From:編集部 黒木
移動平均線乖離率(いどうへいきんせんかいりりつ)は、テクニカル分析において重要な指標の一つです。
この指標は、現在の価格が移動平均線からどの程度離れているかを数値化したものです。
移動平均線乖離率は、現在の価格が移動平均線からどれぐらい離れているかを%で表した指標です。
移動平均線からの離れ具合で、買われすぎか売られすぎかを判断します。
価格と移動平均線が同じなら、乖離率が0%です。価格が移動平均線より上になると上位乖離といい、移動平均線より下になると下方乖離といいます。
つまり移動平均線から何%乖離されているかで、値動きを判断します。
移動平均線乖離率についてしっかりと理解ができれば、株式投資やFXの勝率を上げられます。
今回は、この移動平均線乖離率について説明をします。
移動平均線乖離率の計算方法と特徴
移動平均線乖離率の計算方法は比較的シンプルです。
- 移動平均線乖離率 = (現在の価格 – 移動平均線の値) / 移動平均線の値 × 100
この計算結果はパーセンテージで表示され、正の値は現在の価格が移動平均線よりも上にあることを、負の値は下にあることを示します。
移動平均線乖離率の覚えておくべき特徴をまとめました。
- トレンドの強さがわかる
- トレンド転換の合図
- 25日移動平均線の場合は±10%が目安
それぞれのポイントについてわかりやすく説明します。
トレンドの強さがわかる
乖離率が大きくなるほど、現在のトレンドが強いことを示します。
例えば、上昇トレンドにおいて乖離率が大きく正の値を示している場合、強い買いの勢いがあることを意味します。
ただし、25日移動平均線の場合だと±10%を超えるとトレンド転換の可能性がありますので、注意してください。
トレンド転換の合図
乖離率が極端な値を示した後、反対方向に動き始めると、トレンドの転換が近いことを示す場合があります。
例えば、長期間にわたって大きな正の乖離率を示していた相場が、乖離率の縮小や負の方向への転換を見せた場合、上昇トレンドの終わりを表している可能性があります。
この性質をうまく利用できれば、逆張りで大きな利益が狙える可能性がありますので、ぜひ覚えておきましょう。
25日移動平均線の場合は±10%
一般的に、乖離率が一定の範囲を超えると、市場が買われすぎまたは売られすぎの状態にあると判断されます。
例えば、多くの投資家は乖離率が+10%を超えると買われすぎ、-10%を下回ると売られすぎと判断するようです。
この法則を事前に知っておけば、トレンド転換についての判断がしやすくなるので、ぜひ覚えておきましょう。
ただし、これらの基準値は市場や個別銘柄によって異なる場合があります。
移動平均線乖離率の注意点
移動平均線乖離率を使用する際の注意点として、以下のようなものがあります。
- 移動平均線乖離率は絶対ではない
- 他のテクニカル指標と組み合わせて利用する必要がある
移動平均線乖離率の注意点についてわかりやすく説明をします。
移動平均線乖離率は絶対ではない
移動平均線乖離率は絶対ではありません。いくら乖離率が広がっても、トレンド転換せずにそのままトレンドが続く可能性もあります。
あくまで移動平均線乖離率は「目安」と考えた方が良いでしょう。
ただし、何も使わないよりは、圧倒的にトレンドを読む確率が高くなりますので、覚えておくべきです。
他のテクニカル指標と組み合わせて利用する必要がある
移動平均線帰り率の精度を上げるためには、他のテクニカル企業を組み合わせて利用するのが良いでしょう。特に相性が良いのはRSIとMACDです。
RSIとは、「Relative Strength Index」の頭文字をとった略語です。
日本語にすると、相対力指数といわれるものになります。
RSIは、一定期間における価格の変動幅から相場の買われすぎ・売られすぎをパーセンテージで表したテクニカル指標でオシレーター系の代表的な逆張り指標です。
RSIは0%から100%の数字で表されるもので、現在の相場が買われすぎなのか売られすぎなのかを判断するのに役に立つテクニカル指標になります。
RSIは移動平均線乖離率と同じく「買われすぎ」「売られすぎ」を計る指標なので組み合わせて使うことによってより「買われすぎ」「売られすぎ」を計る精度を上げることができます。
MACDは、Moving Average Convergence/Divergenceの略で、移動平均線をアレンジしてできたテクニカル指標です。
MACDは「MACD線」「シグナル線」「ヒストグラム」この3つの要素を使ってトレンドの有無や相場の過熱感を分析することができます。
3要素のうち最も重要なのがMACD線です。MACD線は「短期EMA−長期EMA」で計算されます。つまり短期と長期、2本のEMAの間にどのくらいの感覚があるのかをグラフにしたのがMACDです。
そのため、上昇トレンド発生中に2本のEMAの間隔が大きくなれば、 MACDも上昇し、反対に下降トレンド発生中に2本の間隔が大きくなればMACDは下降します。
MACDと移動平均線乖離率を組み合わせることで、トレンドの転換点をより的確に捉えられます。
移動平均線乖離率が極値を示す時にMACDがクロスすると、強力な売買シグナルとなる可能性があるので覚えておきましょう。大きなチャンスにつながるはずです。
移動平均線乖離率の活用方法
移動平均線乖離率の主な活用方法は以下の通りです。
- エントリーの判断
- 逆張りに使う
それ付けの活用方法についてわかりやすく説明をします。
エントリーの判断
移動平均線乖離率が大きく上に乖離している場合は、売りのタイミングになります。
逆に大きく下に乖離している場合は、買いのタイミングです。このようにエントリーするポイントに使いやすいのは移動平均線乖離率の大きなメリットになるでしょう。
逆張りに使う
移動平均線乖離率はRSIを使えば逆張り利用をできます。
どちらも買われすぎ、売られすぎを判断するためのテクニカル指標なので、どちらの指標も大きく買われすぎ、もしくは売られすぎを表していれば、逆張りに使うのが良いでしょう。
逆張りは非常に難しい投資手法ではありますが、成功すると大きな利益につながります。
特に円高に関しては円安になるスピードよりも一般的に早いといわれていますので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は移動平均線乖離率について説明をしました。
移動平均線乖離率は、株式もしくは為替が「買われすぎ」「売られすぎ」を表す指標です。
視覚的にもわかりやすいことから、多くのトレーダーに利用されており、投資初心者の方でも利用しやすいです。
買われすぎや売られすぎの状況がわかれば、株式投資やFXで短期で利益を開けるのに非常に役に立ちます。
ぜひ今回の記事を参考にしていただき、移動平均線乖離率について理解していただければ幸いです。そして実際に使ってみましょう。