【2024年3月期】5大商社の決算状況について徹底解説!

コラム

From:編集部 黒木

三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅の5大商社の決算が出そろいました。

三井物産が1兆637億円と、総合商社で唯一2年連続1兆円超を達成した一方、住友商事の純利益3864億円と、過去最高益だった前年度の同5651億円から大幅な減益など様々な注目点のある決算でした。

この記事では、2024年3月期の5大商社の決算状況について説明します。

2024年3月期の通期決算は概ね好調

2024年3月期の通期決算は、住友商事を除く4社が過去最高益に沸いた22年度決算と同等かそれに次ぐ結果を出しました。

一方の住友商事は純利益3864億円と、過去最高益だった前年度の同5651億円から大幅な減益です。

しかし、2025年3月期は前期比37.2%増の5300億円にV字回復する見通しとなったことや増配したことによって決算後の株価は上昇しました。

それでは各社の決算を見ていきましょう。

三菱商事

三菱商事は、三井物産に利益を抜かれたものの堅調な決算でした。

また、2025年3月期の連結準利益は前の期に比べて1%減の9500億円になりそうだと発表されました。

資源価格の下落などが響くものの、原料権の売却などで前期とほぼ同じ水準の利益を確保する見込みです。

三菱商事はこれにより純利益が再びトップに躍り出る見込みです。

これまで連結子会社だったローソンが持ち分法適用会社に変わるのに伴い、株式の再評価益も計上。

株主還元も強化し25年3月期の年間配当は1株あたり100円と前期から30円増やします。

決算期売上高営業益経常益最終益修正1株益修正1株配
2021.0312,884,521253,527172,5503944.67
2022.0317,264,8281,293,116937,529211.750
2023.0321,571,9731,680,6311,180,694269.860
2024.0319,567,6011,362,594964,034230.170
予 2025.03950,000233.1100

三井物産

三井物産が発表した2024年3月期の決算では純利益が前の期に比べて6%減の1兆636億円で着地し、商社の中で唯一純利益が1兆円を超えました。

資源価格の下落に見舞われたものの資産売却益などを積み上げ、2年連続で1兆円超え、これにより2024年3月期の純利益は会社計画の9500億円や市場予想の9693億円を超える結果となりました。

今期2025年3月期の純利益は前の期から15%減って9000億を見込んでいます。

鉄鉱石や原油などの資源価格が前期より下がると想定。

2期連続の減益を見込んではいるものの相変わらず利益の水準そのものは高く、今後も株主還元を拡充していく方針のようです。

決算期売上高営業益経常益最終益修正1株益修正1株配
2021.038,010,235450,202335,458199.385
2022.0311,757,5591,164,480914,722561.6105
2023.0314,306,4021,395,2951,130,630721.8140
2024.0313,324,9421,302,3931,063,684705.6170
予 2025.03900,000601200

伊藤忠商事

2024年3月期の純利益は前期比0.2%増の8017億円になり、従来予想の8000億円を上回り、減益予想から一転して増益で着地しました。

2025年3月期も前期比9.8%増の8800億円に伸びを見込み、3期ぶりに過去最高益を更新する見通しとなりました。

今期の年間配当は前期比40円増の200円に増配する方針と非常に内容の良い決算になっています。

決算期売上高営業益経常益最終益修正1株益修正1株配
2021.0310,362,628403,414512,475401,433269.888
2022.0312,293,348582,5221,150,029820,269552.9110
2023.0313,945,633701,9131,106,861800,519546.1140
2024.0314,029,910702,9001,095,707801,770553160
予 2025.03880,000611.6200

住友商事

住友商事の純利益3864億円と、過去最高益だった前年度の同5651億円から大幅な減益となりました。

しかし、2025年3月期の純利益は前期費37%増の5300億円となりそうです。

引き続き輸送費や電気事業、不動産事業などの非資源分野が牽引し、円安の影響もあって海外からの取り込み利益が増える模様です。

住友商事は新しい中期経営計画も発表し、2027年3月期までの3か年の中期計画では過去最大となる総額7000億円以上の株主還元も実施するとしました。

還元の原資は資産事業売却を加速して8000億円のキャッシュを創出することで賄う見込みです。

決算期売上高営業益経常益最終益修正1株益修正1株配
2021.034,645,059-94,215-153,067-122.470
2022.035,495,015590,019463,694370.8110
2023.036,817,872723,122565,333452.6115
2024.036,910,302527,646386,352315.9125
予 2025.03530,000433.7130

丸紅

2024年3月期の純利益は前期比13.2%減の4714億円になりましたが、2025年3月期は前期比1.8%増の4800億円に伸びる見通しとなりました。

前期の年間配当を83円→85円に増額し、今期も前期比5円増の90円に増配すること発表。

目立った内容はないものの堅調な決算であるといえるでしょう。

決算期売上高営業益経常益最終益修正1株益修正1株配
2021.036,332,414141,553281,742223,256126.333
2022.038,508,591284,490528,790424,320242.962
2023.039,190,472340,814651,745543,001316.178
2024.037,250,515276,321567,136471,412279.685
予 2025.03480,00028790

まとめ

今回は、日本の5大商社の決算内容について説明をしました。各社特徴のある決算でしたが、総じて「悪くない」決算内容だったといえるでしょう。

日本を代表する大きな利益を生み出す商社の今後の動向にも注目です。