
テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。
今日の日本市場は、債券市場と株式市場が対照的な動きでした。国内外で進行する「政策の不透明感」と「投資家の警戒心理」が進み、さらに週末は米国マーケットが休みということもあり、今日の日経平均も朝は良かったものの徐々に重くなりました。
今日は政府による補正予算の見送り報道もあり、そしてアメリカの関税にたいして懸念を示した日銀・植田総裁の発言もありました。
これらが複雑に絡み合って、債券市場では買いが加速、株式市場では売りが広がる展開となりました。
長期国債利回りが急低下。何があった?
今日のマーケットでは日本の超長期ゾーンの金利が大幅な低下となりました。
30年債利回りが2.6%台まで低下、40年債利回りも3.1%まで低下という大幅な下げを記録。これは日銀が利上げを開始して以降でも異例の下落幅です。
日本政府が今年度の補正予算案を提出しない方針を検討しているという報道がありましたが、これにより国債の追加発行懸念が和らぎ、長期債が買われたと思われます。
最近の物価高、関税への対策として現金給付や消費税引き下げの声もあり、財政拡張することの警戒からここ最近は長期国債は2.8%まで上昇していました。
ただ、補正予算の見送りは、景気支援に対して慎重な姿勢の表れです。結果的に企業業績の悪化につながることもあり、株価にはマイナスに作用する可能性もあるので、もっと積極的に予算を出してほしいところです。(国債発行でいいのです)
日経平均は反落、34,000円に届かず。
その一方で株式市場は対照的な動きとなり、日経平均は3日ぶり反落となりました。
今日の日経平均は前日比-1.28%の33,920円でした。TOPIXは-0.61%の2,498、グロース250は-1.73%の629でした。
寄り付きこそ高く始まったものの、米中貿易摩擦をめぐる報道から次第に重い展開になり、さらに米政府がエヌビディアなどの半導体企業に対し、中国企業への販売制限を強化する方針を示しました。
これによって半導体や電子部品株が大きく売られました。東京エレクトロン、アドバンテスト、ソシオネクストなどの主力の半導体が下落し、日経平均を押し下げる要因になりました。
また、オランダ半導体製造大手ASMLの決算も出ましたが、結果はネガティブでした。こちらも半導体株が重くなる要因でした。
日経平均は下げ幅を広げて一時は33,600円台になりましたが、引けにかけては少し買い直しもありました。
売買代金は3兆8316億円と、今日も4兆円を割れており、引き続き商いが少ない相場環境が続いています。
また、昨日の米国株は反落。 S&P500-0.17%、ナスダック-0.05%でした。S&Pは底値から10%以上あげて 乱高下の相場はひとまず落ち着いたのは良かったですが、半導体や医薬品など関税政策を巡る不透明感が続きます。
トランプ「ボールは中国」にあると発言し、中国もボーイング機を納入しないなど新たな報復も示唆。バチバチの状況が続いています。
米国による対中強硬策がエスカレートすれば、世界のサプライチェーンが混乱します。ハイテク関連も打撃を受けやすく、日本市場でも巻き添えリスクもあります。
為替は円高方向へ、142円前半まで上昇
さらに為替市場では、ドル円が一時142円25銭前後まで円高に進行。
前日の米PPIが予想を下回り、米国経済に対する不安が増加。さらに明日にひかえる日米の関税協議にむけて円買い圧力が強まりました。
特に注目されたのは、日本から米国に派遣された赤沢大臣の発言で、「必要に応じた為替対応もあり得る」との声も円高にすすむ要因になりました。
ドル円は円高トレンドが進んでおり、昨年秋の140円台へむかって進んでいます。輸出株には引き続き逆風が吹いていますね。
まとめ:安全資産シフトの兆し?市場は“守りの構え”
長期債が買われて金利が大きく低下して、株式市場ではハイテク・輸出株に売りが加速、円高が進行して安全資産としての円買いもみられます。
つまり市場は「守り」のスタンスが強く、それは売買高が少ないことからも分かると思います。今みたいな地合いですしね。まだしばらくは米中関係、FRBの発言、日本政府の方針などで不安定な相場が続きそうです。
なので、突発的なリスクに備えてフットワーク軽くいること、そしてあまり長く持ちすぎないことを意識してトレードしたい局面ですね。日米で長期金利が落ち着いてきたのは良かったです。これは安心材料ですね。
さて、今夜は21時からYouTubeでLIVEです。今日も情報をアップデートしましょう!