From:編集部 小早川
アメリカを代表する株価指数といえば、ニューヨークダウを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ニューヨークダウは、米国を代表する世界中で最も有名な株価指数のひとつです。テレビや新聞などのメディアで、株式市場や経済状況が説明される際にはニューヨークダウを目にすることも多いでしょう。
ニューヨークダウは1896年に創設されて以来、構成銘柄は世界経済の成長を牽引してきました。また、ニューヨークダウの値動きは、世界中の株式市場に大きな影響を与えています。
本記事では、ニューヨークダウの概要や構成銘柄、パフォーマンス、投資の注意点などについて詳しく解説します。ニューヨークダウに興味のある方は参考にしてください。
1.ニューヨークダウとは
ニューヨークダウとは、アメリカのS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出・公表する株価指数です。ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック市場に上場している代表的な30銘柄の推移をもとに算出されています。
正式名称は「ダウ工業株30種平均」ですが、一般的には「ニューヨークダウ」と呼ばれています。
ニューヨークダウは、1896年にアメリカのジャーナリスト、チャールズ・ダウにより創設されました。当時は、鉄道や石油などの大手工業企業のみが構成銘柄とされていましたが、その後、時代の変化にあわせて構成銘柄は入れ替えられ、現在では、金融やテクノロジーなどの幅広い業種の銘柄で構成されています。
ニューヨークダウの構成銘柄に選ばれる条件は以下の通りです。
米国を代表する企業であること
ニューヨークダウ30は、米国の株式市場を代表する指数です。そのため、構成銘柄は米国を代表する企業であることが条件となります。企業規模や知名度、ブランド力、持続的な成長性などが考慮されます。
時価総額が大きいであること
時価総額とは、株式の1株当たりの株価に株式数を掛け合わせたもので、企業の価値を表す指標です。ニューヨークダウ30は、米国を代表する企業であるため、時価総額が大きいことが条件となります。
流動性が高いこと
流動性とは、株式の売買のしやすさを表す指標です。ニューヨークダウは、米国を代表する指数であるため、流動性が高いことが条件となります。
これらの条件を満たす銘柄の中から、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス委員会により、ニューヨークダウの構成銘柄が選定されます。なお、ニューヨークダウの構成銘柄は、米国の経済や産業の変化にあわせて、定期的に入れ替えが行われています。
ニューヨークダウの値動きは、米国のみでなく、世界中の株式市場に影響を与えることもあります。そのため、投資家や経済関係者にとって重要な指標となっています。
ニューヨークダウは投資対象として以外にも、米国の経済や株式市場の全体的な状況を把握するために利用されます。そのためテレビや新聞などのメディアで取り上げられることが多く、知名度が高い指数です。
2.ニューヨークダウ構成銘柄の特徴
構成業種と比率
業種 | 比率 |
金融 | 20.9% |
テクノロジー | 19.2% |
ヘルスケア | 18.9% |
工業 | 15.3% |
一般消費財 | 13.1% |
ニューヨークダウ構成銘柄の特徴は、金融やヘルスケアなどテクノロジー以外の比重が高いことです。アメリカの代表的な指数であるS&P500やナスダック100はテクノロジー企業の比重が高いです。S&P500は全体の3割程度、ナスダック100では全体の6割近くがテクノロジー企業で構成されています。
一方、ニューヨークダウのテクノロジー企業の比率は2割程度です。業種のバランスがとれている指数といえます。
構成銘柄(30銘柄)
銘柄 | 銘柄 | 銘柄 |
アメリカンエクスプレス | IBM | プロクター&ギャンブル |
アムジェン | インテル | トラベラーズ |
アップル | ジョンソン&ジョンソン | ユナイテッドヘルス |
ボーイング | コカコーラ | セールスフォース |
キャタピラー | JPモルガンチェース | ベライゾン |
シスコシステムズ | マクドナルド | ビザ |
シェブロン | 3M | ウォルグリーンブーツ |
ゴールドマンサックス | メルク | ウォルマート |
ホームデポ | マイクロソフト | ウォルトディズニー |
ハネウェル | ナイキ | ダウ |
ニューヨークダウ構成銘柄は、アメリカを代表する大企業ばかりで、時価総額はいずれも数千億ドルから数兆ドルに上ります。また、世界経済に大きな影響力を持つ企業も多く、ニューヨークダウの値動きは、世界中の株式市場に大きな影響を与えます。
また、前述した構成銘柄の選定方法によれば、ニューヨークダウ組み入れられる銘柄は必然的に大型株に限られることとなります。大型株は一般的に大きな成長を見せることは少ないですが、企業経営の安定性の高さから株価も継続的に緩やかな成長を見せる傾向があります。ニューヨークダウ指数の推移も大型株の特徴を表す推移をします。
3.ニューヨークダウのパフォーマンス
上記のグラフは、ニューヨークダウ過去5年の推移です。23,327ドルで引けたニューヨークダウは、2023年12月末現在で37,689ドルまで上昇しています。2020年にはコロナショックで一時的な落ち込みを見せましたが、その後は順調に回復し2023年末には史上最高値圏で推移しています。この期間の上昇幅は14,362ドル(+62%)、年率に直すと単純平均で約+ 12%となります。
同様にアメリカを代表する指数であるナスダック100とS&P500を比較対象として入れています。一番下の青い線がニューヨークダウで、一番上の緑の線がナスダック100、真ん中の赤い線がS&P500です。
ナスダック100やS&P500と比較するとパフォーマンスが劣後していますが、ニューヨークダウは大型株が多い特性を活かして、安定的な成長を継続しているといえます。
4.ニューヨークダウ投資の注意点
ここからはニューヨークダウに投資をする際の注意点を紹介します。
投資商品と手数料
ニューヨークダウに投資する場合、国内外ETFや投資信託、CFDとさまざまな選択肢があります。ETFであれば市場取引での売買、投資信託であれば毎日1回算出される基準価格での約定するなど商品ごとに取引ルールと手数料が異なります。自分に合った商品を選んで投資するようにしましょう。
為替リスク
ニューヨークダウの構成銘柄は米ドル建てで売買されます。日本から投資をおこなう場合、円を米ドルに交換した上で投資をおこなうため為替リスクが発生します。為替が円安になれば投資のパフォーマンスにプラスの要因、円高となればマイナス要因となります。
5.まとめ
ニューヨークダウは、アメリカを代表する株価指数であり、世界中の株式市場に大きな影響を与えています。テレビや新聞の報道にもよく登場し、投資対象としてのみならず、株式市場や経済の状況を反映する指数としても世界から注目される指数です。
ニューヨークダウへの投資は、アメリカ大型株への投資をかんたんに実現でき、変動幅(ボラティリティ)を抑えながら継続的な成長を目指す投資家には向いています。投資の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。