【4/7相場まとめ】日本株に走る“貿易戦争ショック”─サーキットブレーカー発動

コラム

テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。

4月第2週の日本市場も下落スタート。まさに“歴史に残る”相場となりました。内外需を問わず幅広いセクターで売りが優勢に。

きっかけは米国の相互関税発動と、それに対する中国の報復措置。先週から続くトランプ関税ショック第2章が始まっています。そして、それを受けた日本市場の反応は、予想以上に“強烈”でした。

全面安、取引停止レベルのショック

日経平均は一時▲8.5%安の急落となりました。終値は31,136円(前日比-7.83%)でした。TOPIXは一時▲9%と、コロナショック期以来の水準まで売られて、日経先物にはサーキットブレーカー(一時取引停止)が起こるほどに。

サーキットブレーカーはパニック的な売りが止まらない状況で発動される安全装置で、これが起きたということは「売り」が単なるポジション整理ではなく、市場全体の不信と恐怖によって形成されたということです。

米中間の対立はもはや“摩擦”のレベルを超え、市場は明確に“貿易戦争”というリスクを意識しています。何を言ってくるか分からない不透明感も、さらに相場の雰囲気を悪くしていますね。

中国が打ち出した最大34%の報復関税は、アジア企業にとってもダメージで、日本企業の多くもサプライチェーンや輸出依存度が高いため、その影響は数字以上に重く、事実、日経平均を大きく押し下げたのは輸出と金利に直結する金融セクターでした。

自動車、半導体、銀行など、日本株の主力”が売られることで、全体の空気が一気に冷え切ったのが現状です。

こちらは今日の日経平均ですが、青線を引いているのは昨年夏に暴落したときの安値です。

今日の終値としてはここをちょっと割れたのが気になりますが、しかし売られましたね。

こちらはTOPIX銀行指数のチャートですが、下落率はなんと17%!こちらも昨年夏以来の水準となりました。

出典:ブルームバーグ

日経平均VIが急騰しており、こちらも昨年夏以来となる46まで上昇。これが上がってくると相場の警戒感が高まります。

今日の日経平均は約1年半ぶりに3万1000円台を割れ、日経平均の採用銘柄はほぼすべての銘柄が下げる全面安となりました1日単位の下落率だと歴代11位となり、過去の歴史的にも大きな下落の一日となりました。

米国や欧州マーケットも株価指数が3.6%以上の急落となり、アジアでも香港ハンセン指数が一時▲7.9%安となり、約16年ぶりの下落幅となりました。台湾株も過去最大の下落幅です。

セクター全滅:「逃げ場のない相場」

東証33業種はすべてマイナス圏で引けました。

特にトヨタなどの自動車株は対米関税の直撃セクターで、利上げ観測後退&株式下落で二重苦の銀行株も続落。電機・半導体もサプライチェーン混乱への警戒から下げています。

陸運・小売・不動産など内需株にも売りが波及し、ディフェンシブでさえ“逃げ切れない”相場になりました。

また、寄与度の大きい銘柄であるアドバンテストやソフトバンクGが、日経平均をそれぞれ100円単位で押し下げたことも全体の急落に拍車をかけました。

リスクオフの逃避先がマーケットに存在せず、資金が一斉に“市場外”へ流れていった印象が強いです。

売買代金は6兆9893億円と活況だったのはまだよかったと思います。暴落時にこうして売買が増えるのは、投げ売りする人と買ってくる投資家の売買が増えるからです。

プライム市場の値上がり銘柄は0.3%、値下がり銘柄は99.4%となりました。

日銀利上げ観測は後退しており、年内利上げの織り込みは10%未満まで急落。このままではむしろ「緩和方向」すら意識される展開になりつつありますが、それはつまり円安へ進んでいくことになります。

国内の問題はインフレで、これの要因は円安ですから、進むも地獄、戻るも地獄、という難しい選択を迫られています。

一方、為替市場では円が急騰し、一時144円台まで上昇。こちらは16時すぎのドル円。

債券市場では長期金利が大きく低下し、国債先物は大幅高に。明らかに資金は“安全資産”に逃避しており、株式市場はその受け皿になりませんでした。

今週から決算もスタート!

そして今週から日本も米国も決算が本格化ですね。

日本は小売、米国は金融からですが、さっそく今週、国内からはファストリや良品計画などの決算が出てきます。日経平均への影響度も大きいことから決算にも注目です。米国はウェルスファーゴやブラックロックなどから決算が出てきます。

トランプの関税政策が世界のマーケットに影響を与えています。為替の動向も今後は変わりそうで、もちろんこれも企業業績に影響を与えます。

今夜から今週の米国マーケットが始まりますが、今の時点でVIXは60まで上昇。今週反発を見せるのか、さらにもう一段下に掘ってくるのか、見定める一週間になりそうです。

明日もいい波乗っていきましょう!