【11月雇用統計を受けて】利下げの可能性が高まる!米国株には追い風か

コラム

From:編集部 黒木

2024年12月6日に雇用統計が発表されました。内容は前月、ハリケーンと大規模なストライキで大幅に減少していた非農業部門雇用者数は前月比227,000人増加と回復を見せたものの、失業率は0.1%上昇し、4.2%といった結果でした。

この結果を受けて、今後米国株はどのように動くのか考察をしたので、ぜひ参考にしてください。

結論としては、12月のFOMCで0.25%の利下げの確率が高まったため、米国株には追い風になる可能性があります。

雇用統計の結果は、予想に近いものだった

今回の雇用統計の結果は、非農業部門雇用者数、失業率ともに予想と近い内容でした。

アメリカの労働市場は悪化はしていないものの、減速傾向にあることが確認され、12月17日、18日に開催されるFOMCでの0.25%の利下げの可能性が大きく高まりました。

12月11日に発表されるアメリカCPIの結果がよほど強くない限り、0.25%の利下げに踏み切る可能性が高いでしょう。

今回の結果は、今後のアメリカの株式にどのような影響を与えるのでしょうか?

長期で見れば、利下げは株式にとってプラス要因

利下げは長期で見れば、株式にとってプラス要因です。短期で見ると、90%以上のマーケット関係者が利下げを予想している状況なので、仮に予想通り0.25%の利下げが起きても大きく株価が上昇する可能性は低いかもしれません。

ただし、長期で見れば、利下げは株式にとってプラス要因です。

利下げが株式にとってプラス要因の主な理由は2つあります。

  • 企業の資金調達コストが低くなる
  • 債券の利回りが低くなるため、相対的に株式の魅力が高まる

それぞれの理由について、わかりやすく解説をします。

企業の資金調達コストが低くなる

まず、金利の低下は企業の資金調達コストを下げる効果があります。

企業は低金利で資金を借り入れることができるため、設備投資や事業拡大がしやすくなります。

特に、成長企業や負債比率の高い企業にとって、この効果は大きいでしょう。

アメリカの株価はハイテク企業の株価上昇によって牽引されています。

ハイテク企業は成長企業が多いため、資金需要が高く、資金の調達コストが低くなるのは、特にナスダックに上場している銘柄にとって大きなメリットになるでしょう。

なぜなら、ナスダック市場には多くのハイテク銘柄が上場しているからです。

債券の利回りが低くなるため、相対的に株式の魅力が高まる

利下げを行うと、債券の利回りが低下するため、投資家は相対的に高いリターンを求めて株式市場に資金をシフトする傾向があります。

債券対比株式の魅力が高まるため、株式にお金が集まりやすくなるので、利下げは株価が上昇する要因になるのです。

利下げによって影響の受けやすいセクターはどこ?

セクター別の影響を見ると、特に影響を受けやすいセクターは不動産や公益事業などの高配当セクターです。

利回り商品としての魅力が相対的に高まるため、恩恵を受けやすい傾向にあるからです。

また、成長株、特にテクノロジーセクターは、将来の収益の現在価値が相対的に高く評価されるため、低金利環境で選ばれる傾向があります。

一方で、金融セクター、特に銀行株は、利下げによって利ざやが縮小する可能性があるため、マイナスの影響を受けやすいです。

このように、利下げは、株式市場全体にとってはプラス要因になることが多いですが、セクターによって大きく影響が異なりますので、注意しましょう。

利下げはいいことばかりではない?

利下げは、一般的に株式にとってプラス材料に働きますが、必ずしも良いことばかりではありません。

例えば、景気後退懸念が強い中での利下げは、必ずしも株式市場にポジティブな影響を与えないことがあります。

これは、利下げ自体が経済の弱さを示すシグナルとして捉えられるためです。

アメリカの景気は強いとされていますが、高いインフレや失業率の上昇など懸念要因もあります。

今後の雇用統計やCPIの結果によって、アメリカ経済の原則傾向が確認されると、利下げを行っても、そもそも経済自体が弱まっているので、株価にとってはアゲインストになるでしょう。

また、市場が既に利下げを織り込んでいる場合、実際の利下げ発表時の市場反応は限定的となることがあります。

逆に、予想以上の利下げ幅や、より積極的な金融緩和姿勢が示された場合は、市場が大きく反応する可能性が高いです。

今後の注目ポイントは、CPIと来年以降の利下げペース

今回の雇用統計に関しては、無難に過ぎた印象ですが、今後の注目はCPIと来年の利下げペースに移りそうです。

特に12月12日に発表されるCPIの結果によっては、利下げのペースが大きく左右される可能性があります。

現場、FRBは2025年に2回から3回程度の利下げをして、現在の4.75%の政策、金利から3.5%から4%程度まで金利を引き下げると見ている資料関係者が多いようです。

ただし、これはあくまで予想であって、雇用統計やCPIの結果によって大きく左右されます。

また、大きな利下げは一見すると、株式市場にとって追い風のように見えますが、先ほど説明した通り、アメリカの経済自体が弱っている証明にもなりますので、一概には何ともいえません。

今後の株価を占う上で、雇用統計とCPIには必ず注目するようにしましょう。

まとめ

今回は、2024年12月6日に発表された雇用統計について解説をしました。

今回の雇用統計については、ほぼ予想通りの内容で大きな株価の変動はありませんでした。

しかし、今後発表されるCPIの結果によってはアメリカの政策金利が大きく変わる可能性があります。

ぜひ今回の記事を参考にしていただき、今後、雇用統計やCPIなどの注目の経済指標について必ず確認するようにしていただければ幸いです。