アマゾン・アルファベット(グーグル)の決算を分析!

コラム

From:編集部 小早川

今回は前回の記事に引き続きアマゾンとアルファベットの決算を徹底的に分析をしました。わかりやすく分析をしていますので、ぜひ株式投資の参考にしてください。

アマゾンの決算

決算期売上高営業益税引前益最終益修正1株益1株配発表日
2020.12386,06422,89924,17821,3312.0902021-02-03
2021.12469,82224,87938,15133,3643.2402022-02-04
2022.12513,98312,248-5,936-2,722-0.2702023-02-02
2023.12574,78536,85237,55730,4252.902024-02-01
2024.12637,95968,59368,61459,2485.532025-02-06
前期比1186.182.794.790.7(%)

アマゾンは今年、約1000億ドル(約15兆1600億円)という大規模な投資を計画しています。

この投資の大部分は、データセンターや自社製半導体、AI関連サービスの設備に向けられる予定です。

しかし、このような積極的な投資にもかかわらず、クラウドコンピューティング部門では設備能力(キャパシティー)の制約に直面する可能性があることが明らかになっています。

アンディ・ジャシーCEOは、クラウドコンピューティングサービスでの優位性を保つため、多額の投資を続けています。

ただし、ハードウェアの調達の遅れや電力不足に関連して、キャパシティーの問題が発生する可能性があることを示唆し、成長は「不均一」になるとの見方を示しています。

2023年10-12月期の決算発表の電話会議で、ジャシーCEOは「キャパシティーに関する制約がなければ、より速い成長が可能だったことは確かです」と語っています。

なお、このキャパシティーに関する懸念は、競合のマイクロソフトも先週の決算発表で同様の指摘をしています。

クラウド部門のアマゾンウェブサービス(AWS)については、新しいデータセンターのオンライン提供能力が、外部および自社の半導体供給と電力容量の不足により制限されている状況です。

ただし、ジャシーCEOは、これらの制約は2025年後半には緩和される見通しを示しています。

10-12月期の資本支出は263億ドルに達し、その大半はAWS内のAI関連プロジェクトに投資されています。2025年も同様の投資比率を維持する方針です。

業績面では、AWS部門の売上高は前年同期比19%増の288億ドルとなり、アナリストの予測と一致しています。この19%の成長率は3四半期連続で維持されており、営業利益は106億ドルと、予想平均の101億ドルを上回っています。

調査会社イーマーケターのアナリスト、スカイ・カナベス氏は「AWSの成長は予想されたほどの加速を見せず、第3四半期と同じ伸び率にとどまっています。

これは、グーグルやマイクロソフトと同様に、アマゾンもキャパシティーの制約に直面していることを示しています」と分析しています。

2024年1-3月期の見通しについては、営業利益を140億-180億ドル(約2兆1200億-2兆7300億円)と予想しています。

これは、アナリスト予想平均の182億ドルを下回っています。売上高は最大1555億ドルを見込んでいますが、こちらもアナリスト予想平均の1586億ドルを下回っています。

なお、2023年10-12月期の全社業績としては、総売上高が10%増の1878億ドル、営業利益は212億ドルとなり、アナリスト予想平均の188億ドルを上回る結果となっています。

営業費用総額は6.2%増の1666億ドルとなり、売上高の伸びが費用の伸びを上回る状態が8四半期連続で続いています。​​​​​​​​​​​​​​​​

アルファベットの決算

決算期売上高営業益税引前益最終益修正1株益1株配発表日
2023.1286,31023,69724,41220,6871.6402024-01-30
2024.0380,53925,47228,31523,6621.890.22024-04-25
2024.0684,74227,42527,55123,6191.890.22024-07-23
2024.0988,26828,52131,70626,3012.120.22024-10-29
2024.1296,46930,97232,24326,5362.150.22025-02-04
前期比11.830.732.128.331.1(%)

アルファベットの決算発表では、クラウド事業の成長鈍化が業績に影響を与え、売上高がアナリスト予想を下回る結果となりました。

この発表を受けて、株価は時間外取引で一時8%を超える下落を記録しています。

具体的な数字を見ていきますと、パートナーへの支払いを除いた売上高は816億ドル(約12兆6000億円)となり、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均の828億ドルを下回っています。

2025年の設備投資計画については750億ドルを見込んでおり、これはアナリスト予想の579億ドルを大幅に上回っています。この投資はデータセンターとAI向けインフラ構築に関連するもので、この発表を受けて半導体大手ブロードコムの株価は6%以上上昇しています。

クラウド部門に関しては、スタートアップ企業のコンピューティング需要増加によりAIブームの恩恵を受けていましたが、2024年10-12月期の売上高は約120億ドルと市場予想を下回る結果となりました。

グーグル・クラウドは、アマゾンやマイクロソフトと比べると依然として規模で後れを取っている状況です。

株価動向については、時間外取引で一時189.40ドルまで下落し、通常取引終値の206.38ドルを大きく下回っています。

一株当たりの純利益は2.15ドルとなり、市場予想の2.13ドルとほぼ一致しています。

主力の検索広告収入は540億ドルで、アナリスト予想をわずかに上回りました。

ただし、グーグルは長年保持してきた市場での圧倒的優位性に対し、AI分野での競争激化と独占禁止法に関する問題という二つの課題に直面しています。

動画配信サービスのユーチューブ部門は好調で、売上高は105億ドルとアナリスト予想の102億ドルを上回っています。

フィリップ・シンドラーCBOは投資家向け電話会見で、ポッドキャストへの早期投資が成功を収めたことや、米国の選挙関連で与野党からの広告支出が増加したことを成長要因として挙げています。

一方、自動運転車事業のウェイモや生命科学事業のベリリーなどを含むアザー・ベッツ部門の売上高は4億ドルにとどまり、市場予想の5億9200万ドルを下回る結果となっています。