【総裁選】小泉進次郎総理になったら注目の4銘柄

コラム

編集部の黒木です。

2025年10月4日に投開票が予定される自民党総裁選。

石破首相の退陣表明を受け、小泉進次郎氏(現農林水産大臣、44歳)が有力候補として急浮上しています。

9月の世論調査(共同通信)では、自民党支持層の24%が小泉氏を支持しトップに。2030年度までの「平均賃金100万円増」や「国内投資135兆円」といった政策を打ち出し、対抗馬の高市さんとの一騎打ちが予想されます。

そんな中、市場では「進次郎銘柄」が注目され、政策テーマである規制改革(ライドシェア解禁)、脱炭素・再生可能エネルギー、農業・地方創生に連動する銘柄などに関心が集まっています。

そこで本コラムでは、「改革」と「成長」をキーワードに4社をセレクト。それぞれの魅力、投資ポイント、リスクを分析します。

総裁選前の背景

小泉さんは2019年から21年の環境大臣時代、プラスチック資源循環促進法や再生可能エネルギー拡大を進めました。

2024年に就任した農林水産大臣時代では、JA改革やスマート農業を強調。2024年の総裁選では国会議員票136票(トップ)獲得も党員票の弱さで3位に終わり、石破総理が誕生した経緯があります。

小泉さんは「財政健全化と構造改革」を軸に、ライドシェア全面解禁、解雇規制緩和、リスキリング支援、こども保険導入、ESG投資推進を公約に掲げ、維新との連携(規制改革・大阪副都心構想)も示唆しています。

4銘柄:小泉進次郎関連の投資チャンス

今回はこちらの4社を取り上げます。

(1) DeNA(2432)
(2) 大和自動車交通
(3) レノバ(9519)
(4) 井関農機(6310)

それぞれ見ていきましょう。

(1) DeNA(2432):ライドシェアと地元支援の注目株

DeNAは、主力のゲーム事業とライブ配信事業を収益の柱としつつ、タクシー配車アプリ「GO」で日本のモビリティ市場に革命を起こしているIT企業です。

単なるゲーム会社ではなく、社会インフラとなり得る巨大な成長領域へ挑戦しており、主力のゲーム事業では、「ポケモンマスターズ EX」のような人気IPで安定した収益を上げています。また、ライブ配信アプリ「Pococha」は国内トップクラスの規模を誇り、こちらも安定した収益源として経営を支えています。

しかし、DeNAの強みはモビリティ事業にあります。子会社が運営するタクシー配-車アプリ「GO」は、全国45都道府県をカバーし、ダウンロード数は1,800万を超える圧倒的なNo.1プラットフォームへと成長。

今や多くの人にとってタクシーを呼ぶ際に使われる人気アプリになり、社会インフラとしての地位を確立しつつあります。

この「GO」の成功が、「ライドシェア全面解禁」という政策テーマと直結します。もし規制が緩和されれば、DeNAは既存の巨大な利用者基盤と全国の交通事業者とのネットワークをそのままライドシェア事業に転用できる有利なポジションにいます。

競合の参入も考えられますが、すでに築き上げたブランド力と運営ノウハウは高い参入障壁となるでしょう。個人ユーザーだけでなく、「GO BUSINESS」として法人向けにも展開しており、約8,600社以上が導入するなど、ビジネス利用でも着実にシェアを拡大しています。

ゲーム事業の浮き沈みもありますが、モビリティ事業は先行投資フェーズにありながらも着実に売上を伸ばしており、将来の収益柱としての期待が高まっています。

さらに、地元の神奈川とも縁が深く、小泉さんは横須賀ですが、熱烈なベイスターズファン。三浦大輔監督との近い関係も有名で、たびたびSNSにも登場します。

単なるテーマ株としてだけでなく、社会課題である「移動の最適化」を解決するグロース株としての側面も併せ持つ、注目の企業です。

(2) 大和自動車交通(9082):ライドシェアの本命

大和自動車交通は、1939年創業という長い歴史を持つ、日本のタクシー・ハイヤー業界を代表する名門企業です。

東京23区を主要な営業エリアとし、質の高いサービスでビジネス層や富裕層から厚い信頼を得ています。単なる老舗ではなく、業界の変革期においてしたたかに生き残る戦略を描く、注目の交通事業者です。

「ライドシェア」という言葉だけを聞くと、既存のタクシー会社には逆風のように思えますが、日本で議論されている「日本版ライドシェア」は、タクシー会社が運行管理の主体となるのが大きな特徴です。

ここで大和自動車交通の強みが活きてきます。ドライバーの教育、車両の整備、事故発生時の対応など、安全な移動サービスを提供するための体制がすでに確立されているのです。

ソニーグループなどが出資するタクシー配車アプリ「S.RIDE」の主要な提携事業者でもあり、DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応も進んでいます。

すでにライドシェア車両の配車を開始しており、規制改革の波に乗り遅れることなく事業を展開する準備ができています。

インバウンドの増加は、空港送迎ハイヤーなどの需要を押し上げており、収益にプラスの影響を与えています。

ライドシェア解禁という大きなテーマ性を持ちながらも、安定した事業基盤と資産を持つバリュー株としても存在感を発揮。小泉政権の誕生で規制改革が一気に進むようなら、そのポテンシャルが再評価される可能性を秘めた、注目の銘柄です。

(3) レノバ(9519):脱炭素・ESGの安定株

レノバは、化石燃料に頼らない新しいエネルギー社会の実現を目指す、日本を代表する再生可能エネルギー専門のデベロッパーです。

太陽光発電所の開発からキャリアをスタートし、現在では陸上・洋上風力、バイオマス、地熱といった多様な電源の開発を手掛ける、「脱炭素」時代の成長を牽引するフロントランナーと言えます。

強みは大規模な再生可能エネルギープロジェクトをゼロから立ち上げ、実現に導く「開発力」です。

発電所の建設には、土地の選定、地域住民との合意形成、複雑な許認可の取得、巨額の資金調達など、多くのハードルが存在します。レノバは、これらの困難なプロセスを乗り越え、数々の大規模案件を実現させてきた実績を持っています。

今後の成長が期待されるのが、洋上風力発電の分野です。日本は四方を海に囲まれており、洋上風力は将来の主力電源として政府も大きな期待を寄せています。

レノバは秋田県由利本荘市沖をはじめとする複数の大規模な洋上風力プロジェクトに事業者として参画しており、これが将来の収益を大きく押し上げる可能性があります。

環境大臣の経験を持つ小泉さんが総理に就任すれば、日本のGXがさらに加速すると思います。さらに関連投資への補助金拡充といった政策は、レノバの事業に直接的な追い風となります。

現在は大規模プロジェクトへの先行投資が続いていますが、開発した発電所が売電を開始することで段階的に拡大していくビジネスモデルのため、長期にわたる安定した収益が見込めます。

「脱炭素」という世界的なメガトレンドに乗る、日本の成長株の代表格と言っていいでしょう。

(4) 井関農機(6310):スマート農業の割安株

井関農機は、「ISEKI」ブランドで知られる、日本の農業を技術で支えてきた大手農業機械メーカーです。トラクターやコンバイン、田植え機といった基幹製品で高いシェアを誇り、国内の米作りには欠かせない存在です。

しかし、その本当の強みは、単なる機械メーカーに留まらず、日本の農業が直面する深刻な課題に「スマート農業」という解決策を提供するソリューション企業である点にあります。

日本の農業は、従事者の高齢化と後継者不足という待ったなしの課題を抱えています。この課題を解決する切り札として期待されているのが、ICTやロボット技術を活用した「スマート農業」です。井関農機は、この分野のリーディングカンパニーの一社です。

GPSを利用して人間が乗らなくても自動で畑を耕す「ロボットトラクター」や、ドローンが撮影した画像から作物の生育状況を分析し、肥料の量を最適化するシステムなど、最先端の技術が強みです。

これによって農作業の劇的な省力化と効率化を実現し、少ない人数でも大規模な農業経営も可能にします。

小泉さんはスマート農業の推進に非常に積極的で、食料安全保障の観点からもスマート農業への補助金拡充や導入支援といった政策をさらに強化する可能性が高いでしょう。

同社は国内の農家戸数の減少という構造的な問題を抱えつつ、高機能なスマート農機への買い替え需要や、海外事業の拡大によって安定した収益を確保しています。

特にアジア地域では、日本の高い稲作技術への関心が高く、同社の製品の輸出拡大が期待されます。

派手さはありませんが、日本の社会課題解決に不可欠な技術を持ち、政策的な後押しも期待できる、堅実な優良企業かと思います。

総裁選は10月4日です。

石破総理が退陣表明後、日経平均は4万4000円を突破し、小泉関連銘柄は平均15~25%上昇しました。

ここから選挙相場も本番ですが、もちろん他の銘柄も注目すべきものがいくつかあります。ぜひ今回解説した企業も参考までにご覧いただければと思います。

【免責事項】
この記事は、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。ご紹介した情報は政策の動向や市場環境によって変化する可能性があります。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。