9月6日発表の雇用統計の内容について徹底解説!

コラム

From:編集部 黒木

米労働省が9月6日に発表した8月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が14万2000人増加しました。(予想は16万人増)11万4000人増から8万9000人増に下方修正された7月を上回る力強い伸びを示しました。

失業率は4.3%から4.2%(予想も4.2%)に低下しました。

このように内容は決して悪くなかったですが、当日のアメリカ株は大きく下落をしました。

この記事では雇用統計の結果が悪くなかったにもかかわらず、大きく株価が下落した理由や、そもそも雇用統計とは何かについて解説をします。

そもそも雇用統計とは

アメリカの雇用統計とは、アメリカ労働統計局が毎月発表している雇用状況報告のことです。

この報告書は通称「雇用統計」と呼ばれ、金融市場に大きな影響を与える重要な経済指標の一つです。

雇用統計の主な内容は、以下の通りになります。

非農業部門雇用者数

前月比での雇用者数の増減を示します。数ある雇用統計の内容の中でも失業率と並んで非常に注目されているので、必ずチェックするようにしましょう。

失業率

労働力人口に占める失業者の割合を示します。こちらも非農業部門雇用者数と並んで非常に注目されている数値です。

平均時給

賃金の動向を示し、インフレ圧力の指標としても使われます。

労働参加率

16歳以上の人口のうち、労働力人口(就業者+失業者)の割合を示します。

産業別雇用者数

各産業セクターごとの雇用状況の変化を示します。

これらの指標は、アメリカ経済の状況を評価する上で重要な役割を果たし、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定にも大きな影響を与えます。​​​​​​

9月6日の雇用統計は、決して悪くなかった!しかし株価は大幅下落。

今回の雇用統計は非常に注目をされていました。なぜなら、8月に発表された7月の雇用統計の内容があまりにも悪かったからです。

今回も非常に悪い内容を予測しているアナリストも多かったですが、結果は決して悪いものではありませんでした。

事実雇用統計発表後、先物の株価は順調にマイナスから戻していたのです。

しかし、マーケットが開くと大きく株価は下落しました。

理由は3つあります。

  • 根強いアメリカの景気後退
  • 0.5%の利下げが後退し金利の上昇
  • 半導体株の不安定さ

それぞれの理由についてわかりやすく解説をします。

根強いアメリカの景気後退

今回の雇用統計は決して悪くありませんでしたが、現在世界中でアメリカの景気後退が懸念されています。

ソフトランディングするとの予想が大半ではありますが、予想以上に経済の状況が悪く、ハードランディングするとの予測も出てきました。

景気交代が深刻だと当然ですが、株価は大きく下落するので、その懸念が今回の株価下落につながったといえるでしょう。

0.5%の利下げが後退し金利の上昇

今回の雇用統計が市場予想よりもそれほど悪くなかったため、当初予定通りの0.25%の利下げに収まりそうです。

しかし、一部では0.5%の利下げを期待していたため、市場金利は上昇をしました。

金利の上昇は株価にとっては悪影響になるため、今回大幅な株安となったのでしょう。

半導体株の不安定さ

ここ数年エヌビディアを始めとする半導体株がアメリカ経済を引っ張ってきました。

しかし、ここに来てエヌメディアが反トラスト法で訴えられる可能性があるなど陰りを見せています。

もちろん、AI技術に欠かせない半導体株は長期目線で見れば上昇する可能性がありますが、今は調整局面に来ているのかもしれません。

株価牽引の立役者である半導体株に不安定差が出てきたのも株価が下落した大きな要因になるでしょう。

今後の日本株と米国株の予想

今回の雇用統計を受けて、今後日本株と米国株はどのように動くのでしょうか。

日本株については、日本銀行の金融政策の影響で大きく上下しています。

今後も利上げのタイミングによっては大きく下落する可能性もありそうです。

しかし、日本企業の業績自体は非常に好調であり、為替も140円台まで調整したとは言え、まだまだ円安の水準になります。

業績自体に注目をされる相場になれば、日本株については今後大きな上昇が期待できそうです。

米国株についても、企業業績自体は非常に好調です。

先日発表されたエヌビディアの決算も決して悪くなく、むしろ良い決算内容でした。にもかかわらず、大きく下落をしたのは記憶に新しいところでしょう。

今後についても生成AIの対応などを見ると、半導体の需要は強そうです。

短期的には大きく上昇した反動で調整する可能性がありますが、長期目線で保有するには大きな上昇が期待できるのではないでしょうか?

ただし、日本株と米国株、どちらもレバレッジをかけての長期保有は危険です。あくまで現物株での取引をして長期で見るのが良いでしょう。

まとめ

今回は9月6日に発表された雇用統計の内容とその後の株価について予想をしました。

雇用統計の内容は決して悪くなかったですが、その日のアメリカ株は大きく下落をしています。日本の先物も同様です。

しかし、今後については、企業業績が日本、アメリカともに非常に好調なので、業績相場になればどちらの株も上昇が期待できる状況でしょう。

むしろ調整している今、購入する絶好のチャンスといえるかもしれません。