【損小利大】損切りルールを作る3ステップ

コラム

テクニカルアナリストの向川a.k.aチャートの向こう側です。

株の世界で一番難しいことは何だと思いますか?多くの人が「銘柄選び」や「エントリー」と答えるかもしれませんが、実際にはそうではありません。初心者から経験者まで共通して苦労するのは「損切り」です。

私自身、トレードを始めたばかりの頃は損切りができず、塩漬けにして資金を眠らせてしまうことが何度もありました。初年度はマイナス300万円です…。

「いつか戻るだろう」と希望だけ持ち、結局は大きな損失を抱えてしまう。これは誰もが通る道だと思います。

ですが、損切りは怖いものでも嫌なものでもありません。むしろ「長く相場に生き残るための保険」のようなものです。損切りをルール化してしまえば、感情に振り回されず、冷静にトレードを続けることができます。

今回は、初心者でもすぐに実践できる「損切りルールを作る3ステップ」をご紹介します。

ステップ1:許容損失を決める

まず大前提として、自分の資金の中で「1回のトレードでどれだけの損失を許容するか」を決める必要があります。

ここでやってはいけないのは「なんとなくこれくらいなら耐えられるだろう」と感覚で決めてしまうこと。感覚任せの損切りは必ずブレます。

もちろんテクニカルで判断するのも正しいのですが、その知識や技術がなければ難しいですよね。頭では分かっていても、いざ実際の損切りの場面になったら感情的になるのが人間のサガです。

なので、とにかく不安な方は「資金の◯%まで」と決めるのでいいと思います。例えば資金が100万円ある人なら、1回のトレードでの損失は最大2%、つまり2万円までと決めるとか、3%で3万円までと決めるのです。

3%であれば、3回連続で損失が出ても10%以下です。これならまだ挽回できますが、20%や30%、場合によっては50%以上減となれば、巻き返すのは簡単ではありません。

良い例:「資金の2%を超える損失は許さない」
悪い例:「とりあえず株価が10%下がったら損切りしよう」

この思考にならないように注意ですね。悪い例の損切りは、資金に対してリスクが大きすぎです。半導体株など値動きが激しい銘柄は平気で10%以上動いたりもしますが、「資金に対して何%」という考え方を先に持つことが大切です。

ステップ2:チャートで損切りラインを決める

次に「どの価格を割り込んだら損切りするのか」を具体的に決めます。

よくやってしまうのは「とにかく上がりそうだから買った」「下がりすぎたから売った」という感覚トレードです。これでは根拠が曖昧なので、いざというときに損切りできません。

チャートを使って、以下のような「根拠のあるライン」を事前に決めておきましょう。

ザクっとわかりやすく、
・直近の安値を割ったら損切り
・移動平均線を明確に下回ったら損切り

です。

例えば1,000円で買った株があったとして、直近の安値が950円なら「950円を割ったら撤退する」と決める。これを最初に決めておけば、迷いはかなり減ります。

大事なのは「必ず根拠を言葉で説明できる位置にする」ということです。「なんとなく」ではなく、「ここを割ったら上昇のシナリオが崩れるから撤退」と説明できることが損切りルールにつながります。

ステップ3:注文を事前に入れておく

3つ目は、最初から損切りの注文を入れておくことです。損切りは分かっていても、いざ価格が下がってきたときに「もう少し持っていれば戻るかも」と迷ってしまうのが人間です。私も昔は、何度もこれで痛い目を見ました。

なので、これはある意味「感情を排除する仕組み」を作ることとも言えます。決策はシンプルで、逆指値注文をあらかじめ入れておくことです。

楽天でもSBIでも逆指値注文ができます。たとえば1,000円で買ったら950円に逆指値を設定しておく。そうすれば株価が950円を下回った瞬間に自動で注文が入るので、これで「迷って塩漬け」という最悪の事態を防げます。

逆指値を入れる習慣をつけると損切りが“当たり前の行動”になり、慣れてくると「損切りした=正しい行動ができた」と自分を褒められるようになります。

もちろん自動でロスカットされた後に反発することもあり、その時「もったいないことをしたな…」と思うかもしれません。でもそれは結果論であり、もしさらにマイナスが膨らんだら悲惨です。

損切りは利確

損切り利確、と思うと、ちょっと考え方が変わるかもしれません。私が考える損切りができないデメリットは、「次のチャンスに乗れない」ことです。

100万円の資金のうち50万円を投資して塩漬けになったとします。すると、残り50万円全て投資できるわけではなく少額しか株を買えません。次のチャンスがあっても乗れないあまり、とれた利益が減ってしまうのです。

膨らむマイナス、得られた利益が逃げていく…。これが最も避けたいダブルパンチですね。

なので、損切りは早いくらいが理想です。いつだって逃げ足は早く。むしろ初動で波に乗れなかったとしたら(つまりエントリー後にすぐ逆行したら)、自分の判断が間違っていたと思って撤退も吉です。

まとめ:損切りは“守り”ではなく“攻め”の技術

今日は損切りについて書きました。

1:許容損失を資金の%で決める
2:チャートで根拠ある損切りラインを設定する
3:逆指値注文を事前に入れる

この3つを徹底すれば、「損切りできない」という悩みは解消されます。

先ほど書いたように損切りは負けではありません。損切りは「次のチャンスに資金を残すための攻めの技術」です。ち続けるトレーダーは例外なく損切りがうまい。これは断言できます。私自身も、損切りを習慣化できるようになってから、安定して資金を増やせるようになりました。

今日からこの3ステップを自分のトレードに取り入れてみてください。最初は面倒に思うかもしれませんが、いずれ「損切りができる=自分はプロの一歩を踏み出した」と実感できるはずです。