
テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。
今週の相場が終わりました。今夜の米国マーケットは休場ですね。
関税で荒れる相場の中、今週は少しその霧が晴れた感もありました。来週は日米の財務大臣が会談する予定で、ここで為替についての協議があるのか、米国は日本に対して何を求めてくるのか、少しずつ見えてくるはずです。
では、今日のマーケットを振り返りましょう。
市場が注視する「2つの火種」
まず今日の日本市場ですが、久々に明るさを見せる一日になりました。
今日は自動車株、銀行株、海運株、医薬品などが上昇。原油高の流れもあって石油石炭も買われました。一方で半導体株は売られました。
33セクターある中で、今日はサービスだけ下落。それ以外は上昇でした。
日経平均は+1.03%の34,730円でした。TOPIXは+1.14%の2,559、グロース250は+3.73%の669で今日の取引を終えて、市場全体には“買い戻し”が優勢な地合いとなりました。
ただし、この反発を素直に「リスクオン」と見るのはちょっと早いです。為替・金利・政策リスクを考えても来週以降の相場はまだ不透明で、なので今日も売買高は少なく、3兆3015億円でした。ここ最近は連日で3兆円台となっており、相場への関心が薄れていることがわかります。
今週の相場を振り返ると、米国の関税政策を巡るトーンダウンによってポジティブな相場になりました。
トランプ大統領は中国からの輸入品に対する関税の一律引き上げにブレーキで、エスカレートした報復関税合戦が少し緩和されました。「ボールは中国」とも発言しており、互いに牽制しあっている状態です。
ただ、水面下では話は進んでそうで、どこかのタイミングで米中会談が実現するかもしれませんが、その時はある程度もう関税問題の着地は見えているでしょう。
また、これに加えて米欧間での関税交渉も進んでおり、世界的なリスク回避ムードもありましたが、トランプ発言と米欧中での関税緩和、この2つが今週の相場のポイントだったと思います。
米国株は続落。ハイテク売られる。
昨日の米国株は続落しました。S&P500+0.13%、ナスダック-0.13%。
昨日はS&Pの7割の銘柄が上昇するも エヌビディア-2.87%、ブロードコム-2%、グーグル-1.3%下落など、ハイテク株が重い展開が続きました。
また、ユナイテッドヘルスが決算を発表するも結果はネガティブで20%の暴落となりました。ダウ平均にも採用されている銘柄なので、この下落がダウを押し下げる要因になりました。これでダウは3日続落です。
ネットフリックスは大幅増益となりましたが、今後のガイダンスはやや弱かったです。しかしアフターマーケットでは上昇しています。
トランプは「パウエルを解任すべき」 「彼は対応遅すぎる」とも発言するなど、FRBパウエル議長の更迭を検討しているとの報道もありました。
トランプは金利を下げるべきと考えていて、パウエル議長はまだ早いと考えており、お互いの方向性がズレています。この報道も相場を重くしました。他にも防衛株のロッキードマーチンや、資源株のアルコアなども下落しています。
為替はドル142円台、やや円高一服感も。
ドル円は142円20〜40銭台で推移。前日までの円高進行にはやや歯止めがかかった形ですが、円売りが加速するほどの安心感もなく、方向感のない神経質な相場が続いています。
注目は、来週に予定されている日米財務相会合です。この会合で「円安是正」に関する発言が出れば、流れが変わることも想定です。
現時点では赤沢大臣から「為替は議題になっていない」との発言もありましたが、米側からの圧力が全くないとは限りません。
そして債券市場は少し複雑でした。今週は前半で金利が上昇、一時は1.3%半ばまで上げましたが、後半は下げてきました。現在は1.2%後半で推移しています。
短期的には景気減速や政策リスクから利上げモードは弱まりましたが、引き続き国内のインフレは進行中。どこかで利上げは行われるはずですが、どんどん後ろにズレています。利上げしても経済的に厳しく、かといってこのままの流れでも円安水準は変わらないため、インフレ退治もできません。
日銀としては難しい判断を迫られていますが、これらを踏まえて今月末の日銀会合にも注目です。
まとめ:一時的な安心感も、油断は禁物
日本株の反発は円高一服、関税リスク後退が大きかったでしょう。
これらは短期的な安心感にすぎず、市場全体にはまだ、米国の政治・経済政策の不透明さ、日本国内の金利動向などあって本格的なリスクオン相場になりづらいです。
ひとまず下落トレンドが止まったのは良かったですが、ここからもうひと伸びするには追い風になる材料がほしいところ。目先は決算ですが、来週も続々と主力企業の決算が続きます。
来週の日米協議前後も相場は荒れると思いますし、政策発言や要人発言には常時アンテナを立てておきましょう。私の方でもニュースレターやSNSでも発信しているので、また見ておいてくださいね。
今はポジションを偏らせすぎず、「守りながら攻める」バランスの取れたトレードを心がけましょう。
では、来週もいい波乗っていきましょう!