オプション取引のやり方をわかりやすく解説します。

コラム

From:編集部 黒木

投資商品には様々な種類がありますが、「オプション」を知っていると、投資の幅は大きく広がります。

しかし、オプションに苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか?

オプションには金融独特の用語がたくさん出てきます。

「なんとなく、難しい」

「難しいから、別に理解しなくても良い」

このように思っている方もいるかもしれませんが、オプションについて理解できると、投資の世界は大きく広がるので、ぜひ覚えていただければ幸いです。

そこで今回は「オプション」について「そもそもオプションとは」といったところから具体的な使い方について説明をします。

こちらを読んでいただければ、オプションの理解が大きく深まりますので、ぜひ最後まで読んでください。

オプションとは?オプションの特徴を説明

オプション取引は、将来の特定の日付や期間に、特定の価格で資産(株式、為替、商品など)を売買する権利を与える契約です。

オプション取引には「買い」と「売り」の2つがあります。

まずは買い手の特徴について見ていきましょう。

「買い」のオプションの特徴

「買い」のオプションの特徴は「権利であって、義務ではない」ことです。

わかりやすくいうと「権利を行使してもいいけど、別に権利を行使しなくてもいい」といったものになります。

例えば、現在株価が5000円のA社の株を6ヶ月後に同じ値段で買うというオプション取引を組んだとしましょう。

そして、6ヶ月後にA社の株価が6000円になったとすると、5000円で買えるので、オプションを行使します。

一方、6ヶ月後にA社の株価が4000円になった場合、市場で買えば4000円で買えるので、オプションを放棄します。

出典:知るぽると

このように「買い」オプションは権利を行使しても行使しなくても良いものになります。

これを「儲かる、損する」という経済的な観点から見ると、要するに「儲かることはあっても、損することはない」これが「買い」オプションということになります。

なぜなら、買いのオプションは取引をするかしないかを自分で決められるものであり、損をする取引をしなければ良いからです。

この特徴は、「お金を受け取ることはあっても、追加で支払うことは無い」と言い換えられます。

実はこれは保険が持っている特徴と同じです。

保険は、加入者が保険金を受け取ることはあっても、損害や生命に関わり、お金を払うということはありません。

この「お金を受け取ることはあっても、追加で支払うことは無い」は金融的に極めて重要な意味を持っています。

儲かることはあっても、損することは無いというのは、例えば「10,000円もらえるかもしれない」という宝くじのようなものです。

ではこの宝くじが無料だったら皆さんどうするでしょうか?こぞってこの宝くじを集めるはずです。

なぜなら、うまくいけばお金がもらえますし、うまくいかなくても損はしないからです。

しかし、みんながこの宝くじを手に入れようとすると、そこに価格が生まれるはずです。

オプションの場合も同じで儲かることはあっても、損することはないという権利が無料であるはずはありません。

「取引をする」、つまり「お金とモノを交換する」ことの権利であるオプションですが、そのオプション自体に価格が発生します。

「売り」のオプションの特徴

「買い」のオプションは、権利を行使しなくても良いのが特徴ですが、「売り」のオプションはオプションの買い手が権利を行使した場合、必ず応じなければなりません。

よって、損失に関しては無限大に広がる可能性があります。保険で考えるとわかりやすいです。

保険の加入者は保険料以上の損失はありませんが、保険会社は病気や事故の状況によっては多額の保険金を支払う必要があります。

1人1人には上限があるかもしれませんが、災害などで多くの人が保険金を請求した場合、その額は膨大なものになるでしょう。

保険会社は、そのような状況も想定して保険料を決めているのです。

オプション取引でいうオプション料です。オプション料の決まり方については、後ほど詳しく説明をします。

コール・オプションとプット・オプションとは

オプション取引には4つの立場があります。

こちらでは「コール・オプション」と「プット・オプション」について説明をします。

コール(買う権利)プット(売る権利)
買い手コールの買い買う権利の保有者(行使か放棄を選択)プットの買い売る権利の保有者(行使か放棄を選択)
売り手コールの売り買う権利の付与者(売る義務を負う)プットの売り売る権利の付与者(買う義務を負う)
  • コール・オプション = 買うことができる権利
  • プット・オプション = 売ることができる権利

「コール・オプション」と「プット・オプション」について理解していきましょう。

コール・オプションとは

コール・オプションとは、将来の一定期間に、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で原資産(株式など)を買う権利を買い手に与えるオプションです。

つまり、コール・オプションは将来の原資産の値上がり益を確保できる権利です。

コール・オプションの特徴は主に4つあります。

  • 満期日までに原資産の価格が権利行使価格を上回れば、コール・オプションの買い手は権利を行使して、原資産を権利行使価格で買うことができる。この場合、原資産の市場価格と権利行使価格の差額が利益。
  • 満期日までに原資産の価格が権利行使価格を下回った場合は、オプション保有者は権利を行使する必要はない。この場合の損失は、オプション料のみ。
  • コール・オプションを買う場合は、オプション料を支払う必要があるが、売る場合はオプション料を受け取れる。
  • 原資産を実際に保有する必要はなく、レバレッジをかけて取引できる。

将来の株価上昇を予想してコール・オプションを購入することで、ダウンサイドリスクをヘッジできます。

一方で、コール・オプションの売り手は一定のオプション料を得る代わりに、将来株価が上昇した場合にオプションを行使されるリスクを負います。

コール・オプションの「買い」と「売り」の損益関係をみていきましょう。

・コール・オプション「買い」の損益関係

出典:オプション道場

損益分岐点=権利行使価格+プレミアム(オプション料)

利益が発生する場合:原商品価格-(オプション料)>権利行使価格のとき

損失が発生する場合:原商品価格-(オプション料)<権利行使価格のとき

損失=(権利行使価格+オプション料)-原商品価格

※損失はプレミアム(オプション料)が上限

このようにコール・オプションの買い手は、利益は無限大に広がる可能性がありますが、損失はオプション料に限定されるのが特徴です。

・コール・オプション「売り」の損益関係

出典:オプション道場

損益分岐点=権利行使価格+プレミアム(オプション料)

利益が発生する場合:オプションを行使されなかった場合のオプション料

損失が発生する場合:原商品価格>損益分岐点のとき

プット・オプションとは

プット・オプションとは、特定の期日までに、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で原資産を売る権利を買い手に与えるオプションです。

プット・オプションの特徴は主に4つあります。

  • 原資産(株式、債券、商品など)の価格が下落した場合に利益を得られる。オプション取得時のプレミアム支払い分を上回れば利益となる。
  • 権利行使をしなければ、最大損失はオプションプレミアムの支払い分に限定される。
  • 原資産を実際に保有する必要はなく、レバレッジをかけて取引できる。
  • 満期日までに権利を行使しなければ権利は消滅し、オプション料分の損失が確定する。

将来の株価下落を予想してプット・オプションを購入することで、ダウンサイドリスクをヘッジできます。

一方で売り手は一定のオプション料を得る代わりに、将来株価が下落した場合にオプションを行使されるリスクを負います。

プット・オプションの「買い」と「売り」の損益関係をみていきましょう。

・プット・オプション「買い」の損益関係

出典:オプション道場

損益分岐点=権利行使価格+プレミアム(オプション料)

利益が発生する場合:原商品価格-(オプション料)<権利行使価格のとき

損失が発生する場合:原商品価格-(オプション料)>権利行使価格のとき

損失=原商品価格-(権利行使価格+プレミアム:オプション料)

※損失はプレミアム(オプション料)が上限

このようにプット・オプションの買い手は、利益は無限大に広がる可能性がありますが、損失はオプション料に限定されるのが特徴です。

・プット・オプション「売り」の損益関係

出典:オプション道場

損益分岐点=権利行使価格+プレミアム(オプション料)

利益が発生する場合:オプションを行使されなかったときのオプション料

損失が発生する場合:原商品価格-(オプション料)<権利行使価格のとき

※損失は無限大

このようにプット・オプション「売り」の買い手は、利益は最大株価が「0」になるまで広がる可能性がありますが、損失はオプション料に限定されるのが特徴です。

オプションのメリット

オプションには様々なメリットがありますが、主なメリットは3つです。

  • レバレッジの利用ができる
  • 買い手は損失が限定される
  • 多彩な投資ができる

オプションのメリットについて説明します。

レバレッジの利用ができる

オプションは「レバレッジ」の利用ができます。レバレッジとは「テコの原理」のことで、投資資金の◯倍の取引ができる仕組みです。

少ない投資資金でも大きな利益が上げられる可能性があるのは、オプション取引の大きなメリットになるでしょう。

買い手は損失が限定される

オプション取引の「買い手」の損失はオプション料に限定されます。

損失を限定して取引できるのもオプション取引ならではのメリットです。

多彩な投資ができる

オプションを利用することによって、様々な戦略が取れます。

オプションを使った主な戦略については、後ほど詳しく説明しますので、参考にしてください。

オプションのデメリット

オプションには様々なメリットがありますが、デメリットもあります。

  • 証拠金が必要
  • 取引に期限がある
  • 複雑な取引で理解しづらい

オプションの主なデメリットについて説明をします。

証拠金が必要

オプション取引にはレバレッジがあるので、少ない投資資金でも大きな取引ができますが、全くお金が必要なわけではありません。

取引を行うために、必要なお金を証拠金といい、証拠金は、取引を行うために証券会社やブローカーに預ける資金です。

取引に期限がある

オプション契約には満期日があり、その日までに権利を行使しなければなりません。

時間が経過するにつれて、オプションの価値は減少するので、誤ったタイミングでの取引や長期保有をすると、時間の経過により損失が増えてしまいます。

複雑な取引で理解しづらい

オプション取引は、株式投資や投資信託の取引に比べて、複雑な取引なので、投資初心者の方にとっては特に理解がしづらいはずです。

ただし、様々な戦略が取れるなどメリットも多い取引になりますので、ぜひ今回の記事をきっかけに覚えていただければ幸いです。

まとめ

今回は、「オプション」について説明をしました。

オプションは金融商品の中でも複雑ですが、オプションを覚えることによって、様々な選択肢が広がります。

是非今回の記事を参考にしていただき、オプションの理解を深めていただければ幸いです。