自民党総裁選2ndラウンド。投資家目線で見る理想と現実。

コラム

テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。

9月相場がはじましたが、雰囲気がガラッと変わって重い展開が続きます。

あれだけ強かった米国株も下落しており、今週のS&Pは4日続落で、ナスダックも下落中。特に半導体が弱くて、日本も米国も大きく下げる展開が続きます。

こちらがS&Pの直近1ヶ月のチャートですが、月初から急落しています。

同じく日経平均の直近1ヶ月のチャートを見ても、同じく月初から急落しています。

今日時点ですでに日経平均先物が35,000円台まで急落しており、明日の日本市場も重い展開が予想されます。9月相場は本来弱いもので、かつ今月は今後の相場を見る上で重要なS級イベントも続くことから、難しい相場になります。

来週は米国のインフレに関する経済データが出ますし、10日火曜はトランプvsハリスの大統領選挙の討論会もあります。日本の総裁選も盛り上がってきてるので、今日は前回の続きを書きます。

前回の記事はこちら。
自民党総裁選挙2024ファーストラウンド。

総裁選、どうなる?

たくさんの立候補者がいますが、12日に告示、27日に投開票となっています。

日テレニュースによると現状はこんな調査になっているようで、

※出典:日テレニュース

他の野党が弱過ぎなこともあり、自民党の総理=日本の総理大臣となりますから、今回の選挙が事実上、日本のリーダーを決めることになります。

「誰がなっても一緒」と考えたくなる気持ちもわかりますし、確かにそうなのですが、でもそれを言っちゃ話が進まないので笑、今日は「投資家目線で見たときにどうなのか?」ということで見ていきましょう。

まず、よほどのことがない限り、この順位のように石破さん、小泉さん、高市さんの争いなると思います。それを追うように河野さん、大穴でコバホーク(小林さん)かなと。

そして、前提として、自民党には2人のキングメーカーがいます。それが麻生さんと菅さんなのですが、ここがバチバチに水面下で戦っています。

出典:産経新聞

この中で最も若く、世間からのイメージも良いのは小泉さんですね。お父さんは「自民党をぶっ壊す!」の小泉純一郎です。先ほどの日テレニュースでは小泉さんが2位でしたが、先日ついに総裁選に名乗りをあげたことからおそらく今の1位は小泉さんだと思います。

そして2位につけているのが石破さんなのですが、そもそも小泉&石破だと菅さんチームでワンツーフィニッシュされるので、キングメーカーの麻生さんからしたら困ります。

その麻生さんは、現時点では河野さんを推していますが、河野さんは自民党内でもあまり支持されておらず、また国民を見ても河野さんの中国寄りなスタンスが好まれておらずで、小泉さんの人気には勝てないでしょう。そしてこのままなら石破さんにも負けてしまいそうです。

自民党のボスとして君臨し、絶大な影響力を持つ麻生財閥のドン、麻生太郎氏。もし今の流れのままだと影響力が弱まることは必至で、なので水面下では誰が誰を支持するのかでバチバチやり合ってるわけですね。

反対に菅さんからしたら、このまま小泉&石破がワンツーフィニッシュしてくれたら、自分の影響力はさらに大きくなりますから、現段階では菅さんチームがやや優位ってところですね。

投資家目線で見るとどうなる?

思想やイデオロギーはちょっと横に置いて、私たち投資家/トレーダー目線で見ると、どうでしょうか?

小泉進次郎氏の場合

小泉さんはネットでも進次郎構文と言われるほど謎のメッセージを発する人で、シンプルに言えば「当たり前のことを、なんかスゴいこと言ってるように表現する」または「何かを言ってるようで何も言ってない」ということなのですが、

「今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っています」

みたいなことをドヤ顔で言ったり、はたまた

「気候変動のような大きな問題は楽しく、クールで、セクシーに取り組むべき」

みたいにふわっと抽象的なことが多いです。

岸田さんも「新しい資本主義」と言ってた割には、それがなんだったのか結局誰もわからないまま終わってしまいましたが、そうゆう意味では岸田さん以上の軽さ、いや過去の総理候補史上、”最軽量級”と言えるのが小泉さんでしょう。

今回も出馬を発表されましたが、目立った発言としては「夫婦別姓」と「解雇規制」で、

出典:産経新聞

確かにこれも賛否分かれるところですが、正直、妻の滝川クリステルさんがそのままの名前で活躍されていることからも分かるように、夫婦別姓はそんなに問題ではなくて、国民もそこまで関心がないんですよ。

それよりもっと大事なことがあって、経済・金融政策をどうするのか、そして外交問題をどう考えているのか、この2点をもっと知りたいのですが、本人がそこまでわかっているのか全くわかってないのか、いまいち見えてこないです。

解雇規制は私も賛成で、1人1人の給料をもっと上げるには、今の厳しすぎる規制を緩めた方がいいと思っています。雇用する側も簡単にクビを切れる、就労する側も給料を上げてくれないなら他社にすぐ移れる、となった方がいいと思います。なのでこれは賛成。

石破茂氏の場合

次に石破さんですが、先日「金融所得の課税を強化」と言ってたように、基本的に投資家目線ではネガティブです。

そもそも今年からNISAが新しくなって、税金面でメリットがあるから多くの人が投資を始めたり、金融の勉強を始めてるのに、なんで増税になるのか全く訳がわかりません。

出典:日経新聞

石破さんは防衛大臣を務めていたこともあって、防衛に関して発信されることも多く、それはいいと思うのですが、今後はもっと防衛費を上げていくにあたって社会保障費の増額を口にしたり、日本の財政を健全化するという財務省お得意のストーリーをまんまいく人なので、基本的に「利上げ」「増税」の人です。

なぜ石破さんが世論調査で人気なのかいつもわからないのですが、彼が総理になったら株は下がると思います。

安部さんからもめちゃくちゃ嫌われていて、絶対に石破はダメだと言ってた話はあまりにも有名ですし政治家からの支持がかなり低いです。なので、私は石破さんが総理になることはないのではと思っていますね。

高市早苗氏の場合

最後に高市さんですが、やはり投資家目線で見たら高市さんでしょう。

出典:日テレニュース

2021年の総裁選に出た時には安倍さんのアベノミクスをアップデートさせ、「サナエノミクス」として発表。

物価の安定的な目標である2%を達成するまで経済優先で、金融緩和してアクセルを吹かせていく戦略ですが、つまりそれは安倍さんがやってきたアベノミクス路線です。

前回のファーストラウンドでも書きましたが、私は米国の大統領がトランプになると思っているので、そうなれば米国は保守政治に戻ります。
米国大統領選挙2ndラウンド。トランプvsカマラハリス。

自民党は右から左までラインナップが揃っている”政局プラットフォーム”なので、いろんな人がいますが、高市さんはその中でも数少ない保守政治家です。よって、トランプとも話せるはず。

もしハリスが大統領になっても、お互い初めての女性総理・女性大統領なので、バランスとりながらうまくやってくれそうな気もします。

まとめ

ということで、ひとまずザクっと現状の総理候補3人を解説しました。

まとめると、

高市さんが総理になったら全力で株を買う。(金利↓|株↑)
石破さんが総理になったら全力で銀行に預金する。(金利↑
|株↓)

シンプルに言えばこれなのですが、小泉さんが総理になったらちょっとよくわかりません。きっとクールでセクシーな政策を出してくると思うのですが、本人もあまりわかってないと思うので、本人でなく周りのブレーンが出てきてわかりやすく解説してくれることを期待します。

ただ、面白いことに、そんなフワフワした”最軽量級”の小泉さんがやっぱり人気なんですよね。

それは米国も同じで、ハリスの言ってることも”進次郎構文”みたいなもので、

 「ウクライナは欧州にある国だ。ロシアという国の隣に存在する」

みたいな、一般の多くの米国人からしたら「は?」となっているのが現状で、なのでハリスはいまだに1回もインタビューもしておらず、カンペがある状態でしか人前に出てないんですよね。

というよりバイデンの時以上に、本人じゃない”誰か”がハンドリングしてるのが見え見えなので、それが一般的な知識・教養を持つ多くの米国民にあまり受け入れられてないんですよね。

来週9月10日に初めてトランプとハリスが討論会でバチバチにやり合うので、ほぼここで勝負が決まりそうな気がします。

でも多分、難しい経済金融政策とか、外交問題とか、そうゆうのは国民の多くは関心もなければ理解もできないのでしょう。そして、それは日本も米国も似たようなものなんだと思います。

なので、たとえ中身がなくてフワフワしていても、パッと見の印象で決まる勝負。それが選挙とも言えます。

そうゆう意味では「神輿は軽い方がいい」という言葉の通り、とりあえず小泉さんに首相になってもらって、自民党の支持率は爆上げにさせておいて、高市さんなどの経済政策に強いチームが日本経済を支えて、株価もぶち上げていってほしいと思いますね。間違って石破さんになったら株は下げると思うので、誰が総理になるか?しっかりと見届けましょう。