2024年8月27日(米国時間)、エヌビディアは2024年第四半期の決算を発表しました。
この記事ではエヌビディアの2024年度第2四半期(5-7月期)決算について、詳しく説明します。
エヌビディアの業界における位置づけ
エヌビディアは、AIコンピューティング分野で世界をリードする企業の一つです。
ChatGPTをはじめとする革新的なAIプラットフォームの登場により、Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftなどの巨大テクノロジー企業や、世界各国の政府機関がAI技術の導入に積極的に取り組んでいます。
この潮流の中で、エヌビディアは半導体開発とAI向けソリューションの提供において業界の最前線に立っています。
近年、エヌビディアは単なるチップ開発会社から、AI向けサーバーの完成品や冷却システムまでを含めた総合的なソリューションを提供する「AIプラットフォーマー」へと進化を遂げており、多くの投資家がエヌビディアの決算に注目をしていました。
2024年8月28日現在、米国上場企業の時価総額ランキングでは、Appleに次ぐ第2位に位置しており、その存在感は日に日に増しています。
2024年度第2四半期決算の詳細分析
まずは決算発表後の市場反応について振り返りましょう。
決算発表後の時間外取引(日本時間9:00時点)では、エヌビディアの株価は116.91ドルまで下落し、6.93%のマイナスとなりました。
これは、市場の期待値が非常に高かったことを表しています。
なぜなら、エヌビディアの決算は決して悪くなかったからです。
主要財務指標
- 売上高:300.4億ドル(前四半期260.4億ドル、市場予想288.6億ドル)予想を大幅に上回り、前四半期比で15.4%増加
- 調整後EPS(1株当たり利益):0.68ドル(前四半期0.61ドル、市場予想0.64ドル)予想を上回り、前四半期比で11.5%増加
- 調整後粗利益率:75.7%(前四半期78.9%、市場予想75.5%)わずかに予想を上回ったものの、前四半期から低下
- 調整後営業経費:27.9億ドル(前四半期25.0億ドル、市場予想28.1億ドル)市場予想とほぼ一致、事業拡大に伴い増加
このように主要財務項目は、ほぼ予想を超えるもしくは予想通りとの内容でした。
この内容で大きく株価を下げるのは、いかにエヌビディアの決算の期待値が高かったことを表しているでしょう。
主要財務項目以外のその他の注目ポイントについてもまとめました。
- R&D(研究開発)費用:30.9億ドル(市場予想30.8億ドル)継続的な技術革新への投資を示す
- フリーキャッシュフロー:135.1億ドル(前四半期149.8億ドル、市場予想135.7億ドル)わずかに予想を下回ったものの、依然として高水準を維持
- 500億ドルの追加自社株買いを承認。株主還元への強いコミットメントを示す
次世代チップ・プラットフォーム「ブラックウェル」が今後の鍵となるかも?
エヌビディアは、次世代チップ・プラットフォーム「ブラックウェル」の生産上の問題に対処しています。
このプラットフォームは、2080億個のトランジスタを搭載するGPUで、従来品と比較してコストとエネルギー消費を25分の1に抑えることが可能です。
同社は、2024年11月-2025年1月期には「ブラックウェル」から「数十億ドル」の売上高がもたらされると予測しています。
2025年度第3四半期(8-10月期)の見通し
同時に、2025年第3四半期の見通しについてもエヌビディアは発表をしました。資料項目について見ていきましょう。
- 売上高:325億ドル±2%(市場予想318.5億ドル)予想を上回る見通しを示すも、成長率の鈍化を示唆
- 調整後粗利益率:74.5~75.5%(市場予想75.0%)
- 中間値が市場予想と一致し、高水準の利益率維持を予測
- 調整後営業経費:30.0億ドル(市場予想29.8億ドル)予想とほぼ一致し、費用管理の継続を示唆
このように非常に良い内容を発表していますが、市場の予想が高すぎてなかなか追いつけていない状況です。
しかし、冷静に考えれば、決算内容やその後見通しも極めて良いため、今後も順調に株価は上昇するのではないでしょうか?
現在のエヌビディアのまとめと今後について
エヌビディアは、人工知能(AI)や機械学習に不可欠なGPUの主要メーカーとして、近年急速な成長を遂げています。2023年から2024年にかけて、AIブームの到来とともに同社の株価は劇的に上昇しました。
2023年初頭には約150ドル前後だった株価は、2024年3月には約900ドルまで上昇し、時価総額は2兆ドルを突破しました。
この急激な株価上昇は、AIの進化と普及に伴うGPU需要の爆発的な増加を反映しています。
特に、大規模言語モデル(LLM)の学習や推論に必要な高性能GPUの需要が、エヌビディアの業績を大きく押し上げました。
2023年度の業績を見ると、売上高は前年比126%増の608億ドル、純利益は前年比581%増の296億ドルと、驚異的な成長を記録しました。
この成長の主な要因は、データセンター向けGPUの売上高が前年比217%増の478億ドルに達したことです。
しかし、この急激な株価上昇に伴い、エヌビディアの株価が過大評価されているのではないかという懸念も出ています。
PER(株価収益率)は約60倍と高水準にあり、今後の成長期待が既に株価に織り込まれているという見方もあります。
今後のエヌビディアの展望については、以下の点が注目されています。
- AI市場の継続的な拡大
- 競合他社の台頭
- 地政学的リスク
- 新製品の開発
- エッジAIへの展開
エヌビディアの株価が今後も上昇を続けるかどうかは、これらの要因に大きく依存します。
AIブームが一時的なものではなく、持続的な技術革新と市場拡大をもたらすかどうかが、投資家たちの注目点となっています。
一方で、株価が既に高水準にあることから、今後は業績の伸びと比較して株価の上昇ペースが鈍化する可能性も指摘されています。
しかし、AIの発展が社会に与える影響の大きさを考えると、長期的にはエヌビディアの成長が継続する可能性は高いといえるでしょう。