テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。
いよいよ大統領選挙ですね。現地時間11月5日火曜。日本時間だと6日水曜です。
すでに予想も出ていますが、賭けサイトを見るとトランプ優勢も、結果が出るまでまったく読めない展開です。
出典:polymarket.com
今日は改めて大統領選挙の仕組みを簡単解説して、金融マーケットの行末を考察してみようと思います。
5分でわかる大統領選挙の仕組み
まず、米国には2つの政党があります。それが「共和党」と「民主党」です。
大統領選挙は、この2つの政党がそれぞれ誰を大統領にするか?というところから始まります。
大統領選挙は4年に1回で、オリンピックイヤーに行われますが、いつもその年の1月から6月頃、両党から州ごとに誰を大統領候補にするか投票して、勝った方に代議員がついて、最終的にこの代議員を最も集めた候補が党を代表して大統領候補になります。(この時点で共和党はトランプ、民主党はバイデンだったけど降板→ハリスに)
そして、実際の選挙が始まるわけですが、米国は州ごとに法律が違うように、各州ごとに選挙になります。
憲法で決められた「選挙人」が各州にいて、合計538人の選挙人を取り合うバトル、それが大統領選挙です。
ただ、、、そうはいっても米国の選挙はシンプルで、先ほどの図をもう一度見るとわかるように、共和党(赤)と民主党(青)、どちらが勝つかはほぼほぼ決まっている州が大半で、最後の最後までどうなるかわからない7つの激戦州が重要です。
分かりやすく、カリフォルニアやニューヨークなど東の西の沿岸部の都市は民主党が強く、真ん中の大陸部は共和党が強いです。ほぼ100対0くらいの圧倒的な差で勝敗が決まります。
問題は激戦州で、フロリダ(31選挙人)、ペンシルベニア(19選挙人)、ミシガン(15選挙人)、ウィスコンシン(10選挙人)、アリゾナ(11選挙人)、ジョージア(16選挙人)、ネバダ(6選挙人)となっています。
この激戦州は「スイングステート」と呼ばれ、民主党・共和党のどちらも優位になっておらず、選挙ごとに支持が揺れ動きます。
支持率も両党ともほぼ均等になることが多く、これらの州の投票結果が最終的な結果に大きな影響を与えます。
特に今年、2024年の大統領選挙で最も鍵を握るのはジョージア、ミシガン、ペンシルベニアと言われており、これらの州は過去の大統領選挙でも接戦で、両党の候補者にとって勝利するための重要な地域とされてきました。
※ちなみに、今年トランプが暗殺されかけたのはペンシルバニア州のバトラー。重要な場所ってこともあり銃撃されたと思われる。
上院・下院って?
そして、米国には上院と下院の二院制となっており、上院は各州から2人ずつ選ばれ、全部で100人選出されます。任期は6年で、2年ごとに3割ずつ交代となります。
上院は州の人口は関係なく2人ずつなので、人口の少ない州でも大きな発言権を持ちます。
一方で下院は435議席あり、任期は2年です。こちらは州の人口によって議席数が変わります。人口の多いカリフォルニアは52議席あるものの、ワイオミング州などの人口が少ないところは1議席です。
ザクっと上院は「州を重視」し、下院は「人口を重視」します。どちらも小選挙区制(1つの選挙区ごとに1名のみを選出)で、最も票を多くとった人が勝つゲームです。
ちなみに、現在は上院が民主党系の51議席、下院が共和党222議席、民主党213議席となっています。
大統領選挙とセットでこちらの選挙もあり、今年はまったく先が見えない展開となっていて、
・トリプルレッド
→大統領が共和党(つまりトランプ)、上院下院も共和党
・トリプルブルー
大統領が民主党(つまりハリス)、上院下院も民主党
なども考えられ、また、大統領が共和党で、上院下院が民主党、などのねじれも考えられる展開になっています。
トランプとハリス以上に注目されているのは・・・
今回の選挙、候補者のトランプとハリス以上に注目を集めているのは、間違いなくイーロンマスクです。
今回の選挙ではトランプの演説に飛び入り参加したり、多額の献金もしていますが、米国はPAC(政治活動委員会)を通じて献金が可能で、互いの候補者は広告宣伝をたくさん使ったり、多くの人手が必要なのでたくさんお金を集めた方が有利とされています。
もちろん何にどれくらい使ったかを報告しないとダメなので、不正はできませんが、2020年の大統領選挙では民主党バイデン陣営が1,500億円、共和党トランプ陣営が1,000億円ほどの巨額のお金を突っ込んでバトルしました。こうした背景からも「たくさんお金を集めた方が勝ち」と揶揄される要因でもあります。
こうした背景から、激戦州であるスイングステートには巨額のお金が突っ込まれます。両党ともこの7州を抑えたら勝つわけなので、そもそも論として民主主義が成立してないのでは?と疑問も生まれます。
↑の画像を見ても分かりますが、今回も重要なペンシルバニア州でイーロンマスクが「抽選で毎日100万ドル」を配る宝クジを始めたり、この7州にネット広告を集中投下して宣伝活動をしています。
それは民主党も同じで、民主党は「不法移民」をこれらの激戦州に送り込み、彼らに市民権を与えてボランティアとして動員しています。
激戦州は1万ー2万票の僅差になることもあるため、なりふり構わず激戦州にどんどんと移民を送り込んでいて、こうした動きを見てトランプは「民主党政権があと4年続いたら、今よりもっと大量の不法移民を入れて合法化するだろう」と言っています。そして、「次の選挙では激戦州ではなくなり、この国は一党独裁国家となる」と懸念しています。(ただ、これらの移民がいなければ、労働力不足も否めないのも事実なので、判断が難しいところ)
選挙後、金融マーケットはどうなる?
ここ最近の米国金利の上昇を見てもわかるように、トランプ優勢となってからインフレ再燃が懸念されています。
こちらは直近1ヶ月の米国10年債ですが、上昇を続けています。
この水準まで上がるのは7月末以来のことで、トランプは基本的に「小さい政府」として、減税や規制緩和を進める政策ですから、経済ファーストでさらにインフレが加速するのでは?と懸念されているわけですね。
なので、相対的にドル高・円安が進んでおり、ドル円直近1ヶ月で見るとこんな動きになっています。
こちらはトランプソーシャルメディアテクノロジーの株価ですが、ここ1ヶ月ほどで暴騰しました。私もいいところで乗れて100%ほど儲かりましたが、昨日は大きく上げていることから、市場はトランプ大統領を織り込んでいると思います。
もちろんハリスになったら大暴落すると思うので、今から手を出すべきではないですが、このまま予想通りにトランプが勝つか、ハリスが最後に逆転ホームランを打つのか?世界中が注目しています。
トランプが勝ったら米国金利が上がって、ドル高、株高の流れが期待できると思いますし、ハリスになったら米国金利は下がって、ドル安、株はそこまで上下せず、でもなんだかんだで上がっていくビューで見ています。(ただこの状況からトランプが負けるとほぼ確実に不正選挙だ!となって荒れるため、相場も荒れること想定)
私は普段から決算プレイをしませんし、今ももちろん米国株はノーポジで静観しています。大統領選挙が終わった2日後、今週の金曜にはFOMCも控えます。
ここでは米国の利下げがコンセンサスになっていますから、大事なことは11月後半から年末までの動きですね。私はすでにそこを見据えたトレード戦略を考えています。
米国のリーダーは、そのまま世界のリーダーを決める戦いでもあります。また、トランプは大統領になったら当然ですが日本株にも影響があります。
現状は石破総理ですが、日本の最重要同盟国である米国とうまく渡り合っていけるのか?もちろんトランプは「米国は米国、日本は日本」のスタンスですから、日本の自立を促すと思います。
ただ、今の石破政権は「党内野党」と呼ばれていた、いわばリベラル政権なので、どちらかというとハリスの方が思想は近いです。(つまり親中)
世界の中でも安倍さんしかトランプをコントロールできなかったように、果たして石破さんが切った貼ったの交渉やディベートができるのか。〜〜ねばならない、のネバネバ交渉ではトランプがブチギレそうな気もしています。
一方でハリスになると交渉はスムーズにいくと思いますが、バイデンー岸田総理の時のように、米国の言われるがままウクライナなど海外に巨額のお金をばら撒いたり、反対多数の中でLGBT法案を通したりと、何かと国民の不利益をどんどん進めると思いますね…。
世界の行く末が決まる、運命の大統領選挙まであと1日。結果を見届けて、いい波乗っていきましょう!
選挙を前に・・
大統領選挙を前に「シビル・ウォー」を見てきました。
「もし今、アメリカが分断され、内戦が起きたらー」
連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている——」。就任 “3期目”に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくー
予告はこちら↓
今の米国を体現していて、かなり刺激的でした。またコラムにまとめるか、WAVYで解説します。