テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。
2024年も終わりが近づいてきましたね。相場も残すところあと1週間となりました。
今年は何を言っても米国の利下げ、そして大統領選挙に注目が集まりましたが、米国は9月に約5年ぶりとなる利下げを決行。そこから今回のFOMCを含めて3回連続で利下げを行いました。
一方で日本は8月に電撃的な利上げがあり、その後は日本株が急落。すぐに回復して持ち直しましたが、今年の後半はずっと揉み合いが続いています。
年初来の日本株と米国株、為替の推移
こちらは年初来の日経平均ですが、1月から7月まで大きく上昇しているものの、後半は大きく動きませんでした。
こちらは年初来のS&P500ですが、途中で調整局面はあるものの、右肩上がりで伸びていますね。
こちらは年初来のドル円ですが、日経平均とある程度は連動して動いているのがわかると思います。
7月まで上昇して円安進行。その後、夏にドル円160円前後に到達。政府の為替介入によって円高にふれたものの、9月頃からまた円安に戻っています。
日本の物価上昇はどこまで進んでる?
そして、行き過ぎた円安によって日本の物価上昇は進んでいます。
こちらは直近11月の日本の消費者物価指数ですが、市場予想も上振れしていたものの、さらに上回ってきています。
日本は長くデフレが続き、モノの値段が上がらない状態が続いていました。そして、経済は停滞していました。
そこからアベノミクスによって株価が持ち直し、雇用も改善され、株価も上昇し、給料も少しずつ増えてきました。
すでに日本の物価は上昇しており、こちらはコロナ禍以降での日本の物価上昇の推移ですが、ずっと上がっています。
日銀会合の結果
日本はいろんなものを海外から輸入しています。
原油や天然ガス、医薬品や衣類、半導体などの電子部品、野菜など農産物など、私たちの身近にあるものは海外から仕入れてるものが多いです。
しかし、円安になればなるほど、海外からの仕入れコストは高くなります。逆に海外に輸出する時はメリットが大きいです。よって、円安に進むとトヨタや三井物産など海外にものを売ってる企業は儲かります。
が、私たちの生活は厳しくなるのは事実で、もちろんそれをビビってたらダメなのですが、政府もさすがに行き過ぎた円安にはブレーキをかけたいようです。
そのボーダーラインがドル円160円で、なので今年も160円は超えさせないために円買い介入をして調整してきました。
だからこそ、今回の今年最後の日銀会合では「利上げがあるのか?」と注目が集まっていたのです。
私も事前の予測では利上げすると見ていました。少なくとも、利上げなしになっても2025年以降の見立てとしてタカ派、つまり金利を上げていくスタンスを発表すると思っていました。
しかし・・。
今回の日銀会合での判断は「利上げなし」でした。
先ほどの画像を見てもわかるように、すでに日本の物価上昇は目標の2%を超えて、3%に近づいています。
おそらく今後このスピードはまだ加速していき、3%超えるのは確実と思われます。
今回の植田総裁の会見も見ていましたが、8月の会合でちょっとタカ派なこと言ったら相場が急落したので、あの時のこと意識しているのかなという印象を受けました。
また、来年の春闘での賃金動向を見たいとも言っていて、そのデータが出てくるのが5月とか6月になることから、向こう半年は利上げなし、みたいなニュアンスとも受け取りました。
その結果、もちろん為替は円安に進んだわけですが、このまま物価上昇がさらに進んでいくと、少しくらい利上げをしても効果は限定的で、かつ米国は利下げしていくわけですが、その速度は鈍化していきます。
米国は米国で問題を抱えていて、強すぎる経済によって利下げするとさらにインフレが加速することから慎重になりつつあります。
トランプは減税、規制緩和で、小さい政府を作ろうとしています。
石破さんは増税、規制強化で、大きな政府を作ろうとしています。
どちらも悩みを抱えているのですが、米国は贅沢な悩みです。しかし日本は苦しい悩みです。
もちろん今の状況で利上げしたら株は下がるでしょうし、経済は厳しくなるのはわかりますが、かと言って今の流れだとさらに円安加速、物価上昇は間違いない道で、2025年はよりその流れが加速しそうです。
おそらく、来年のどこかで利上げすると思いますが、場合によってはちょっとの利上げではほとんど効果がないかもしれません。
なので、今年夏の利上げよりもっと強烈な利上げをする必要に迫られることも考えられます。もちろんそうなった時はもっと急落の幅は大きくなるはずです。
1月にも日銀会合がありますが、その次は3月まで飛ぶので、次回の会合も注目ですね。
さて、明日からは年内最後の1週間です。海外勢はクリスマス休暇もあってやや閑散としそうです。火曜は半休、水曜は全休ですね。日本株は円安が追い風になってほしいところ。来週もいい波乗っていきましょう!