
編集部の黒木です。
最近のマーケットですが、為替市場で大きな動きが出てきました。長らく続いた「超円安」の時代から、少しずつ潮目が変わり、円高方向への揺り戻しが起きています。

これまで「円安=日本株高」というイメージが強かったため、「円高になると株が下がるんじゃないか?」と心配される方もいるかもしれません。 確かに、トヨタなどの輸出企業にとっては向かい風になりますが、逆に「円高になることで利益が爆発的に増える企業」もたくさんあります。
これまでは輸入コストの高騰で苦しめられていた企業たちが、今度はそのコスト安を武器に「逆襲」を始めるフェーズに入ったと言えるでしょう。そんな今の相場環境だからこそ仕込んでおきたい「円高メリット銘柄」を4つピックアップしました。
そもそも「円高メリット」って何がお得なの?
シンプルに言えば、「海外からモノを買うコストが下がる」ということです。
日本は資源や食料の多くを輸入に頼っています。1ドル160円で仕入れていたものが、1ドル140円、130円となれば、同じものを買うのに支払う日本円が少なくて済みますよね。
企業にとっては、「売上は変わらなくても、仕入れ値が下がるだけで利益が増える」というボーナスタイムに入ります。
特に、
- 原材料を輸入して国内で売る企業(小売、食品、製紙など)
- エネルギーコストが高い企業(電力、ガス)
- 海外旅行を扱う企業(旅行代理店、航空)
このあたりが恩恵をフルに受けます。 では、具体的な銘柄を見ていきましょう。
①:ニトリホールディングス(9843): 円高恩恵の「絶対王者」
まず外せないのが、「お、ねだん以上。」でおなじみのニトリです。 株式市場では「円高メリットといえばニトリ」と言われるほど、為替の動きとの連動性が高い銘柄の代表格です。
なぜなら、ニトリは商品の約90%を海外で生産・調達しているからです。 つまり、円高になればなるほど仕入れコストがダイレクトに下がり、その分がまるまる利益に乗っかってくる構造です。
会社側の試算でも、1円円高に振れるだけで営業利益が数十億円単位でプラスになると言われています。これまでの円安局面ではなんとか耐えてきましたが、円高トレンドは同社にとって最強の追い風になります。
業績も好調で、既存店売上も堅調に推移しています。 円安でも利益を出せる体質を作ってきた今のニトリに、円高という「神風」が吹けば、業績の上振れ期待はかなり大きいでしょう。 株価も円高のニュースが出るたびに敏感に反応して買われる傾向があるので、トレンド転換の初動として注目です。
②:神戸物産(3038): 業務スーパーは円高でさらに強くなる
続いては、「業務スーパー」を展開する神戸物産です。
ここ数年のインフレで家計の救世主として大ブレイクしましたが、実はこの会社も典型的な円高メリット銘柄です。
店内に並ぶユニークな商品は、世界各国から直輸入しているものが多く、輸入品の割合が高いため、円高は仕入れコストの低下に直結します。
円安の時ですら「他店より圧倒的に安い」という価格競争力で成長してきましたが、円高になればその競争力はさらに増します。 コストが下がった分を利益にするもよし、さらに値下げしてシェアを奪いにいくもよし。経営の選択肢が広がるわけです。
直近のチャートを見ても、為替が円高に振れたタイミングで大陽線をつけて反発するなど、市場の期待値も高いですね。「不況に強いディフェンシブ性」と「円高メリット」のダブルパンチを持っているので、今の不安定な相場環境では非常に頼もしい存在になるはずです。
③:東京電力ホールディングス(9501): 燃料費ダウンで収支改善の期待大
3つ目は、インフラの王様、東京電力です。 電力会社も実は隠れた円高メリット銘柄です。
日本の電力会社は、発電に使うLNG(液化天然ガス)や石炭などの燃料のほとんどを海外からの輸入に頼っています。 ここ数年の電気代高騰の主因も、円安による燃料費の激増でした。
これが円高に振れると、燃料の調達コストが劇的に下がります。 電力会社にとってはコストダウンがそのまま利益改善につながるため、収益構造がガラッと良くなる可能性があります。
もちろん、原発の再稼働問題など他の要素もありますが、為替要因だけで見れば円高は強烈なプラス材料。 PBRもまだ低水準な銘柄が多く、見直し買いが入る余地は十分にあります。 配当などの株主還元への期待も高まってくるかもしれませんね。
④:エイチ・アイ・エス(9603): 「高すぎて行けない」海外旅行がついに復活?
最後は、旅行代理店大手のエイチ・アイ・エス(HIS)です。
コロナ禍が明けて旅行需要は爆発しましたが、これまでの円安のせいで「国内旅行はいいけど、ハワイやヨーロッパは高すぎて無理…」と諦めていた人も多いのではないでしょうか?
円高になれば現地での滞在費や買い物代が安くなるため、海外旅行への心理的なハードルが一気に下がります。 特にHISは海外旅行に強みを持つ会社なので、円安で抑圧されていた「海外に行きたい!」というリベンジ需要が一気に流れ込むことが予想されます。
インバウンド需要は円高で少し落ち着くかもしれませんが、逆にアウトバウンド(日本人の海外旅行)はこれからが本番。 その受け皿として、HISや航空会社などの銘柄はアフター円安の主役になるポテンシャルを秘めています。
まとめ
今回は、為替のトレンド転換で恩恵を受ける「円高メリット銘柄」を4つご紹介しました。
- ニトリホールディングス(9843):輸入家具の王者、利益感応度No.1
- 神戸物産(3038):食品インフレの救世主、仕入れコスト減
- 東京電力ホールディングス(9501):エネルギーコスト低下で収益改善
- エイチ・アイ・エス(9603):海外旅行需要の本格回復へ
これまで相場を牽引してきた輸出関連株や半導体株がお休みする局面では、こうした内需・円高メリット株が資金の避難先として輝きます。
「円高だ!日本株は終わりだ!」と悲観するのではなく、「じゃあ次はどのセクターが伸びるかな?」と波に乗る準備をするのが、賢い投資家のスタンスだと思います。
ご自身のポートフォリオが輸出株に偏っているなと感じる方は、リスクヘッジとしてこれらの銘柄を少し組み込んでみるのも面白いかもしれません。


