株価と出来高はどんな関係?出来高の基本と知っておきたい形を解説

コラム

From:編集部 黒木

株式投資するときに、出来高の有効活用はできていますか?

よく株価チャートの下段に縦棒のグラフがありますね。それが出来高の定位置といえます。この出来高は、株式取引の活況度合いを示すとても重要な指標なのですが、単純に多ければ良いというわけではないため、意外と正しい使い方を知らない人もいる指標でしょう。

出来高の意味を理解すると、株価の動きを分析するうえでとても有用な情報を得ることができます。これから出来高の基本と活用方法を解説しますので、株式投資の上達に役立ててください。

1.出来高の基本

1-1 出来高の意味

出来高とは、一定期間内に取引された株式の数を表します。出来高の多くは株価チャートの下段に縦棒のグラフで表示されているでしょう。この縦棒の長さはその期間において取引された株式の数量を表します。日足の出来高であれば、1日に取引された株式数になります。

出来高を見るときには、大きく分けると2つのポイントがあります。

1つ目のポイントは、銘柄間で出来高を比較して見るということです。他の銘柄と比較して出来高が多い銘柄は、投資家の関心が高い銘柄といえます。出来高が多いということは、人気のある銘柄と考えることができます。

そして、さらに重要なことは出来高が多い銘柄というのは、流動性が高い銘柄であるという点です。流動性の高さは株式投資において、とても重要な要素になります。

買い場だと思ったときにすぐに買えることは、機会損失を防ぐ観点から大事なポイントです。さらに、売りたいときに売れるということはもっと重要なポイントです。流動性が低い銘柄の場合、マーケットが大きく変動したときに売りたくてもすぐに取引が成立せず、想定以上の低い価格で約定し損失を被ることがあります。

2つ目のポイントは、同一銘柄での出来高推移をチェックすることです。

同じ銘柄の出来高推移を追っていくと、その銘柄の平均的な出来高がわかるでしょう。例えば、毎日の平均よりも出来高が多ければ、その銘柄に注目が集まっていることがわかります。

徐々に出来高が増えていく銘柄は、徐々に注目と人気が集まっています。一方で、突然出来高が増えた銘柄は、何らかの突発的なニュースが出たことにより取引が増えた可能性があるでしょう。

1-2 価格帯別出来高

もう1つ知っておきたい出来高の種類に「価格帯別出来高」があります。

価格帯別出来高は、価格帯ごとに取引が成立した株式数を表したものです。通常は株価チャートの右側に、棒グラフで表示されます。価格帯別出来高をみると、過去にどの価格で取引した投資家が多いのか、棒グラフの長さで判別できます。

2.出来高の見方

2-1 出来高から市場の強弱を読み取る

出来高は単体で見るよりも、株価の動きと組み合わせたほうがより多くの情報を入手できます。

出来高が増加しているときは、その銘柄へ投資をする人々の考えが一致していると考えられます。出来高が上昇あるいは多いときの株価の推移は、信頼できる動きだといえます。

株価の上昇と出来高の増加が同時に起こっている場合、市場参加者はその銘柄に対して強気でかつ買付する人が増えていく状態にあります。このようなとき、株価の上昇は継続する可能性が高いと考えられます。

逆に、株価の下落と出来高の増加が同時のときは、株式を売却する人が増えていくことを示唆していますので、下落トレンドが継続すると考えた方がよいでしょう。

出来高が少ないときの動きは、市場の方向性が定まっていない期間と考えられます。このような時の価格推移には信頼性が乏しいので、トレンドが転換する可能性に注意しながら取引をおこなった方がよいでしょう。新たな材料が発生すると、株価は大きく動く可能性があります。

2-2 価格帯別出来高から市場の節目を読み取る

価格帯別出来高の見方も確認しておきましょう。価格帯別出来高で他の価格よりも明らかに取引が増えているゾーンは、株価における重要な節目になる傾向があります。

株価が上昇時に、価格帯別出来高があきらかに急増しているしているゾーンでは、上昇の勢いが止まりやすくなります。これは急増ゾーンで買付をした人が、株価上昇とともに戻り待ちの売りを出すことが主な要因だと考えられるでしょう。

逆に株価が下落してきたときには、急増ゾーンでは株価の下落に歯止めがかかる傾向があります。これは、急増ゾーンで購入した人は利益が少ないので売却しなくなることや、急増ゾーンで売却した人が再エントリーすることなどが要因だと考えられるでしょう。

また、上昇してきた株価が、急増ゾーンを上抜けた場合には、戻り待ちの売りを上回る買いが入っていることになりますので、その後の強い上昇につながる可能性を示唆します。

逆に下落してきた株価が、急増ゾーンを下抜けた場合には、下値支持を失って、一層の下落を引き起こす可能性がありますので注意しましょう。

3.覚えておきたい出来高の形

株価の推移において、天井と大底を形成する時の出来高の動きも覚えておきたい形です。

上昇トレンドが止まり高値圏で出来高が急増しても、株価が上がらない場合はそこが天井となる可能性がありますので注意が必要です。これは株価トレンドにおける天井形成の典型的なパターンでしょう。高値での利益確定売りを新たな買付が上回ることができなくなっている状態が見て取れます。

逆に下落局面で、出来高の急増とともに下落が止まり反転の兆しを見せているときは、大底を形成している可能性があります。それまでの売付よりも買付のほうが上回って来ていることを示唆するでしょう。

4.出来高の注意点

ここから出来高を使用する際の注意点を見ていきましょう。

4‐1 出来高の多さと銘柄の評価は一致しない

出来高が多い銘柄が、良い銘柄というわけではありません。逆に出来高が少ない銘柄が悪い銘柄というわけでもないのです。流動性は1つの重要な要素ですが、出来高の多さが企業の内容を正確に評価しているわけではないことに注意が必要でしょう。

4-2 出来高の増減と株価の推移は一致しない

出来高の理解が難しい点に、出来高の増減と株価の推移が一致しない点が挙げられます。出来高は市場の活況度合いを示す指標であり、取引が増えれば出来高は増加します。しかし取引が増える理由には、買付が多くて増える場合と売付が多くて増える場合の両方があるのです。取引が増加した背景を考えないと、指標の意味が理解できない点に注意が必要でしょう。

4-3 出来高は一時的なニュースに大きく反応する

出来高は一時的な材料やニュースに強く反応する傾向があります。しかし、一時的な材料は必ずしも長期的な投資判断に有用なものとは限りません。出来高が増えた背景を知り、一時的な材料であれば、その内容が将来に与える影響をよく考慮して取引する必要があります。

5.まとめ

出来高は株式の活況度合いを表す指標です。出来高の多い銘柄は人気があり流動性が高いという解釈ができます。

しかし、出来高の多い銘柄が上がって、少ない銘柄が下がるという単純な指標ではありません。出来高が増えたときには、なぜ増えたのか、そして株価はどう反応したのかというさらなる分析が出来高の有効な活用には欠かせないでしょう。

株式投資における有効な情報をたくさん提供してくれる出来高を、上手く活用して今後の投資に役立てましょう。