【4/8相場まとめ】日経平均は暴落翌日に1,800円高。大きく反発も長期金利上昇。

相場まとめ

テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。

昨日はサーキットブレーカーを発動するほどの急落を見せたばかりの日本市場でしたが、その急落が嘘のように今日のマーケットは力強く反発しました。

日経平均は前日比で一時2,100高に。終値は33,012円と33,000円の節目に回復。TOPIXも+6.2%と大幅に戻して、東証33業種すべてがプラス圏で推移するという「全面高」の展開になりました。

全面安のあとは全面高になりやすく、あまり相場がどっちかに偏りすぎるのはよくないのですが、それでもトランプ関税によって大きく売られた相場が戻ったのは良かったです。

ここだけを切り取って見ると、下げすぎの反動や投資家心理の回復という見方もできますが、市場の根底にある「本質的な不安」が解消されたわけではありません。

株式市場:“交渉観測”という希望

今回の上昇のトリガーとなったのは、トランプ前大統領と石破首相の電話会談です。

出典:NHK

報道によると、両者は相互関税について「建設的な対話」を行い、交渉の余地があるという観測が広がりました。

結果、前日に大きく売られていた自動車、電機、銀行株を中心に買い戻され、特に輸出関連は「関税が軽減されるのでは」との期待感から短期資金の押し目買いが入ったことで値幅も膨らみました。

とはいえ、現時点で関税撤回や猶予措置といった具体的な方針が打ち出されたわけではありません。

むしろ、トランプは日本の対応にたいしてあまりよく思ってなさそうで、それはこちらの記事を見てもわかるように、日本は貿易で粗末に扱ってきたとSNSに投稿。

出典:FNNプライムオンライン

トランプが言っているのは、円安誘導していることへの反対と、消費税(米国から見たら関税)をやめろということだと思っていて、加えて、米国では日本の自動車がたくさん走ってるけど日本では米国の自動車は走ってないと。

それは不平等じゃないかと言っているわけですが、ただ、それを言い出したら日本からデジタル赤字が年間6兆円も出ているので、これこそ不平等じゃないかと。

そう言ってくるなら、石破さんには「日本の関税を24%引き上げるなら、日本から出ているデジタル赤字も24%関税にします」くらい言ってほしかったんですけどね。(ざっと6兆円の24%なので1.2兆円ちょいの税収増!)

今日の日経平均は寄り付きから上昇、自動車株や銀行株、防衛関連などに買い戻しが入りました。プライム市場の99%が上昇する全面高に。売買代金は5兆4198億円でした。

指数への影響が大きい個別銘柄を見ると、東京エレクトロンやファストリ(もうすぐ決算!)、アドバンテスト、ソフトバンクG、リクルートなど買い戻されました。

前日の米国マーケットもハイテク主導で強かったです。S&P-0.23%、ナスダック+0.1%。半導体中心に買い戻しで、ショートカバーもあって上昇しました。

ただAppleなど対中国リスクから重めの銘柄もありましたね。中国は米国へ報復関税も表明しており、関連銘柄を触るのはちょっと怖いですね。

金融市場:金利は上昇、債券は売られる。為替は静観。

株のリスクオンに対し、債券市場は明確に“逆方向”に振れました。10年債利回りは1.25%まで上昇。

市場参加者が「今は国債を積極的に買いたくない」というシグナルを示したもので、株価反発によって利上げ再開の観測がわずかに上がったことも考えられます。

為替市場では、ドル円は147円台後半でのこう着が続きました。円売りの流れもありましたが、目先はドル円148円が意識されています。

関税問題が何一つ解決していないので、依然として先行きは不透明。円買い圧力も残った印象です。

ただ、今朝のXにもポストしましたが、この関税問題の本質は中国包囲網で、中国元も日本円も、どちらもドルに対して安いです。

トランプはそれを是正したいと思っていて、つまり、日本は米国から通貨安誘導国と見られているんですよ。

自国通貨を安くすること=つまり円安にすること

は、経済的メリットが大きく、むしろ近隣国からは「NO」を突き付けられるものです。隣の国がバーゲンセールをしたら、そっちにお金が流れますからね。

なので、日銀は簡単にハト派には転じられない流れになっていて、円高誘導を迫られる可能性もあります。

日本がバブル崩壊したのは「プラザ合意」ですが、あれは日本包囲網でした。米国や英国を中心に為替を円高誘導にもっていかれて、それまでドル円250円くらいの超円安だったので日本の家電など世界中で売れていたのですが、流れが変わったのがプラザ合意でした。

ちなみに、そのプラザ合意が行われたプラザホテルを買収したのが、若き日のトランプです。そのプラザホテルを買収→トランプホテル第一号になったのは有名な話。

向川の視点:これは一時的な反発か?それとも上昇トレンドの始まりか?

さすがに昨日までは売られすぎですね。今回の反発を受けて、「これで底打ち」と考えるのは危険です。

空売りの買い戻しなど、今日は「自律反発」という言葉がピッタリだと思いますが、まだ「下げすぎたから戻っただけ」であり、トレンド転換ではないです。

今回の反発には明確な買い材料があったわけではなく、関税問題もまだこれから。次は9日に追加関税があるかどうかわかりますが、さらに追加の関税を言ってくるかもしれません。

政策の方向性も見えず、米中の関税問題も“対話”以上の進展はありません。

加えて、債券市場は不安定で、長期金利はじわじわ上昇中。インフレ・金利・為替・貿易政策。どれを取っても不透明さが払拭されたわけではないです。

こんな時はスイングトレードで数日持ち越すのも怖いので、昨日引けで買ったのは今日引けで利食いして、あらたに買っておきました。(買い売り共に)

今週の相場は、買いではなく「冷静に振り返るタイミング」だと思います。この反発の正体は何か?

新しいトレンドはいつも「違和感」から始まります。その違和感を見逃さず、マーケットの裏にある“空気”を読んで、チャートの向こう側を考察しましょう!