From:編集部 小早川
2024年10月28日に衆議院の解散総選挙が行われます。
石破政権が誕生して1ヵ月もたたないうちの総選挙になりますが、どのような結果になるか注目されている方も多いのではないでしょうか?
特に投資家の方たちは「総選挙と株価の関係」について興味があるはずです。
そこでこの記事では解散総選挙と株価の関係について解説をします。
わかりやすく解説をしますので、ぜひ参考にしてください
解散総選挙と株価には密接な関係がある!
解散総選挙と株価の動向には、しばしば密接な関連性が見られます。
解散総選挙が株価に与える影響を理解するためには、政治的安定性、経済政策の継続性、そして市場心理という3つの要素を考える必要があります。
まず、政治的安定性ですが、解散総選挙は、現政権の信任を問う機会です。
選挙結果次第では政権交代が起こる可能性があり、これは国の政策方針に大きな変化をもたらす可能性があります。
例えば、2012年12月の総選挙では、自民党が圧勝し、第二次安倍政権が発足しました。
この結果を受けて、日経平均株価は大幅に上昇。
これは、安倍政権が掲げた「アベノミクス」と呼ばれる経済政策への期待が高まったためです。
アベノミクスは、大胆な金融緩和、機動的な財政政策、成長戦略という「三本の矢」を柱としており、マーケットはこれらの政策が日本経済を活性化させ、デフレからの脱却を実現するのではないかと期待した結果、株価は大幅に上昇しました。
次に、経済政策の継続性という観点から考えてみましょう。
解散総選挙の結果によって、現在進行中の経済政策が継続されるのか、あるいは大きく方向転換するのかが決まります。
マーケットは通常、急激な政策変更よりも、漸進的な変化を好む傾向があります。
したがって、現在の経済政策が市場にとって好ましいものであれば、その政策を継続する政党の勝利は株価にプラスの影響を与える可能性が高いです。
例えば、先ほど触れたアベノミクスの例でいえば、2014年12月の衆議院解散総選挙でも自民党が勝利し、安倍政権が継続することになりました。
この結果を受けて、日経平均株価は再び上昇。これは、アベノミクスの継続への期待が市場に好感されたためと考えられます。
最後に、市場心理という要素について考えてみましょう。
解散総選挙は、投資家の心理に大きな影響を与えます。
なぜなら、政権を獲得する政党によって、政策は全く異なるからです。
選挙結果の予想が難しい場合、投資家はリスクを避けるために投資を控える傾向にあります。
一方で、選挙結果が明確になると、投資家の行動も活発化し、特に、マーケットにとって好ましい結果だと判断された場合、多くの投資家が一斉に買い注文を出すことで、株価が急上昇する「祝福相場」と呼ばれる現象が起こりやすくなるのをご存知でしょうか。
例えば、2017年10月の衆議院解散総選挙では、与党である自民党が圧勝しました。
この結果を受けて、日経平均株価は21年ぶりの高値を更新。
これは、安倍政権の経済政策が継続されるという期待に加え、北朝鮮問題などの地政学的リスクに対する不安が和らいだことも影響しています。
解散総選挙だけではなく、国際情勢を分析するのも重要!
解散総選挙と株価の関係を考える上で、もう一つ重要な点は、株式市場がグローバル化していることです。
日本の政治状況は確かに重要ですが、世界経済の動向や他国の政治状況も無視できません。
例えば、米中貿易摩擦や欧州の政治不安など、国際情勢の変化が日本の株価に大きな影響を与えることもあります。
したがって、解散総選挙の影響を分析する際には、国内の政治経済状況だけでなく、海外の動向に注目する必要もあるのです。
例えば、2021年10月の衆議院選挙では、岸田政権が発足しましたが、この時期の株価動向は、国内政治よりも世界的な景気回復期待や米国の金融政策の動向に大きく影響されていました。
また、解散総選挙が株価に与える影響は、産業セクターによって異なる場合があります。
例えば、公共事業の拡大を公約に掲げる政党が勝利した場合、建設や不動産セクターの株価が上昇する可能性がある一方で環境セクターの一部の企業の株価が下落する可能性があるでしょう。
今回の選挙の場合、石破総理は防衛に力を入れると見られるため、防衛関連の株は自民党が勝利した場合、上昇が期待できます。
また、石破氏は金利上昇を支持しているといわれているため、金利が上昇すると業績に大きな好影響を与える銀行株が上昇するかもしれません。
総選挙の影響は、時代によって違う?
総選挙の影響は、時代によって大きく異なります。
例えば、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、日本では複数の政権交代がありましたが、この間、日本経済は長期的な停滞に陥っていました。
政権交代による一時的な株価の変動はあったものの、根本的な経済構造の問題が解決されなかったためです。
一方で、2012年以降の安倍政権下では、日経平均株価が長期的な上昇トレンドを示しました。
これは、アベノミクスによる金融緩和策が継続的に実施され、企業業績の改善や株主還元の強化につながったためと考えられます。
このように、解散総選挙と株価の関係を理解するためには、短期的な市場反応と長期的な経済トレンドの両方を考慮する必要があります。
最後に、解散総選挙が株価に与える影響は、時代とともに変化している点も重要です。
かつては、解散総選挙の発表自体が大きなマーケット・イベントとなり、株価に大きな影響を与えていました。
しかし、近年では、解散総選挙の影響は相対的に小さくなっている傾向があります。
これには複数の要因が考えられます。
1つは、日本の政治が比較的安定し、急激な政策変更が起こりにくくなっていることです。
また、グローバル化の進展により、日本の株式市場が世界経済の動向により大きく影響されるようになっていることも要因の1つです。
さらに、情報技術の発達により、政治情報の伝達速度が格段に速くなり、市場が選挙結果を事前に織り込むことが容易になっていることも影響しています。
つまり、選挙結果が発表される前に、既に株価に反映されている場合が多いのです。
しかし、これは解散総選挙が株価に全く影響を与えなくなったということではありません。
予想外の選挙結果や、選挙後の具体的な政策発表などは、依然として株価に大きな影響を与える可能性があります。
まとめ
今回の記事では、解散総選挙と株価の関係について解説をしました。
解散総選挙はマーケットにとっても大きなイベントではありますが、解散総選挙の結果だけではなく、世界全体の動向を見極める必要があります。
ただし、どの党が政権を握るかによって政策は大きく変わるため、上昇しやすい銘柄は異なります。
各党の政策についてしっかり理解をしておく必要があるでしょう。