
テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。
トランプ前大統領による“相互関税”がついに正式発動されました。
対象はすべての輸入品で、全品に10%の基本関税、さらに国別に加算され、日本には+24%、中国には+104%、EUや韓国にも20%前後の追加関税がかかります。
この“歴史的措置”を前に、市場はどう動いたのか?そして私たちは、何を読み解くべきなのか?掘り下げていきましょう。
株式市場:前日の反発を打ち消す“再崩れ”
昨日の日経平均は大きく反発して全面高。その前日は全面安と、トランプの言動によって相場が上下しています。
昨日はトランプと石破首相の電話会談報道を受けて希望的観測が先行し、大きくリバウンドしましたが、今日のマーケットはその「希望」が幻想だったことを突きつけられた一日となりました。
今日の日経平均は-3.93%の31,714円。TOPIXは-3.40%の2,349円。グロース250は-2.73%の573円。
銀行、保険、輸出、自動車、半導体など主要セクターが再び全面安となりました。日経平均は前日の上昇幅をすべて打ち消して、引き続き目の前には昨年夏の大幅下落の足跡が見えています。
投資家の心理としては「やりづらい」の一点だと思います。米10年債利回りが4.5%台まで上昇して、先物も下落しています。
日経平均は戻り売りに押されており、一度戻ってからの再下落は売りのエネルギーを強くするため、上値が重い展開が続きます。
米国株:関税発動、「数字」以上に大事な視点
昨日の米国株、スタートはよかったものの後半から下落しました。ダウ-0.84%、ナスダック-2.15%、S&P500-1.57%。
米韓首脳の電話会談では前向きに話が進み、また、財務長官が70近い国が取引を要請しているとのことで、関税がやや緩和にむいたことも好感されました。
終日堅調に動いていたものの、長期金利の上昇が止まらず、中国の報復措置から米政府が中国輸入品に対して計100%超の関税を表明。
これでハイテクを中心に売り戻されて相場はネガティブに。今回の措置は、「数字」よりも「誰を狙ったのか?」が重要な意味を持ちます。
日本へは24%の上乗せ、中国は104%!という事実上の禁輸ともいえる水準に。欧州EUには20%前後、韓国などにも同様の措置予定となりました。
つまり、「誰が敵で、誰が味方か」を経済政策で線引きする時代に入ったということです。
関税に立ち向かっているのが中国、あとはカナダ。反対に緩和的なのが日本、韓国、台湾、イスラエルなど。
Bloombergはこの動きを「100年ぶりの通商秩序の再編」と表現しており、市場はその選別を単なる交渉カードではなく本格的な地政学の転換だと受け止めています。
関税の本質は中国包囲網で、日本も中国との関係を迫られていますが、そんな展開の中で与党である公明党は4月末に中国を訪問するとのことで、さらに自民党の森山幹事長は27日に訪中のようです。なんでこのタイミングで、、、です。

出典:日経新聞
米国株はS&P500・ナスダック先物ともに小幅安で推移しています。金・原油はやや堅調、“安全資産に資金が逃げている”というより、“株には入れたくない”心理が見え隠れしています。
世界で金利が連鎖急騰。円買いも進む。
「米国債の投げ売り」が始まっています。
関税ショックの副作用は「金利市場」にも波及していて、金利が上がっていく局面は警戒です。
米10年債利回りは一時4.5%まで上昇。先日まで3%台だったことを考えると急上昇です。日本10年債も一時1.3%まで上昇しました。その他、ドイツ、カナダ、豪州など主要国の長期金利が一斉に上昇しています。
市場では「リスク回避で米国債が買われる」のが普通ですが、今回は逆になっています。「赤字国家が関税戦争を始めた」との思惑から米国債が売られています。
米国債の投げ売りが世界へ連鎖し、さらに関税によって米国のインフレが進むとの思惑から金利上昇、これが株にもネガティブに反映しており、欧州株ものきなみ下落しています。
ドル円は一時146円台後半から145円台前半まで円高が進行。方向感のない値動きながら、「円=リスクオフ時の逃避先」の流れが続いていますが、金利上昇にもかかわらずドルが伸び悩んでいるのは気になります。
通常なら米金利上昇=ドル高ですが、今回は逆。金利が上がっても、その国に信頼がなければ通貨は買われない流れが明確になりつつあります。
向川の視点
マーケットは一見すると、上下のボラティリティが大きいため、短期売買のチャンスに見えるかもしれません。
もちろん私も日米ともに買っていますが、米国債が売られ、関税で貿易が壊れて、金利が暴れている中では無理な勝負は禁物です。どっちに転んでもいいポジション調整が重要。(売り買いヘッジで持つなど)
今夜はFOMC議事録も出てきますが、利下げの可能性の言及があるか見たいところ。そして中国・EUの報復関税も続報を待ちます。
売買代金は5兆5295億円と、本日も活況でしたが、プライム市場の値上がり銘柄は9%だけ。今日は再び1000円を超える大幅でしたが、まだ下値を探っていく展開も考えられます。
日米ともに決算のため、業績予測などで相場にポジティブな材料が出てきたら理想なんですけどね。
さて、今日は水曜日。21時からLIVEもやります。時間になったらYouTubeにどうぞ!
では、明日もいい波乗っていきましょう🌊