為替介入とは?ドル円が急激に円高に。

コラム

From:編集部 小早川

2024年4月29日と2024年5月2日に財務省が為替介入に踏み切りました。

為替相場は大きく乱高下をしており、今後の動向が気になる方も多いのではないでしょうか。

一方、そもそも「為替介入」とは何?と思っている方も一定数いらっしゃると思います。

そこで今回は「為替介入」について説明をします。最近行われた為替介入の実際の例についても説明をしますので参考にしてください。

為替介入(市場介入)とは?

為替介入(正式名称:外国為替平衡操作)とは、中央銀行や政府などの公的機関が、外国為替市場において為替レートをコントロールするために行うものです。

為替介入は、通貨の価値が、地政学リスクなどが原因で過度に安くなった場合に、自国通貨の価値を戻すために行われます。

また、投機などが原因で過度に高くなった場合にも、適正価格に戻すことを目的に行われます。

為替介入の流れ

日本では財務大臣の権限で為替介入が行われます。為替介入の流れは以下の通りです。

  1. 日本銀行が財務省に対して、毎日為替市場に関する情報を報告する。
  2. 財務省国際局と財務官の判断を経て、財務大臣の権限において為替介入の決定が行われる。日本銀行からの情報を基にしています。
  3. 為替介入を行う判断を日本銀行に伝える。
  4. 日本銀行は為替相場の現在の動向や介入に役立つ情報を財務省に伝える。
  5. 財務省の指示に従い、日本銀行が為替介入を実施する。

実際に最近行われた為替介入について説明をします。

  • 2022年の為替介入
  • 2024年の為替介入

それぞれの例についてわかりやすく説明をします。

2022年の為替介入

2022年は2回為替介入が行われています。

  • 2022年9月22日の介入
  • 日銀の覆面介入とは?
  • 2022年10月24日の介入

それぞれのポイントについてわかりやすく説明をします。

2022年9月22日の介入

日本銀行は急激な円安に懸念を持ち、145円の節目を超えた2022年9月22日に為替介入を実施しました。

この介入は、為替介入自体が2011年以来11年ぶり、円買いドル売り介入としては24年ぶりのことで、実に日本の金融当局にとって重要な動きでした。

しかし、効果はあまりなく、2022年10月にはドル円の為替レート150円を超える円安になりました。効果がなかった理由は複数国の協調介入ではなく日本の単独介入であったことや為替介入に投入する外貨準備高に限界があったことなどがあげられます。

日銀の覆面介入とは?

日銀の覆面介入とは、日本銀行が、為替介入の中でも、市場参加者に介入自体を公にしない介入のことを指します。 

通常の為替介入では、中央銀行や政府が事前に介入の意図を公表し、市場参加者に対して透明性を持って行動することが一般的になります。 

一方、「覆面介入」とは、その名の通り、事前の通知なしに急激な介入を行うことで、市場参加者に介入の意図を伝えずに相場をコントロールする手法です。

しかし、「覆面介入」は必ずしも「急激」である必要はなく、市場に直接介入する代わりに限られた銀行(3大邦銀など)を通して匿名性を順守させた上での間接介入となることもあります。

2022年10月24日の介入

ドル円が145円を超えた9月22日の介入額は2.8兆円でした。短期的には円高に振れたもののすぐに円安基調に戻りました。

そしてドル円の為替レートが150円を突破した2022年10月21日と10月24日に為替介入を再び行いました。

規模はそれぞれ5.6兆円、0.7兆円です。

2022年に行われた為替介入に使われた資金の合計は約9兆円にもなります。

情報管理を徹底的に行い大規模かつピンポイントに行った結果、10月に行われた為替介入を境にドル円の相場は円高方向になりました。

2024年の為替介入

2024年は年初から大幅に円安が進んでおり、1時1ドル160円まで円安が進みました。

そして4月29日と5月2日に財務省はついに為替介入に踏み切ったのです。

  • 2024年4月29日の介入
  • 2024年5月2日の介入

それぞれのポイントについてわかりやすく説明をします。

2024年4月29日の介入

先週の日銀政策決定会合において、日銀総裁が最近の円安は「基調的物価上昇率に大きな影響を及ぼすものではない」と発言し、その影響で円安が進行。

4月29日の午前中には160.25円前後まで一時急騰しました。しかし、その後、ドル円は155円割れまで急落。財務省が為替介入を行った模様です。

規模は、5.5兆円規模と推測されています。しかし、思ったような効果はなく、すぐに1ドル157円台まで円安になりました。

2024年5月2日の介入

財務省は、FOMC後の薄い時間帯に為替介入を敢行しました。介入規模は3兆円程度。

1回目の介入が5.5兆円規模と見られているので、合計8.5兆円と、一昨年の介入とほぼ同規模となりました。

為替は157円台から一気に151円台まで下落。しかし、その後の効果については懐疑的な意見が多いです。

為替介入の可能性が有る時はムリにポジションを持たない

為替介入が実行されると、一時的ですが、為替は大きく乱高下する傾向にあります。

株式や投資信託であれば特に大きな問題はありませんが、FXの場合、大きな追証が発生してしまう可能性があるので、特に注意が必要です。

為替介入が入ったタイミングで逆のポジションを持っていると返済しきれない追証を背負ってしまう可能性があるので、基本的に為替介入の可能性があるとき、FXに関しては無理にポジションを持たない方が良いでしょう。

まとめ

今回は、為替介入について説明をしました。為替介入は基本的には行われませんが、2022年や2024年のように大きく為替が一方向に動いていると実施される可能性があります。

為替介入が起こると、その前後は大きく為替レートが動きますので注意してください。特にFXに関しては、莫大な青賞を背負ってしまい、一生を台無しにしてしまう可能性があるので、最新の注意を払いましょう。