テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。
先週までの日本株と米国株はぶち上げで、暑い夏が始まりましたが相場もアツくなってます。今年のキーポイントは「米国の利下げ」と「大統領選挙」と、去年末からお伝えしてきましたが、今年は大統領選挙だけでなく世界各国で選挙が行われています。
今日は株と政治について考察するとともに、この週末にあった都知事選にも触れてみたいと思います。
なお、政治はアレルギーがある方も多くて、よくわからん・・と思う人が大半だと思いますが、特定のどこかの政党を推してるわけでもなければどこかの団体員でもなく、投資家/トレーダー目線でこの政治というイベントを楽しみ、リターンを得るにはどうしたらいいか、という視点で書いてますので、その前提でよろしく頼みます。
都知事選、どうなった?
まずは昨日、結果が出た都知事選ですね。結果は小池さんが再選。これでもう4年の小池都政が続きます。
過去の都知事選を見ても、現職が負けることはなく、今回も大方の予想通りって感じでした。小池さん強し。
そもそも東京都の予算は8兆4530億円(2024年)で、3年連続で最大となり、これに特別会計を合わせると16兆円にもなります。これはチェコの国家予算を超えるほどで、世界中にある小国の多くは東京都以下の予算しかなく、それほどまでに世界的都市TOKYOは巨大です。
また、東京は儲かりまくってるので、47都道府県でも地方交付税を受けていないのは東京だけ。よって、政府との交渉も強気で、ある意味で都知事というのは小国の大統領や首相よりも権力が大きいのです。
都知事選の結果はこんな感じですね。それぞれNHKから引用します。
小池百合子の再選
今回もブッチぎりで強かったですが小池さんですが、なんでそんなに強いのでしょうか?
そもそも日本人の国民性として、新しい変化よりも既存の流れを大事にする文化があるのも1つです。新しい誰かより、とりあえず今の小池さんでいいんじゃない的な人も多いでしょうね。
小池さんが初めて都知事選にチャレンジした2016年に掲げた公約はこれですが、
これがどこまで達成できたのか気になったので調べてみると、東京新聞さんが解説してくれてましたが、待機児童は2016年時点では8466人いたのが23年には286人と減ったり、ペット殺処分は18年時点でゼロになってたり、多少の結果はあったようです。
これがそのまとめ。
正直、小池さんは政治家の力量というよりはパフォーマンスがうまい人で、マスコミを使ってメディアPRに長けているなって印象です。
カイロ大学の学歴詐称問題を今回も突かれてましたが、↓の話題になった本も読みましたけど、私の印象としては学歴詐称ではなく”買収”ですね。金で買ったんだと思います。(実際はちょっと通っただけで卒業しておらず、でもお金払って卒業したことにして、大学も公的に認めてるので、詐称よりは買収かと)
今回ひとまず再選しましたが、学歴詐称で刑事告訴されるようなので、もしかしたら大逆転で負ける、みたいなことも0.1%くらいはあるかもです。
また、何がなんでも共産党や立憲民主党がバックにいる蓮舫さんには都知事になられたくないでしょうから、自民党が水面化でバックアップしてましたね。
先日の沖縄県議選挙でも、現職のデニー沖縄県知事はおもっきり中国寄りで、バックに共産党などいますから、そこも大勝したことから分かるように、なんだかんだで自民党も絶対に落としたらいけないところは勝ち切りますね。
んで、小池さんってやっぱり今の子育て世代から支持されてるんですよね。特に今回も無痛分娩の費用への助成金や、第二子からとなっている保育料の無償化を第一子にしたり、大学の給付金制度の創設なども打ち出しましたからね。
不妊治療や卵子凍結の支援、都内の全ての子供に月5,000円支援などもですね。この辺りは現職の都知事だからできることですし、そんなオファーをされたらやっぱり小池さんでいいんじゃない?ってなるのもわかりますね。
一方で、小池さんが勧めてるのは「EV路線」で、中国の電気自動車BYDに補助金を出してたり、東京都の住宅に太陽光パネルを義務化したりなど、やっぱり中国の息もかかってるなって印象です。
これで戸建ての価格が上がることは間違い無いですし、今日本の地方にもどんどんソーラーができてますが、あれほとんどは中国産です。設置したら国からお金も出るのでどんどん増えてますが、日本の国益になってないんですよね。
なので、私が見る小池さんは、何か政治家として国家感があるわけではなく、目先の人気とれそうな政策やキャッチーなEVとかやって、見た感じは色々やってくれそうな期待感を与えるのに長けてるので(メディア戦略含め)、それでここまできたんだなって印象です。
でも、政治なんてごく一部の人以外は興味ないので、それくらいの感じがいいのかもしれませんね。本質的で本当に大事なものほど見えないものですからね。
石丸伸二の躍進
出典:毎日新聞
今回の都知事選でもっとも台風の目になったのは石丸さんでしょう。彼はもともと三菱東京UFJ銀行で海外赴任していましたが、地元広島の安芸高田市長が失脚したので突然立候補しました。そこで見事勝利して、安芸高田の市長に。
それからSNSを中心にバズって、地方のシニア議員にブチギレたり、「恥を知れ」発言なども話題になって一気に全国区になりました。その勢いから都知事選にも立候補。今回は2位になるまで躍進しました。
彼がすごいのは、主要な政党から支援を受けずにここまでやったことです。まぁ、と言っても小池さん無理派も一定数いて、でもだからといって蓮舫に入れるのは無しでしょって人もいて、このような「支持政党なし」の人たちが石丸さんに流れたんだと思います。
私の友人や知人も石丸さんに入れた人が多くて、別に政治にそんなに興味ないけど、とりあえず誰かに入れるなら石丸さんかな、みたいなことも言ってたので、都内の特に現役世代や若者世代はそんな流れで入れたのかなと。
ただ、石丸さんの過去が少しずつ知られて、過去にはフェミニストの代表格である上野千鶴子さんを支持してたのがわかったり、ドトールの創業者から5000万円の支援を受けてたり、統一教会が運営するメディアでメイン司会をやってた人が今回応援してたりなど、「そっち系」なのかと疑惑も出たりもしました。
個人的にはSNSを使って世論を動かして、下手したら今の老人中心の政治をひっくり返せるかも、という可能性を感じたのは良かったと思います。
例えばホリエモンこと堀江貴文さんが首相になって、元ZOZOの前澤さんあたりが資金をどかっと出して、インフルエンサーのヒカルさんとか青汁王子とか、その他大勢のバズってる人たちが一致団結して、それに世論もついていくとなったら、今回の石丸フィーバー以上のことが起きるんじゃないかとか考えるんですね。
今の問題は増え続ける社会保険で、なんでも医者に行ってほぼタダで診てもらったり、謎の湿布とか薬とか、寝たきり老人とか、もうとにかく税金よりも社会保険の負荷が大きすぎで、だから現役世代が苦しんでいるのですが、そんな闇に切り込んでも総スカン食らって政治生命が終わるだけなので、どの政治家もスルーです。
医師会もおもっきり政治に食い込んでますし、政治家からしたら大事な票田ですから、医療の闇には誰も切り込めないんですよね。これは日本も米国も、どの先進国も同じような感じです。
これから石丸さんがどうなるかわからないですが、おそらく国政に出るでしょう。自民党から出るのか、他から出るのかわかりませんが、同じアラフォー世代なので応援したい気持ちもあるものの、いまいち彼が何をしたいのか、どんな国家感を持ってるかわからないんですよね。
今回の公約も「東京を分散する」みたいなこと言ってましたが、いまいちよくわからん・・となってました。
彼は広島が地元で、同じく岸田首相も広島ですから、そこでバチバチに世代交代のバトルを繰り広げるのも面白いんですけどね。引き続き石丸さんにも注目です。
蓮舫の失脚
出典:朝日新聞デジタル
残念ながら3位になった蓮舫さん。彼女はもともとは立憲民主党でしたが、その立場を捨てて都知事選に立候補。バックには共産党もついており、立憲民主党と合わせてリベラル左派チームが支えました。
ただ、言うまでもないですが、共産党や立憲民主党を支持してるのは基本的にシニア世代で、若者からの指示はかなり低いです。
今回も何を掲げるのかと思ったら、
こんなフワッとしたことしか言えず、こんなのを若手社員がプレゼン資料で作ってきたら1秒で全部やり直しさせるくらいの中身のなさだと思いますし、そもそも共産党や立憲民主党はかなり力が弱まっていて、支持してるのも若い頃に学生運動とかやってたシニア世代くらいで、あと10年20年したらもっと弱くなってるでしょう。
そもそも共産党が無理!となった人が立憲民主党に流れたわけで、そこが組んでる時点でちょっと・・ですからね。
で、自分を支持してくれる味方とだけ組んで、それに酔って謎の歌を歌ったり、多様性とか差別を無くそうとか、耳障りのいいことは言うものの自分と違う意見は聞き入れず徹底的に排除するという多様性のないことをしてますし、そもそも共産党って危険組織として国家公安からマークされてる存在で、世界中で共産主義はオワコンだよねってことが証明されてるのにそこをバックに持ってきた時点でアウトだったと思います。
公安調査庁のHPにもおもっきり共産党が危険組織と書かれてます。
小池さんに勝つなら、小池さんが掲げてること以上のメリットを提示しない限りは無理だったでしょうね。しかし、このように勇気を出して立候補したことは素晴らしいと思いますし、次回もしチャレンジする際はもっと戦略を練って善戦してほしいですね。
株にどんな影響がある?
最後に株の話を。
小池さんが今回どんなことをやってくるかですが、やはり子育て支援や妊娠、出産などの公約を掲げてきたので、それらに関連する株は見ててもいいかもしれませんね。
こちらは「ミンカブ」の子育て支援株。小ぶりな会社が多いと思いますが、見ておいていいかもですね。
こちらは不妊治療の関連株です。こちらは少子化対策関連株ですね。
なぜ、私が政治も見てるかと言うと、結局新しい産業が勃興するには政府の後押しも必要だからです。規制緩和もそうですし、資金の援助もそうですね。また、それを後押しする世論も大事です。
経済と政治は密接に絡まっていると思っていますし、半導体なんかも政府がガンガンお金を突っ込んでることからもわかるように、伸ばしていく産業は政府が絡んでます。
なので、政治を見る目も大事なんですね。毛嫌いせず、投資家として必要な能力・情報だと思うので、ぜひ参考になれば嬉しく思います。
補足
今年に入ってからも韓国、台湾、インド、メキシコ、アイスランド、ロシア、イラン、ポルトガル・・もうキリがないほど世界中で大統領選が行われています。
2024年は選挙イヤーなんですよ!ちょうど今もフランス選挙ですし、イギリスもありましたね。世界は反グローバルに動いていて、これらの結果は間違いなく株や為替にも影響します。
そして、世界が注目する大本命は米国の大統領選です。これが11月ですね。日本の総裁選は9月です。都知事選以上に白熱しますが、直接投票できないのが残念です。大統領選や今回の都知事選みたいに、この人!で投票できるようになったら、またちょっと違うと思うんですけどね。