米国最強の半導体株エヌビディアの強みは?何がスゴいのか考察。

コラム

テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。

今週の相場は静かにスタートしました。これは先日からお伝えしている通り、米国株が昨日お休みだったこと、そして今夜(というか明け方ですね)にエヌビディアの決算があります。

米国株も日本株も、今の上昇相場を引っ張るのは半導体やAIなどハイテク株ですが、その中でも特に先頭を走ってるのがエヌビディアです。

今日はそのエヌビディアについてザクっと振り返るので、出てくる決算と合わせてチェックしておきましょう。

エヌビディアってなんの会社?

まず、この会社はなんの会社か?はっきりさせておきましょう。

一言で「半導体」と言っても事業内容はそれぞれ違います。エヌビディアは半導体メーカーで、パソコン用のGPUを作ってる会社です。

GPUとは画像処理装置のことで、その名前の通り、画像を描写するために必要な計算を処理するものです。最近は画像だけでなく動画を見る機会も増えたので、より速く、より綺麗に画像や動画を見るためにはGPUが必要です。

似たような言葉でCPUという言葉もあり、どちらも処理装置は同じです。しかしCPUよりもGPUの方が高速な画像処理ができるのが特徴で、今のAIブームには高性能のCPUが欠かせません。

さらにエヌビディアは人工知能のチップも作っており、自動運転システムの開発なども手掛けるなど、半導体業界のニューリーダーとして注目されているのです。

エヌビディアの株を見てみる

では次に、エヌビディアの株価を見ていきます。

こちらは2020年春から2024年現在までの株価の動きです。こうしてみると、2020年の株価は100ドルほどでしたが、現在は726ドルまで上昇。ざっと7倍になっています。

2023年1月の株価が150ドルほどでしたので、特にこの1年〜2年で急成長しています。

Bloombergのデータによれば、ウォール・ストリートのアナリストの8割がエヌビディアを「買い」と見ており、全世界の投資家がエヌビディアの動向に注目。3ヶ月に1回ある決算では、いつもマグ7(グーグル、アップル、マイクロソフトなどのハイテク大手7社)の最後に登場。直近は日本時間だと明日明け方ですね。

また、こちらは2月15日の日経新聞の記事ですが、エヌビディアの時価総額がグーグルを抜いて世界の時価総額ランキングで4位になりました。

出典:日経新聞

GPUの需要が急増

エヌビディアが作るGPUですが、今時代の変化とともに世界中で需要が広がっています。その理由が、chat GTPに代表される「生成AI」です。

画像を作ったり言語を作る生成AIでは、膨大な学習によって作ったAIを動かすための「推論」という作業が必要になります。つまり、いろんな言語や画像を覚えさせて、いろんなお題にパッと応えられるようなトレーニングが必要ということです。

そのためにはより多くのデータ容量が必要ですし、高速回転させて膨大な情報を処理するためのパワーも必要です。そのために高性能のGPUを搭載しなければいけません。

現在このGPUが供給不足になっており、世界中のハイテク企業がエヌビディアのGPUを求めて列をなしている状態で、ライバル企業のインテルやAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)などもGPU作りを強化したり、グーグルやアマゾン、メタなども開発に乗り出してますが、エヌビディアが頭1つ抜き出ています。

ゴールドラッシュで本当に儲かったのは誰だ?

1800年代の米国では、ゴールドラッシュが起こりました。カリフォルニア州にある河川で、偶然見つかった砂金。この砂金が新聞で取り上げられ、米国中の冒険家やトレジャーハンターが一攫千金を夢見てカリフォルニアに集まりました。

多くの人や採掘業社がゴールドを掘り当てようと頑張りましたが、一部の人だけが富を手にしたものの、ほとんどの人は夢半ばで破れていきました。この時に本当に儲かったのは誰か?

勇敢な冒険家?トレジャーハンター?いいえ、答えはその周辺でスコップやシャベルを売ったり、ジーンズを売ってた人なんですね。(リーバイスはここから始まったのです)

かつてはゴールドが、世界中の人が求めるお宝でした。では、現代はなんでしょうか?そう、答えは半導体ですね。現代のゴールドラッシュとは「チップラッシュ」と言えるもので、高性能のチップ(半導体)を求めてAIブームが起こっているのです。

どの企業もAIブームに乗り遅れまいと、AI開発に力を注いでいます。そして、その流れが加速すればするほどエヌビディアが作るチップが必要になるのです。

つまり、エヌビディアはこのAIブームという名のゴールドラッシュでいえば、最先端のスコップやシャベルを売っているようなもの。これがエヌビディアが強すぎる理由です。

なぜ今日の決算が注目される?

そんなエヌビディアの決算が日本時間の明日明け方に出てきます。儲かってるのは当たり前で、大事なことは「さらなる成長が期待できるか」です。つまり、出てくる決算が「▲」か「⚫️」か「◎」かが大事ということ。

市場のコンセンサスは21.9Billion。(1billionは今のドル円レートで1500億円くらいなので33兆円くらい)

まずはこれを上回るかどうか。下回ったら当然、株価は下がるはず。そして他の半導体も巻き込まれて下落するはずです。予想通りに来てもちょっと物足りないくらいです。よって、相場は荒れることも想定。

23〜25Billionで出てきたら、ポジティブになると思います。過去の決算を見ても、これ以上に伸びてくることは現実的ではなさそう。むしろ25超えてきたら暴騰するかもです。

エヌビディア株は今年に入ってからさらに高騰して、現在は700ドルを超えてきましたが、それまでは500ドルの壁を越えれずにいました。よって、よほど大きく下げても500ドルくらいまでだとは思います。

その前に600くらいで止まるかもですが、なんにせよ微妙な決算が出たら下落することも想定してた方がいいでしょう。

日本株への影響は?

もちろん日本株への影響も考えられます。レーザーテック、東京エレクトロンなどの半導体株が強いですが、日本も今の相場を作ってるのは半導体です。

さらにエヌビディアの決算は米国市場が引けてから出てきますので、明日の明け方です。ダイレクトに日本市場に影響が出ることも考えておかねばなりません。

ただ、基本的にはポジティブで考えていますし、ここまで米国企業も決算がいいです。アマゾン、メタなどは決算後に高騰しましたし、ARMも50%ほど上がりました。アップルは弱かったですが、それでもやや下げで終わっています。

決算がどうなるかは誰にもわからないもので、なので面白いところでもありますが、私は基本的に決算またぎはしないので、静観しながらこのビッグイベントを見守ろうと思っています。

米国株相場の先頭を走るエヌビディアの決算、それはつまり、AIブームがただのブームなのか、それとも本物のブームなのかが問われる超重要なイベントです。期待して見守りましょう!