【米国FOMC】米国株、日本株、ドル円にどんな影響ある?

コラム

From:編集部 小早川

FOMCの結果を受けて、マーケットは全面的に大きく上昇しました。

FOMCの中身自体に驚きの内容があったかといわれるとそうではなかったという風に思います。

今回のFOMCで発表された経済の見通しが修正されたということがあって、これがマーケットにポジティブに作用したと思っています。

ここまでマーケットがプラスに反応する内容では正直なかったです。

しかし、物価上昇の方向感や利下げよりも米国の経済が強く維持されるというところがいかに大事かというのがこういった動きになったのではないでしょうか。

今回のFOMCでFRBは経済予想サマリを発表し、今年のコアインフレ率は2.6%でピークに達すると予想しました。

前回の予想の2.4%から上方修正し、失業率は今年4%に上昇すると予想しました。

前回予想の4.1%を下回り、そして今年の米経済成長率は2.1%と予想しており、前回予想の1.4%を大きく上方修正しました。

つまりFRBは去年の12月に考えていたよりも米経済は強いと感じているのです。

米経済が思ったよりも強いということは、今後の金利見通しにも何か変化があるのではないかと思われました。

しかし、実際にはFRBは2024年は合計で3回の利下げという従来予想を据え置きました。

つまりFRBは利下げを望んでいる姿勢を明確にしたのです。

次にパウエル議長の記者会見で重要だった箇所を振り返ってみます。

まずは最近のインフレデータの上昇に関して、インフレ率は時にでこぼこな道をたどりながらも徐々に2%に向かい低下していく、この2ヶ月のデータに過剰反応するつもりはないと述べました。

時間をかけインフレを2%に低下させることに強くコミットしている彼は、一時的なインフレ率の上昇にとらわれることなく政策対応していく姿勢を強調しました。

好調な雇用市場に関しては労働市場は堅調で賃金の伸びはより持続可能な水準まで緩やかになっており、雇用が好調であること自体は利下げを見送る理由にはならないと述べました。

力強い雇用の伸びはインフレを懸念する理由ではなく、バランスシートに関して保有資産縮小ペースの原則を巡り議論したと述べました。

量的引き締めのペースを落とし始めるのはかなり近いうちに適切だろうと話しました。

そして投資家が大注目している利下げ見通しに関しては、政策金利はこのサイクルではピークに達していると考えている、つまりもう利上げはないということです。

経済が予想通りに今後も幅広く進展すれば今年のある時点で利下げをするのが適切だと考えていると述べ、最初の利下げは結果論でありそれがいつになるかは慎重にデータに基づき判断するとしました。

投資家は最近米経済が強かったこともあり、FRBが徐々にタカ派的な発言をするのではないかと警戒感を強めていました。

具体的には今年の利下げ見通しが3回から2回に変更されるのではないかと懸念していたのです。

しかし今回、今年3回の利下げ計画に変更はなかったことに投資家は安堵し、株価は上昇しました。

最新の市場参加者の金利見通しも6月に利下げが行われる確率がFOMC前は55%だったのが現在は70%近くまで上昇しています。

しかし、アナリストの中には心配の声もあります。

FRBは結局、米経済は思っていたよりも強いということを認めたにも関わらず、今年の利下げの計画は変更しませんでした。

しかし、6月のFOMCまでにはまだいくつかの重要なインフレ経済報告があり、結果次第では利下げの回数を減らすかもしれないと思っています。

また、FRBは今年の利下げ回数は減らさなかったものの、2025年の利下げ回数は4回から3回に減らすといっています。

これは全体としてFRBがより緩やかな利下げを行っていきたいということを示唆しています。

今、FRBは2つのリスクを回避しようとしています。

1つは緩和が早すぎてインフレ率が目標の2%を上回る水準に定着してしまうリスク、そしてもう1つはFRBの動きが遅すぎて金利上昇の重圧で経済が崩壊してしまうリスクです。

もちろん、今年大統領選挙のあるバイデン大統領は選挙までに景気減速が来てしまっては困ります。

民主党は金利上昇が消費心理を冷え込まさせ、景気減速を招く恐れがあると神経質になっているようです。

今週一部の民主党議員がパウエル議長に利下げを求めました。これに対しパウエル議長は「我々はこれらの経緯を持って読んでいる。しかし結局のところ我々が判断を下さなければならない」と述べました。

一方、共和党のトランプ前大統領はパウエル議長に対する政治圧力だと非難。

今年の選挙で民主党を助けるためにパウエル議長は利下げを検討しているのだと非難しました。

ちなみに彼は大統領在任中、パウエル議長に利下げを求める前例のない圧力をかけています。

今回のハト派的なFOMCを受け、株式市場は大きく上昇。S&P500は0.99%、NYダウは1%、ナスダックは1.3%も上昇しました。そして3指数とも過去最高値で引けました。

結果…米国株は今後も強そう!

今回のFOMCの利下げを否定しなかったことから、今後も米国株は堅調に推移しそうです。

アメリカの主要株価指数である、S&P500、NYダウ、ナスダックが揃って過去最高値を更新したこともあり、今のタイミングで買うのは難しいと思われている方もいるかもしれません。

しかし、米国株は日本株と違って、基本的に右肩上がりで上昇をしています。過去に何度も過去最高値を上昇していることもあるので、決して今の水準が株高であるとはいえなさそうです。

今回のパウエル議長の発言を受けて、より株式市場は活発になる可能性があります。

もちろん、インフレ動向などについては注視しておく必要がありますが、基本的に米国株に関しては今のタイミングで購入するのも良いのではないでしょうか?

まとめ

今回は2024年3月20日に結果が出たFOMCについて説明をしました。

ものすごく目新しい発表があったわけではないものの、利下げに関しては、従来の予想を堅持しており、株式市場に大きな安心感を与えました。

今年はアメリカ大統領選挙があることもあり、基本的に株高が続く可能性があります。

ぜひ今回の記事を参考にしていただき、米国株の購入を検討してみてはいかがでしょうか。