戒して、ポジションを軽くするなど短期での思惑も見て取れる相場になっています。

ザクっとまとめ

今週もお疲れ様でした。

今週の株式市場の急反発を振り返ると、米中関税リスクがひとまずは落ち着いたこと、そして大手銀行の好決算による安心感と、FRB高官による支援発言でした。

これらの要因が市場に安心感をもたらし、株価の上昇を後押ししました。今後もこれらの動向に注目しつつ、投資戦略をアップデートしていきましょう。

今週のマーケットは、週末金曜が米国休場、そして木曜はFRBパウエル議長に発言ありです。週末相場には警戒しつつ、来週もいい波乗っていきましょう!