
テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。
2025年もあっという間に3分の1が過ぎましたね。4月の相場を一言でいうなら、「大きな変化の予兆」と言えるでしょう。
楽観と不安、期待と警戒。ちょうどトランプ政権が誕生して100日が過ぎましたが、なんとか株価は戻ってきました。大統領就任時のS&P500が5,800前後でしたが、現在は5,528まで回復。

一時は4,800台まで下げるなど荒れる相場になりましたが、今日は4月相場を動かした主要な”波”を整理して、次のフェーズを読むために押さえておきたいポイントを解説しましょう。
①:米国のインフレ鈍化と利下げ期待
まず最初に外せないのが、米国のインフレ指標と金融政策をめぐる動きです。
4月発表のCPI(消費者物価指数)やPPI(卸売物価指数)は、やや強めに出たものの鈍化しており、「米国のインフレ問題は解消」と見ています。
これによって米国の利下げ観測が進み、FRBから出てくる声もタカ派一辺倒から流れが変わりつつあります。
これによってハイテク株を中心にリスクオンが加速。GoogleやTSMSなどの好決算もあり、米国株は短期的な上昇トレンドの最中にいます。
ファクター②:中国経済の底打ち期待と関税緩和
そして、長らく停滞感が続いていた中国経済ですが、関税問題もあって不安視されていました。
ひとまず関税が落ち着いて、米中での話も進んでそうな気配です。(中国側は米国と話してない、米国側は中国と話してるなど、話はよくわからない展開ですが)
中国もデフレがはじまって経済的にも厳しいため、数か月前にも政府主導の景気刺激策が打ち出され株高になりました。
中国経済、底打ちか?なんてことも言われますが、関税でダメージを受けるのは事実であり、先日はアップルもiPhoneの製造を中国からインドに移す話もブルームバーグに出ていましたが、この関税という名の中国包囲網はボディブローのようにジワジワと効いてきそうです。
ファクター③:トランプ関税リスクの“意外な後退”
トランプ関税によって相場が荒れました。「全輸入品10%関税」や、「自動車関税25%」など、日本経済にも影響があるでろうニュースが次々と出てきました。
しかし4月中旬以降、「関税の適用除外も検討」などの報道が続き、マーケットの雰囲気は一変しました。
米中対立の激化、世界経済のブロック化など、想定されていた最悪の事態をひとまずは回避。これにより、日本マーケットも自動車や商社、機械など買われました。
リスクオンの動きが広がり、日本株の大きな追い風になりましたね。
ファクター④:米国債利回り低下
金利市場にも大きな変化がありました。
4月中旬から下旬にかけて米長期金利(10年債)が下落し、これがドル高一服の要因となりました。今朝時点で4.2%まで下落しています。

出典:investing.com
為替ではドル円が一時143円台まで円安が進んだものの、金利の低下を受けて再び142円台まで戻ってきました。
これによって日経先物も36,000円を割れて引けています。
ファクター⑤:コモディティ市場の上昇
そして4月相場の“裏テーマ”だったのがコモディティです。
エネルギー、金属、そして金など幅広い資源価格が上昇しました。
中国景気底打ち期待や、中東など地政学リスクの高まり、インフレヘッジとしての資源需要などが要因として考えられますが、その中でも特にゴールドが上げましたね。

出典:oanda.jp
資源系商社、鉱山株、エネルギー株は引き続き見ておきたいセクターです。
まとめ:波を読む力を磨く
4月の相場は、単なる“リスクオン”ではなく、世界の複数の潮流が微妙に絡み合いながら生まれた相場、と言えるでしょう。
ポジティブに考えると、関税が落ち着き、決算が始まったことで新しい材料になることも期待したいですね。最近は自社株買いが好材料になることも多いので、見ておきたいところ。
相場は上げ下げを繰り返しており、特に今みたいに下がっているときほど相場を見ておくこと。上がりだしてから焦って動いても、すっ高値でジャンピングキャッチすることになるので注意です。
では、明日もいい波乗っていきましょう!