金やプラチナ・シルバー投資とは?メリットやデメリットも紹介!

コラム

From:編集部 黒木

資産運用と聞くと多くの方は、株式や投資信託・仮想通貨などを思い浮かべるのではないでしょうか?

近年、過去にないほどの資産運用ブームが起きており、多くの人が資産運用を行っています。

特に2020年のコロナショック以降は大きく相場が上昇し、積極的に投資をしている方も多いのではないでしょうか?

確かに相場が上昇しているときは「攻め」の運用が良いですが、相場は常に上昇するとは限りません。

長く投資で利益を出し続けるためには「守り」も重要です。

資産運用における守りとは、マーケットが下落した時に、資産の下落を防ぎ、利益を出せる仕組みのことです。

株や仮想通貨など攻め一辺倒のポートフォリオでは、上昇局面が続けば良いですが、いつか大きな損を追ってしまう可能性があります。

そこで今回は、資産運用における守りの代表格である「金、プラチナ、シルバー」について説明をします。

わかりやすく説明しますので是非最後まで読んでください。

金、プラチナ、シルバー投資とは

金、プラチナ、シルバー投資とは、その名の通り、金、プラチナ、シルバーに投資を行うことです。

金などは古くから無価値にならない世界共通の資産ですが、2008年に起きたリーマンショック以降の不確実性が増す市場の中で、他の資産や通貨との相関性の低さや、実物資産としての価値に一層の注目が集まりました。

最近では、米中貿易摩擦や新型コロナショックなどを背景とした先行き不透明な投資環境下、金などが選ばれる動きが見られます。

それぞれの値動きは、以下の通りです。

・金

出典:tradingview

・プラチナ

出典:tradingview

・シルバー

出典:tradingview

それでは金投資などのメリットやデメリットについて解説をします。

金投資などなどのメリット

金投資などには様々なメリットがありますが、金投資などの主なメリットは4つに集約されます。

  • 株価の下落に強い
  • 世界共通の価値基準
  • インフレに強い
  • 実物の資産であること

金投資などのそれぞれのメリットについてわかりやすく説明していきます。

株価の下落に強い

金などは株式や債券など他の投資資産や通貨と異なる値動きをする傾向があるため、様々な資産と組み合わせることによって分散投資効果が発揮され、資産全体の価格変動リスクの低減が期待できます。

「有事の金」ともいわれるように金融市場の先行き不透明感や地政学的リスクの高まる局面で、金などは資金の逃避先となり、価格が上昇する傾向にあるのです。

金利水準が高い局面では、利子や配当がない金は不利になりますが、金利水準が低くなると反対に、金などの魅力が相対的に高まります。

金などの価格は、直近大きく上昇していることが先程のチャートでご理解いただけるでしょう。(プラチナに関しては、需要の大きいガソリン自動車の需要が低くなっているため、横ばいですが上昇傾向ではあります。)

今後の金などの価格を予測することは難しいものの、過去の上昇局面と現在の市場環境は通貸発行量を増加させた時期という点で共通しており、実物資産やインフレヘッジの手段としての金などの魅力が高まっているといえそうです。

また、株式や債券と異なる値動きをする金は分散投資の際の観点から、資産運用に欠かせない投資対象として存在感も高まっています。

基軸通貨である米ドルの価値下落や、世界の中央銀行が過去50年で最も早いペースで金を購入していることを背景とした需給の不均衡の今後の継続が理由として挙げることができるでしょう。

金などの価格の変動要因は様々ですが、過去の金など価格の推移は、地政学リスクの高まりや、国際通貨制度(金本位制や管理通貨制度)の移り変わりと密接な関係があると考えられます。

代表例として金の価格の推移について解説をします。

1920年からの金価格の推移において、大きく3つの上昇期に分けられます。

金が株価の下落に強い理由がわかりますので、ぜひ参考にしてください。

・1929年の大恐慌後(金本位制からの離脱)

金本位制とは、中央銀行が発行した通貨と同額の金を保有し、金と通貨の交換を保証する制度で、通貨発行量には制限がかかります。

1929年のウォール街の株価暴落による世界恐慌の際に、金本位制度の離脱が遅れた国々は、金準備額に縛られて迅速な金融政策を打ち出すことができませんでした。

結果的に各国は次々と金本位制から離脱し、景気浮揚のため輸入関税引き上げやブロック経済化を推進する、いわゆる近隣窮乏化策を採りました。

この世界恐慌から第二次世界大戦までの期間は、各国ともに金本位制からの離脱で通貨発行量が増加し、金価格は上昇しました。

・1971年以降の1970年代 (ニクソンショックと中東の地政学リスクの高まり)

1960年代後半以降のベトナム戦争の長期化等による財政・国際収支の赤字を背景に米国の金準備高は急減していました。

そのため、米国は1971年に一方的に金と米ドルの発換停止を実施しました。(ニクソンショック)

ニクソンショックとは、米国が自らの経済活動における自由度を増すために、金を前提とせず自国の裁量で通貨発行が可能な管理通貨制度に移行したことです。 

結果として為替市場は変動相場制へと移行しました。

その後の2度にわたるオイルショックやソ連のアフガニスタン侵攻にまで至る不安定な中東情勢などから金価格は高騰したのです。

・2000年以降(地政学リスク増大、新興国の台頭、量的金融緩和政策の導入)

2001年9月の米国同時多発テロをきっかけとして地政学リスクが増大していることや、中国やインドなどを中心とした新興国の経済成長に伴い金需要も増加していることが金価格上昇の背景として挙げられます。

さらに、リーマン・ショック後の景気後退局面より、先進国の中央銀行は量的金融政策を導入し、国債買入れなどにより資産残高が拡大していることも価格上昇要因の1つとなっています。

このように金は、株価が下落した時に上昇する資産として幾度も存在感を見せているのです。

世界共通の価値基準

現在は、金本位制が終了していますが、金本位制のころから金の価値に変わりはありません。

金は現在でも世界中の中央銀行で準備資産として保有されています。

なぜ、世界中の中央銀行が金を保有しているかというと、各国が発行している紙幣の価値がゼロになってしまう可能性は決してゼロではないからです。

万が一、自国通貨や他国の通貨の価値がゼロになっても金の価値がゼロになることはないのでリスクヘッジのために多くの国は金を持っています。

プラチナやシルバーについては金ほどではありませんが、やはり実物資産としての魅力があるため、根強い人気があるのでしょう。

インフレに強い

金などはインフレに強い資産といわれています。

先ほど説明した通り、金などは限られた希少な資産のため常に一定の価値があり、インフレが起きてお金の価値が低くなっても、「金などのそのものの価値」の信用が高いため、相対的に金などの価値は高まり、価格が上昇する傾向にあるのです。

インフレに強いことも、金投資などの大きなメリットといえるでしょう。

実物の資産であること

金などは、①限りある資産としての希少性と②実物資産としての特性から価値があるといわれています。

また、品質が劣化しないことも価値が失われない理由の一つです。

こちらも金を代表に説明をします

①希少性

  • これまでに生産された金の総量 (オリンピックのプール約4杯分)
  • 年間生産量…3,300ト ン
  • 推定埋没量…約5万トン (可採年数約15年)

②実物資産の特性

金融資産特有の発行体の信用リスクがないため、株式や債券のように発行体の破たんで価値がゼロになることがありません。

金投資などのデメリット

様々なメリットがある金投資などですが、金投資などにもデメリットはあります。

金投資などの主なデメリットは2つです。

  • 為替の影響を受ける
  • 配当がない

金投資などのそれぞれだけどデメリットについてわかりやすく説明します。

為替の影響を受ける

金などはそのものに価値がある資産ですが、為替の影響は受けます。

特に基軸通貨である米ドルの影響を受けやすく、米ドルとは逆相関の関係です。

つまり、米ドルが高くなると金の価格は下落し、反対に米ドルが安くなると金は下落する傾向にあります。

為替、特に米ドルの影響を受けやすいことは、株価が下落すると米ドル高になりやすいので金投資などのデメリットといえるでしょう。

配当がない

金などは利子や配当が付かない資産です。

金利や配当がつかないことは投資資産として金のデメリットといえるでしょう。

しかし、金などは、そのものに価値がある「実物資産」です。 

金利が上昇する局面では、金利が付かないことから金投資などの魅力が低下することも予想されますが、過去の金利上昇時においては米国の10年国債利回りと金価格の動きをみると、必ずしも金投資などにマイナスの結果をもたらすわけではないことが分かります。

配当や利息が付かないことはデメリットですが、過去の実績をみると実はそんなに大きなデメリットにはならないかもしれませんね。

金やプラチナ、シルバーの現在の価格推移

金やプラチナ、シルバーの現在の価格は、金とシルバーは大きく価格を上昇させており、プラチナに関しては横ばいの状態です。

金とプラチナは相関関係が高く、金はインフレに強資産として有名で、シルバーに関しては太陽光発電などの需要が大きいことから価格を上昇させていると推測されます。

一方、プラチナに関しては、自動車業界の需要が多いですが、ガソリン自動車から電気自動車への移行期ということもあり、現在需要を減らしているようです。

ただし、電気自動車にもプラチナは必要不可欠なため、今後大きく価格を上昇させる可能性はあります。

また、プラチナは金よりも希少価値が高い資産なのも追い風になるでしょう。

まとめ

今回は最近注目されている金やプラチナ、シルバーへの投資について解説をしました。

金などの資産は実物資産としての価値があり、株式や債券とは異なった動きをしやすいです。

ぜひポートフォリオを安定させるためにも、株式や債券とは一味違った金やプラチナ、シルバーへの投資を検討してみてはいかがでしょうか。