AIバブルはいつまで続く?DeepSeek登場でも株価が下がらない理由

コラム

テクニカルアナリストの向川a.k.a.チャートの向こう側です。

1月相場が終わりましたね。2025年が始まって早くも1ヶ月が経ちました。

今年は何を言ってもトランプで、彼が言うことやることで世界中の相場が動きます。まさに”トランプ劇場”と言っていいでしょう。

第一次トランプ政権(2016年ー2020年)と比べると、ちょっと温和になった感もあります。前回はもっと中国にもバチバチでしたからね。

中国発AI「 DeepSeek」とは?

今週は何を言っても中国発AI「DeepSeek」が大きな話題になりました。

ここ数年の金融マーケットを振り返ると、ど真ん中にいたのはAIや半導体などハイテク株です。

そもそもAIには膨大な情報を食わせるための”推論”という作業が必要になり、そのために高性能のGPUが必要で、それを作っているのがエヌビディアやTSMCです。

厳密にはエヌビディアは半導体の設計だけやって、実際に作ってるのはTSMCなのですが、今の時代あらゆるモノの中に半導体が搭載されています。スマホ、パソコン、冷蔵庫などの家電はもちろん、戦争に使う兵器や宇宙船にも搭載されています。

かつては石油やエネルギーを求めて世界中で戦争が起きていましたが、今では高性能の半導体を求めてバチバチしてます。だから、米国は半導体への規制を強めています。

今週はこんなニュースもありました。トランプ政権がエヌビディア製半導体を中国に出すなという規制ですね。

出典:日経新聞

中国からすると、米国から制裁を受けて高性能のGPUが買えないのは困るわけで、そうなると自分たちで作ってしまえということで、中国のヘッジファンドが開発したのがDeepSeekです。

さっそく私もインストールして使ってみましたが、ChatGPTとそこまで違いはないなと思いました。でも、それでも製造コストは何十分の1です。

さらに無料でソースコードも公開されて、これから世界中のエンジニアたちがさらにバージョンアップさせたものを開発するのだと思います。

AIバブルはどこまで続く?

今週はこのDeepSeekの影響で日本株も米国株も下がって始まりました。

こちら今週のS&P500ですが、週初めで下落して、そこから反発したものの、週末金曜でまた下げました。

こちらは日経平均の今週のチャートですが、同じように週初めで下がったものの、そこから盛り返しています。4万円には届かなかったですが、来週に期待したいですね。

そもそもAIのような先端技術は、多くの人はそれが何かをわかってないですし、私も正直言って詳しいところまではわかりません。

でもバブルってそうゆうもので、特にAIみたいな産業は何かわかりやすいプロダクトがあるわけではありません。iphoneなどわかりやすいですが、そうゆうわけじゃないですよね。

もっとふわっとした期待感です。それだけでバブルが起こって、ここまでマーケットが動いてきています。

でも、よく考えたら、どの企業もAIで儲けてないんですよね。GoogleもMETAもMicrosoftも、ウン兆円レベルのお金を突っ込んでAI投資していますし、先日のソフトバンク孫さんのニュースからもわかるように、おそらくまだバブルは続くのでしょう。

出典:ロイター

AIで本当に儲けてるのは誰?

ただ、今回DeepSeekが出てきましたが、これが世界を変えることはないと思います。どこまでいっても中国産のAIであり、重要な情報を入れて調べたりするわけがありません。

すでにイタリアは利用禁止を発表しましたし、

台湾も禁止になりました。

AIで本当に儲かっているのはエヌビディアとTSMCだけなのですが、だからと言って巨額投資をしているGoogleやMicrosoftが赤字かというとそうゆうわけでもありません。

大規模なデータ処理を行うために100万台以上のサーバーを構築するサービスプロバイダーを「ハイパースケーラー」と呼びますが、世界中でクラウドサービスを展開する Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などがそれに該当します。

彼らがエヌビディアの高額なGPUを買ってAIデータセンターを作って、そこにAIのスタートアップ企業たちがどんどん投資して、ハイパースケーラーも儲かるという構造になっています。

今後10年間で世界中のデータセンターの3分の2をハイパースケーラーが保有するとも言われており、私からすると「AIで儲けるのは難しいのでAIで儲けたい人にスコップを売る」という構図が見えます。

chatGTPなど有料課金して使う人もいると思いますが、全体の何%でしょうか?そんなにいないでは?と思います。

とんでもない規模の資金が動いているのに関わらず、AIそのもので儲かっている企業はないのです。これが面白いなと、私は思っています。いつまでこのバブルは続くのかと。

バブルの行く末

バブルはどこかで必ず消滅します。それは過去の歴史を振り返っても明らかです。

でも、先ほど解説したようにメガテックが世界中にデータセンターを作り、世界中で続々と誕生するAIスタートアップたちがそこに投資して、ハイパースケーラーも儲かって、エヌビディアも儲かるという構造がある以上、ちょっとのことではバブルは終わらないでしょう。

私ももちろんその恩恵を受けようと思っていますし、2025年相場もAIやハイテクはど真ん中のセクターですから、

「踊る阿呆に見る阿呆 同じ阿呆なら踊らにゃ損損」

です。つまり、「踊る人も見ている人も、どうせ阿呆なのだから踊ったほうが得」です。

しかし、実際にこうして新しいAIが誕生し、DeepSeekのようなAIがすでにたくさん存在していることからも、今後はchatGTPの優位性も落ちていくかもしれません。そもそも両者の機能面には大きな違いがなく、問題は政治的な思惑ですからね。

チャンスタイムのうちは積極的に乗っていこうと思っていますが、どれだけ市場が加熱していても、常に冷静な気持ちも持っておきましょう。冷静と情熱の間、ですからね。

世界一の投資家、バフェットはこんな言葉を残しています。

「潮が引いたとき初めて誰が裸で泳いでいたかがわかる」

まだ2025年相場は始まったばかりですが、2月相場もいい波乗っていきましょう!