From:編集部 黒木
押し目買いとは、投資家やトレーダーが価格が下落した際に買い増しを行う投資戦略です。
この戦略は、価格が一時的に下がったときに、その下落が一過性であるという仮定に基づいています。
つまり、価格が下がったときには、その後価格が再び上昇するという期待があるため、その下落を買いのチャンスと捉え、買い増しを行います。
この戦略の背景には、いくつかの考え方や理論があります。
そこで今回は、「押し目買い」の戦略や押し目買いを行うにあたっておすすめのインジケーターについて紹介をします。
押し目買いとは
価格の変動は一定のパターンやサイクルに従うという仮説があります。
この仮説に基づくと、価格が下落した場合、それは一時的な調整や修正であり、その後再び上昇するというパターンがあると考えられます。
そのため、価格が下落した際には、買い増しを行うことで、将来的な価格上昇に備えることができるという考え方です。
また、市場心理や投資家の行動に着目した観点からも、押し目買いの戦略が理解されます。
価格が下落すると、一部の投資家は悲観的になり、売りが優勢になる傾向があります。
しかし、そのような状況下で価格がさらに下がると、一部の投資家は逆に買い増しを行い始める可能性があります。
これは、価格が過度に下落したことで、買いの機会と捉えるからです。
そのため、価格が下落した際には、買い増しを行う投資家が増えることで、価格の底が形成され、その後価格が反発するという流れが生まれることがあります。
押し目買いの注意点
押し目買いの戦略にはいくつかのリスクや注意点も存在します。
まず、価格の下落が一過性でなく、長期的な下落トレンドの始まりである場合があります。
そのような場合、押し目買いを行った結果、損失を被る可能性があります。
また、価格が下落した際には、その理由や背景を十分に理解していないと、単なる価格の変動に反応してしまうこともあります。
そのため、投資判断を行う際には、市場や特定の銘柄についての基本的な分析や情報収集、テクニカル分析などを総合的に行う必要があります。
さらに、押し目買いの戦略は投資家のリスク許容度や投資目的に合わせて適切に検討する必要があります。
個々の投資家にとって最適な戦略は異なるため、自身の投資スタイルやリスク管理能力を考慮しながら、適切な投資戦略を選択することが重要です。
総括すると、押し目買いは価格が一時的に下がった際に買い増しを行う投資戦略であり、価格の変動パターンや市場心理に基づいています。
しかし、リスクや注意点も存在するため、慎重な検討とリスク管理が必要です。
押し目買いにおすすめのインジケーター
押し目買いにおすすめのインジケータを3つ紹介します。
- 移動平均線
- ボリンジャーバンド
- MACD
それぞれのポイントについてわかりやすく説明をします。
移動平均線
移動平均線は、最も一般的に使用されるインジケーターの一つです。
移動平均線は、一定期間の価格の平均値を計算して、線で表したものです。
一般的に、過去の価格データを元に計算されるため、トレンドを分析するのに使用されます。
移動平均線にはいくつかの種類がありますが、代表的なものは3つです。
- 単純移動平均線(SMA):一定期間の価格の単純な平均値を計算して線で表したものです。例えば、20日SMAは、過去20日間の終値を合計し、その合計を20で割った値を表します。
- 指数加重移動平均線(EMA):SMAよりも最近の価格に重みを置いた移動平均線です。EMAは、直近の価格データに大きな影響を受け、過去の価格データの影響は少ないのが特徴になります。
- 加重移動平均線(WMA):価格の変動が大きい場合、最近の価格に大きな重みを置くようにした移動平均線です。WMAは、EMAよりも最近の価格に重きを置きますが、過去の価格にも少し影響を与えます。
移動平均線は、トレンドを分析するだけでなく、サポートやレジスタンスのラインとしても使用されます。
例えば、20日SMAが上昇している場合、トレンドは上昇していると見なされ、価格が20日SMAに近づくと買い注文が入りやすくなります。
逆に、20日SMAが下降している場合、トレンドは下降していると見なされ、価格が20日SMAに近づくと売り注文が入りやすくなります。
移動平均線を使った典型的な買いサイン、売りサインはゴールデンクロスとデッドクロスです。
これは短期と中期の2本の移動平均線を用いて、2本の位置関係をもとにトレンド転換を判定する分析になります。
基本的には期間の違う2本の移動平均線を一緒に見ることで、その重なりや離れる様子から値動きのトレンドを見つけるという考え方です。
下の図では、短期と中期の2本で分析をしていますが、それぞれの投資に合わせた期間設定が重要です。
短期線が長期線を下から上に抜けた時が買いサイン、短期線が長期線を上から下に下抜けた時が売りサインとなります。
中期線の向きも重要です。長期線が上向く前のゴールデンクロスや長期線が下向く前のデッドクロスは一時的な値動きでトレンド転換にならないことが多いといわれるからです。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンド押し目買いでもっとも使われるテクニカル指標のひとつで、価格の変動幅に応じて上下に動く2つのバンドと、その中心にある移動平均線から構成されています。
ボリンジャーバンドの上限線や下限線を突破したときに、それがトレンドの転換点である可能性が高いため、エントリーポイントとして使用されます。
例えば、上限線を突破した場合には買い、下限線を突破した場合には売りのエントリーを行うことができます。
ただし、過去の価格変動幅に応じてバンド幅が調整されるため、銘柄や期間によって適切なバンド幅の設定が必要です。
ボリンジャーバンドの幅が狭まっているときには、相場が横ばい状態であることを示しています。
一方、バンド幅が広がっているときには、相場が荒れていることを示しているため、トレンドが形成されている可能性が高いです。
そのため、バンド幅が狭くなっているときはトレードを控え、幅が広がっているときにエントリーするという手法があります。
ボリンジャーバンドの上限線や下限線に達したときに、トレンドが続くという仮定に基づいて逆張りトレードを行うことができます。
上限線に達した場合には売り、下限線に達した場合には買いのエントリーが有効です。
ボリンジャーバンドは、相場の変動幅を示すために広く用いられる指標であり、多くのトレーダーによって活用されています。
ただし、その使い方には多少の注意が必要であり、適切な設定とエントリーポイントが必要です。
ボリンジャーバンドの幅は、価格の変動幅に応じて調整されるため、適切な設定が必要になります。通貨ペアや時間枠によって異なるため、トレーダーは継続的にボリンジャーバンド幅を調整する必要があるのです。
幅が狭すぎると、トレンドを見逃す可能性があります。
一方、幅が広すぎると、偽のブレイクアウトを引き起こす可能性があります。
ボリンジャーバンドを使用する際には、リスク管理を重視することが重要です。
過去の価格変動幅に応じてボリンジャーバンド幅が調整されるため、トレンドの逆転やボラティリティの急激な増加が起こる可能性があります。
そのため、トレードのリスクを最小限に抑えるために、ストップロスやリスクリワード比の設定が必要です。
MACD
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は価格のトレンドやトレンド転換点を特定するのに役立ちます。
MACDは、2つの移動平均線(EMA)の差を表しています。一般的には、MACD線とシグナル線の2つの線があります。
MACD線は、12日EMAと26日EMAの差を表し、シグナル線は、MACD線の9日EMAです。MACDの線は、2つの線が交差した際に、トレンド転換点を特定するのに役立ちます。
MACDの最も一般的なトレード手法は、MACD線とシグナル線がクロスオーバーした時にトレードする方法です。
MACD線がシグナル線を上から下にクロスした場合は、ショートポジションをとり、逆に、MACD線がシグナル線を下から上にクロスした場合は、ロングポジションをとります。
MACDの重要な用途は、価格とMACDの間に生じるダイバージェンスを特定することです。
ダイバージェンスは、価格が上昇するにつれてMACDが下落する(または価格が下落するにつれてMACDが上昇する)現象を指します。
これは、トレンドの弱点を示す場合があり、トレンド転換点を特定するのに役立ちます。
MACDを使用したトレードでは、リスク管理が非常に重要です。ストップロスやリスクリワード比の設定を行い、損失を最小限に抑えることが必要になります。
MACDの線がゼロラインをクロスした場合、トレンドの転換点を特定するのに役立ちます。
MACD線がゼロラインを下から上にクロスした場合は、買いのサインとなります。
逆に、MACD線がゼロラインを上から下にクロスした場合は、売りのサインとなります。
またMACDの極値を使用することで、価格の高値または安値が、MACDの極値と一致するかどうかを確認することができます。
この方法は、価格が上昇しているにもかかわらずMACDが下降している場合、あるいは価格が下落しているにもかかわらずMACDが上昇している場合に特に有効です。
まとめ
今回は「押し目買い」について紹介をしました。押し目買いはうまく行えば大きな利益が狙える戦略です。しかし、いくつかの注意点もありますので、注意点を踏まえつつ利用するようにしましょう。押し目買いを成功させるために有益なインジケータも紹介しましたので、ぜひ参考にしてください。