From:編集部 黒木
2024年11月5日から東京証券取引所の取引時間が延長になりました。
従来は15時までの取引時間でしたが、11月5日からは15時30分までに延長になっています。
「取引時間が30分延長になっただけでしょう」と思われている方も多いかもしれませんが、今回、取引時間の延長に伴い、東京証券取引所は「クロージング・オークション」を導入したのをご存知でしょうか?
クロージング・オークションについて知らないと、株式取引で思わぬ損失を出してしまうかもしれません。
そこでこの記事ではクロージング・オークションについて詳しく解説をします。わかりやすく解説をしますので、参考にしてください。
東京証券取引所の取引時間延長に関する概要
まずは2024年11月5日に東京証券取引所の取引時間延長に関する概要についてまとめましたので、参考にしてください。
項目 | 内容 |
取引時間 | 9:00~11:30、12:30~15:30(15:25~15:30は「プレ・クロージング」という注文のみを集める時間) |
売買成立可能値幅 | 直前の約定値段等から更新値幅の2倍まで(現行の大引けの板寄せと同じ) |
プレ・クロージング中の注文の取扱い(同時呼値注文) | プレ・クロージング中の注文は「同時呼値」扱い |
注文の取扱い(引け条件付注文) | 引け条件付注文と不成注文は15:25に板に登録 |
特別約定(終値成立機会の向上) | 売買成立可能値幅内で板寄せ要件を充足しない場合でも、当該値幅の上限(下限)値段で約定処理の対象となる注文が存在する場合は、当該値段を約定値段として約定処理を実施 |
それでは、クロージング・オークションについて説明していきます。
クロージング・オークションとは?
今回新たに導入されたクロージング・オークションとは、15時25分から15時30分の間取引ができない時間帯のことです。
クロージング・オークションは簡単に説明をすると、この5分間で多くの注文を集めて、終値を決定する方法になります。
従来、終値は取引終了直前に取引した人が提示した「買いたい株価」と「売りたい株価」をもとに決められていました。
取引終了直前に取引をした人の提示した価格のみで決められるため、公平性に問題があると以前から指摘されていたのです。
クロージング・オークションを導入することで、5分間の注文の価格をもとに終値が決まることになるので、以前より公平性が高まると期待されています。
では、このクロージング・オークションにはどのようなメリットや注意点があるのでしょうか?
クロージング・オークションの主なメリットは3つ!
クロージング・オークションには様々なメリットがありますが、主なメリットは3つです。
- 大口投資家の意向に左右されづらくなる
- 終値の信頼性や公平性が高まる
- 翌日以降の戦略が立てやすい
クロージング・オークションのそれぞれのメリットについてわかりやすく解説をします。
大口投資家の意向に左右されづらくなる
大口投資家の多くは、アルゴリズムに代表される高速取引を行っているケースが多いです。
取引終了時間直前に大量の注文を出し、自分たちの希望する終値に操作しているのではないかという指摘が以前からありました。
クロージング・オークションを導入することによって、取引直前の売買で終値が決まるのではなくなったため、大口投資家の意向に左右されづらくなったのは大きなメリットになるでしょう。
終値の信頼性や公平性が高まる
取引時間終了直前に大量の注文を出すことによって、終値を操作することができなくなったため、以前にも増して終わり値の信頼性や公平性が高まるといった指摘があります。
翌日以降の戦略が立てやすい
終値は翌日以降の戦略を立てる上で非常に重要です。
この記事を読んでいる株式トレーダーの方の多くは、終値を参考に翌日以降の戦略を立てているのではないでしょうか。
もちろん日中のチャートを読み込み、戦略を立てるトレーダーもいますが、最もわかりやすいのはやはり終値です。
終値の公平性や信頼性が高まったことにより、翌日以降の戦略がより立てやすくなったのは、クロージング・オークション導入の大きなメリットになるでしょう。
クロージング・オークションの主な注意点は2つ!
クロージング・オークションには様々なメリットがありますが、注意点もあります。
- 15時25分から15時30分の間、リアルタイム株価が提示されない
- 成行注文の場合、思わぬ価格で約定される可能性がある
クロージング・オークションの注意点については、知らないと損失に直結してしまう可能性があるので、必ず覚えておいてください。
15時25分から15時30分の間、リアルタイム株価が提示されない
「取引時間が15時半までになったから、ギリギリまでトレードができる」と思っている方も多いかもしれませんが、クロージング・オークション導入により15時25分から15時30分の間はリアルタイム株価が提示されないようになりました。
クロージング・オークションを知らないと、大多数の方は戸惑ってしまうはずです。5分間の間、リアルタイム株価の提示がないのは注意点になってしまうでしょう。
成行注文の場合、思わぬ価格で約定される可能性がある
クロージング・オークションの導入により、15時25分から15時30分の間の5分間はリアルタイムの株価がわからないため、15時30分になった瞬間に思わぬ価格で成行注文が成立してしまう可能性があります。
大きな値動きがある可能性もあるので、この5分間については慣れるまで成行注文は出さないほうが良いでしょう。
まとめ
この記事では、2024年11月5日に導入された東京証券取引所のクロージング・オークションについて解説をしました。
クロージング・オークションについて知らないと思わぬ損失を負ってしまう可能性があります。
終値の信頼性や公平性を高める良い制度ではありますが、株式投資の損益に直結してしまう可能性があるので、ぜひ今回を機会に覚えていただければ幸いです。