配当株の見つけ方(利回り・配当性向の見方)

コラム

編集部の小早川です。

株式投資を始めたばかりの方から、よくこんな質問をいただきます。

「初心者はどんな株から始めたらいいですか?」
「リスクが怖いので、安心して持てる株が知りたいです」

そんなときに私がよくおすすめするのが「配当株」です。

配当株とは、その名の通り「株を持っているだけで会社から配当金がもらえる株」のことです。値上がり益(キャピタルゲイン)を狙うトレードとは違い、株を保有している間にインカムゲイン(配当収入)が入るため、初心者でも取り組みやすいのが特徴です。

注意したいのが「利回りが高いからといって良い配当株とは限らない」という点です。表面上の数字だけを見て飛びつくと、思わぬ落とし穴が待っています。

そこで今回は、初心者でも失敗しない「配当株の見つけ方」を、利回りと配当性向という2つのポイントから解説していきます。

配当利回りとは?

まずは基本の「配当利回り」から確認しておきましょう。

配当利回り = 1株あたりの年間配当 ÷ 株価 × 100

という計算になるのですが、例えば株価が1,000円で、1株あたりの年間配当が50円なら、配当利回りは5%になります。銀行預金の利息が0.001%の時代に5%という数字は非常に魅力的ですよね。

ただし注意すべきは「利回りが高すぎる株は危険」ということです。

市場平均が2~3%の中で、7~8%以上の利回りを提示している企業には業績悪化や減配リスクが潜んでいるケースが少なくありません。

利回りは「投資妙味を見る目安」にはなりますが、それだけで判断してはいけないのです。

配当性向とは?

次に重要なのが「配当性向」です。

配当性向 = 当期純利益に対する配当の割合

と考えるのですが、例えば企業が100億円の利益を出して、そのうち30億円を配当に回した場合、配当性向は30%になります。

ここでもポイントは、配当性向が低すぎる(10%以下など)場合、「利益は出ているのに株主還元の姿勢が弱い」と見なされることがあります。一方で、配当性向が高すぎる(80~100%以上)場合は、ほとんどの利益を配当に回してしまっており、企業の成長投資や将来の安定性に不安が残ります。

初心者が安心して選ぶなら、30~50%程度を目安にすると良いでしょう。これくらいの配当性向であれば、株主還元もしっかりしつつ、会社の成長にも資金を回せているバランスの良い企業だと言えます。

増配・減配の履歴を見る

配当株を選ぶときにもう一つ大事なのが「配当の安定性」です。

単年度の利回りや配当性向だけを見ても、来年減配されてしまえば意味がありません。そこでチェックしておきたいのが「過去数年間の配当の推移」です。

・毎年少しずつ増配している会社
・少なくとも減配していない会社

こうした企業は株主還元の姿勢が強く、長期保有にも向いています。

逆に、急に配当が増えたり減ったりしている会社は要注意です。業績に安定性がなく、長期で保有すると不安定な収入になってしまうことがあります。

配当株の具体的な探し方

では、実際にどんな視点で配当株を探せば良いのでしょうか?

ここでも初心者向けに、シンプルな探し方を3つご紹介します。

1. 証券会社のスクリーニング機能を使う

証券会社の口座がある方は、まずは「スクリーニング機能」を試してみるのがおすすめです。

スクリーニングとは、条件を入力するとそれに合った銘柄を自動でリストアップしてくれる機能のことです。

例えば、こんな条件を入れてみましょう。

  • 配当利回り 3%以上
  • 配当性向 30~50%
  • 時価総額 1,000億円以上(規模が大きい会社の方が安定しやすい)

これだけでも「候補になる配当株一覧」が出てきます。リストアップされた銘柄の中から業種や知っている会社を選んで調べていくだけで、効率よく銘柄候補を探せます。

2. 高配当株ETFを見る

個別株の選定に自信がない場合は、「高配当株ETF」をチェックするのも有効です。

ETFとは上場投資信託のことで、投資家から集めた資金をまとめて運用会社が「一定のルール」で株式に投資してくれる仕組みです。

例えば日本株なら「日経高配当株50指数連動型ETF」や「MAXIS日本株高配当70 ETF」などが有名です。

ETFのメリットは、すでに運用会社が「利回りの高い株」「安定した企業」を組み入れてくれている点です。つまり、ETFの組入銘柄を一覧で見れば「プロが基準をもとに選んだ高配当株」が分かるわけです。

個別株を買うのが怖い人は、まずETFそのものを少額で買ってみるのも良いですし、「このETFに入っている銘柄を一つずつ調べていく」という使い方もできます。

3. 有名な高配当株ランキングから調べる

もう一つ、初心者でもすぐにできるのが「ランキングを参考にする方法」です。

ネット証券の特集ページや、雑誌(ダイヤモンドZAI、日経マネーなど)では、毎月のように「高配当株ランキング」が組まれています。そこには利回り上位銘柄がズラリと並んでいます。

ただし、ランキングに出ている「利回り5%以上」の銘柄の中には、業績が悪化していて株価が下がり、結果的に利回りだけが高く見えているケースも少なくありません。

そこで大事なのは「ランキングで気になった銘柄をそのまま買う」のではなく、必ず 配当性向過去の配当推移 を自分で確認することです。

ランキングはあくまで「入り口」。そこから一歩踏み込んで「なぜこの会社は高配当なのか?」を調べることが、初心者が失敗しないコツです。

【まとめ】利回り・性向・継続性で判断する

配当株は非常に取り組みやすい投資対象ですが、見るべきポイントを外すと「高配当株だと思ったら減配して大損した」ということにもなりかねません。

今回お伝えしたチェックポイントは3つです。

  1. 配当利回り:高すぎる利回りは危険
  2. 配当性向:30~50%が目安
  3. 増配・減配の履歴:安定して増配している会社が理想

この3つを押さえるだけでも、配当株選びの精度は格段に上がります。

私自身、トレードだけでなく配当株も組み合わせることで、精神的な安定感が増しました。トレードで利益が出ない時期でも、配当が口座に入ってくると「続けていて良かった」と感じられるのです。

この9月の権利確定のタイミングに、自分なりの配当株ポートフォリオを作ってみてください。小さな配当収入が積み重なり、やがて大きな安心につながっていくはずです。