
テクニカルアナリストの向川a.k.チャートの向こう側です。
今週、世界経済の潮目を変えるかもしれないニュースがありました。それが、「トランプ中東ディール」です。
トランプ大統領がサウジアラビア、カタール、UAE(アラブ首長国連邦)を訪問し、総額460兆円という桁違いのディールを決めてきました。

このディールのインパクトは、ただの外交政策ではなく、米国経済全体にさらなる追い風を吹かせると思います。
巨額合意の中身は?中東3カ国との「戦略的連携」
今回の中東歴訪でトランプが決めてきた内容をザクっとまとめましょう。
UAE:10年で1.4兆ドルの対米投資。ボーイング旅客機の大量購入、AI・エネルギー技術協力。
サウジアラビア:6000億ドルの投資協定。エネルギー、インフラ、原子力などへの米企業参入を促進。
カタール:5000億ドル規模の合意。160機超の旅客機発注(2,000億ドル)やLNG(液化天然ガス)拡大。
などです。これらは、製造業、エネルギー、ハイテク、交通、インフラと今後の米国経済の中心産業への莫大な投資を意味します。
特にボーイングの受注は航空機製造だけでなく関連サプライチェーン全体にいい影響をもたらすはずです。
製造拠点の多い米国の中西部州では、雇用創出と地域経済の安定が期待されますし、UAEとのAI技術協力は中国との技術覇権競争における切り札とも言えます。
NVIDIAやMETA、Amazonなどの米国ハイテク企業にとって、中東マネーは開発加速の大きな支えとなります。
そしてLNG輸出の拡大も、米国の貿易収支改善とエネルギー安全保障を考えるとプラスです。すでに原油も下がっていますが、ガソリン価格の上昇圧力を抑えて、インフレの軽減にもつながります。
マーケットはどう反応した?
今回の発表を受けて米国株は続伸。S&Pはいよいよ6,000まで接近です。

ボーイングの株価も上昇。

投資家心理には明らかな回復傾向が見られます。もちろん、リスクもゼロではなく、中東情勢はまだまだ不安定で、ガザ停戦・イスラエルとの国交正常化など未解決です。
今回のような巨額投資は、実際に行われるまでタイムラグがあったり、ふわっと流れたり話がひっくり返ることもありますからね。
でも、地政学的に考えると、ロシア・中国・イランなどの”東側チーム”は中東やアフリカに積極的に進出しており、米国は少し距離があるのも事実。
トランプは中東も重要なパートナーとして見ており、今回のディールによって「中東は米国にベット」という構図をPRできたと思います。これは外交戦略としては成功でしょう。
向川の視点:米国が次のフェーズに進む合図か?
トランプが大統領に就任してから、まるで「株式会社USA 代表取締役」として世界中から莫大な投資を呼び込むことに成功しています。
今回の中東ディールはほんの一部にすぎず、国内からもトヨタやソフトバンクなどの大企業がこぞって米国への投資を表明しています。もちろん他国も同じ流れです。
まだまだこれから米国は「資本を呼び込む国」として、トランプは”米国最強のセールスマン”として、世界のカネ、モノ、ヒトを集め続けるでしょう。
今回の莫大な投資も、AI、航空機、エネルギーといった“産業の根幹”に対する投資誘致であり、これは短期的な株価上昇にとどまらず、米国経済の長期的な展望を次のフェーズに押し上げると思います。
「Make America Great Again」(米国を再び偉大な国へ)
は、ただのスローガンから具体的な経済政策へと進化しました。
その成長の地盤となる分野は何か?その果実が米国にどう分配されるのか?そして、この新たな「米国2.0時代」にどう備えるか?
投資家は今この転換を、よく見ておくべきだと思います。そして、私たちでその大きな波に乗っていこうではありませんか。
追伸:
今かなり米国マーケットが動いており、面白い展開になっていくと思います。
なので、来週末あたりにオンラインイベントを開催します。楽しみにしていてください。