【投資家目線で読み解く2025年参院選挙】第3話〜波乱の幕開け!参政党の勢いと選挙後のチャートの向こう側を考察〜

コラム

テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。

いよいよ今週末に迫った参院選挙。今回は、自民党・公明党の連立与党にとって正念場で、去年の衆院選挙で過半数を失い、政権運営が揺らいでいる中、今回は過半数維持が大きな焦点です。

特に全国32の「1人区」が勝敗を左右すると言われており、そこに参政党という新勢力が急浮上。レフトに振れすぎの自民党公明党に入れたくない岩盤保守の票が流れていると思われますが、「日本ファースト」論争で選挙戦は白熱しています。

すでにニュースなどでも報じれているように、今回は与党がかなり厳しい展開です。

投資家として気になるのは、自民党が大敗した場合の株価への影響です。そこで今回は選挙のポイントと経済への波及効果をわかりやすく解説します。

前回までの記事はこちら。

【投資家目線で読み解く2025年参院選挙】第1話~なぜ大事?3つの見どころ~

【投資家目線で読み解く2025年参院選挙】第2話〜選挙まで2週間!インフレ、国防、経済対策、移民、社会保障など各政党の動きをザクっと解説〜

参議院選挙の現状:過半数をめぐる厳しい戦い

まず、今回の選挙では定数250議席の半分、125議席の椅子をかけたバトル。

自民党・公明党は非改選議席の75議席に加えて、少なくとも50議席を獲得して過半数(125議席)を確保する必要があります。

カギとなるのは、全国32の「1人区」で、青森や山形など人口の少ない地域の1議席をめぐって与党と野党が直接対決する場所です。複数人区(東京や大阪など)では議席が分散しますが、1人区は勝者総取りです。

去年の衆院選挙では自民党が過半数を割り、少数与党として不安定な政権運営となっています。すでに支持率は節目ラインの30も割れました。

出典:NHK

これいまだに裏金問題など言ってる人もいますが、まったくそんなことは争点になっておらず、国内を見れば「減税or給付」で、国外を見れば「移民受入に賛成or反対」、あとは物価高対策や経済対策などが争点です。

出典:日経新聞

最近はテレビなどのオールドメディアと、SNSメディアとの温度差が大きくて、ネットには「自民党にうんざり」「経済停滞を何とかしてほしい」といった声が多いものの、オールドメディアはまったく逆。

今出ている予想通りの結果になれば、自民党は過去最低記録を更新しそうな勢いで、この選挙はまさに自民党の長期政権がまだ続くか、大きな転換点を迎えるかの分岐点です。

参政党の急伸:なぜ支持が広がっている?

今回の選挙で注目を集めているのが、参政党の勢いです。

Xや世論調査では、参政党が10議席以上を狙える勢いと報じられ、テレビ局のYouTubeや、リハックなどの政治経済メディアの動画再生もダントツで多いです。

「日本人ファースト」を掲げる参政党は、若者や保守層を中心に支持を広げており、今回はその背景を見ていきます。

そのためにはまず、これまで自民党一強が続いていた背景には、「岩盤保守」と呼ばれる支持者の存在がありました。彼らは安倍さんを指示しており、「日本を取り戻す!」というキャッチコピーなどからもわかるように、”日本ファースト”の人たちでした。

しかし、安倍さんが暗殺されてから岸田首相→石破首相と、ひたすらに左に寄っていきました。その極め付けがLGBT法案であり、今回の選択的夫婦別姓でした。

こうした動きから保守層の一部が自民党を見限り、離れていきました。そのタイミングで勢いが出たのが国民民主党で、「手取りを増やす」というわかりやすいキャッチコピーも相まって人気になりました。

でも、それは自民党から離れた岩盤支持者が流れたからですが、そのあとで山尾しおりさんや須藤元気さんなど擁立し、立憲民主党と変わらないな・・ということで、さらに行き場を失った岩盤支持者が参政党に流れていると思われます。

参政党は「日本の利益を守る」と、経済や社会の不安を訴求。特に移民政策への反対や国家アイデンティティの強調が保守層に響いています。経済不況やグローバル化への不満をストレートに代弁する姿勢がバズっており、支持を集めているのです。

安倍さんがメディアから袋叩きにあい、今はもう懐かしいモリカケ問題などもありました。なぜか日本をファーストで考えると叩かれるんですよ。かつては安倍さん、今はそれが参政党の神谷さんなわけです。

でもそれは米国ではトランプが差別主義者と叩かれているのと同じで、世界的な流れともいえます。

選挙が近くなり、「参政党はロシアの工作を受けている」などの陰謀もSNSでは飛び交い、でもそれが逆に結束力を高めることにもなってさらに勢いが伸びています。

左派の妨害と野党の足並みの乱れ

立憲民主党や国民民主党、参政党などの野党は、自民党を追い詰めるチャンスのはずですが、足並みが揃いません。

れいわの山本太郎さんは立憲を「旧民主党の残党」「自民党と変わらない」と批判し、消費税廃止を掲げて独自路線で戦っていますし、立憲民主党は国民民主党に寄っていますが、玉木さんがちょっと距離を置いています。

また、参政党とおなじ右派の日本保守党も少しずつ指示を伸ばしていますが、左派は参政党や保守党を「極右」と攻撃。

野党がこうして乱れるのは、政策やイデオロギーの違いです。立憲民主党は維新との連携で「穏健な改革」を目指すものの、共産党は「反資本主義」を掲げており、維新は共産党との連携を「ありえない」と拒否。

つまり、こうして見てみると、自民党公明党の与党が崩れているのは間違いなく、その受け皿となる政党が乱立している状況です。

でもこれは与党からすれば嬉しい話で、特に今回のポイントは1人区。与党候補1人に対して野党が複数候補を立てると票が分散するため、結果として与党が得をすることも考えられます。

「野党がバラバラじゃ、自民党が勝つだけ」という声があるのもわかりますね。

自民党大敗なら株価はどうなる?

私たちは投資家ですから、気になるのは自民党が大敗した場合の相場です。

2024年衆院選後、日経平均は一時1.5%上昇しましたが、参院選で自民党が過半数を失えば、先行きが読めないことから混乱することも考えられます。

過去の選挙相場を見ても、与党勝利→株高の流れが見られますが、野党勝利やねじれ国会では「政局不安で下落」となることも。

2007年参院選では自民党が37議席(改選60議席)で大敗、ねじれ国会に。日経平均は8.8%下落。政局不安と金融危機の影響が重なり、弱い相場になりました。

2010年参院選では民主党政権下で44議席(改選54議席)にとどまり、ねじれ継続。日経平均は約5%下落。

2016年参院選は自民党・公明党が69議席で勝利。アベノミクス期待で日経平均は10.3%上昇。安定政権が市場の追い風になりました。

2019年参院選では自民党・公明党が71議席で過半数維持。日経平均は小幅下落。米中貿易摩擦の影響が大きかったです。

自民党が過半数を失うと、2025年度予算の成立が遅れる可能性が出てきます。さらに勢いのある野党はばら撒き路線ですから、引き続き円安が続くことも考えられます。

円安は輸出企業によってプラスですが、輸入コスト上昇で小売や食品セクターにはマイナスです。円安による物価高も続きますね。

自民党大敗なら、短期的な下落リスクに備えて、キャッシュポジションを増やすのが賢明です。自民党の単独では政治を動かせないため、連立政権の形が見えてくるまでははっきりとした動きは見えないかもです。

勝負の日まであとちょっと。連休の真ん中が投票日ですから、投票結果と連立の行方を冷静に見定めましょう!