
テクニカルアナリストの向川です。
今週の相場も終わりました。ざっと今週は調整の1週間で、米国も日本も重い相場になりました。特に米国は雇用の悪化から景気後退の懸念が再燃しており、さらにM7など主力企業の決算が終わったこともあって売りに押されています。
基本的にその国の経済的な強さを見る上で、「雇用」と「物価」を見るのですが、どちらも強かったら経済も強いですし、弱かったら経済も弱いと考えます。
もちろんこれも文脈が大事で、そもそも強い流れのなかで今月も強かったのか、それとも弱ってたのかによっても受け止め方が変わります。
でもここ最近のマーケットを見ていると、もうインフレは終わってますが、雇用がブレブレ。まだ米政府機関もクローズしているため、イヤな空気が漂ってますね。
日本株も下落しており、日経平均は5万円の攻防戦。そして今週まで決算が続いていましたが、ひとまず落ち着きました。今年最後のハイライトとなった相場ですが、ひとまずは無事に通過しましたね。
では、今日の相場を振り返りましょう。
【米国株】雇用の悪化が懸念されて3指数とも下落
昨日の米国株はハイテク中心に下落へ。
先ほどもあげたように、労働市場が弱っていることから「米国の景気、大丈夫?」という懸念が広がり、特にハイテクが売られてマーケット全体にリスクオフとなりました。
3指数とも序盤は上昇して始まりましたが、徐々に失速。特に中盤から後半にかけては売りが加速し、引け前は反発したものの大引けではまた売られました。
最終的にダウ平均は398ドル安の46,912で大引け、S&P500は75ポイント安の6,720。そしてハイテク中心のナスダックは445ポイント安の23,053で引けました。

市場の不安心理を表すVIXも一時は20台まで上昇し、黄色信号ゾーンに到達。利下げ観測が強まったことから米国債は上昇したものの、今の文脈は景気後退のイメージが強まった印象ですね。
ただ、ここ最近もAmazonが大量のレイオフを発表するなど、テック企業たちはどんどんと人員削減を進めています。この流れは世界的に起こっていて、日本でも同様の流れになるでしょうね。
もうAIが普及したらホワイトカラーの仕事は無くなっていくのです。加えて、トランプ政権が移民を帰らせていることも雇用悪化につながっています。
クリーブランド連銀総裁のハマック氏も「インフレは依然として高い」と発言するなど、いまだに物価上昇の懸念も残ります。
業種ごとで見てもエネルギー、ヘルスケアは上昇しており、全面安ではないですね。しかしハイテクやコミュニケーションサービスなどが下落しています。
個別株を見ても、エヌビディアやパランティア、クアルコムやAMDなどが下落。セールスフォースも急落しました。
一方でジョンソン・エンド・ジョンソンやJPモルガン、コカコーラなどは上昇しています。製薬会社のイーライ・リリーも続伸ですね。
日本株も弱い立ち上がりが懸念される中、今日の相場が始まりました。
【日本株】日経平均は大幅反落、5万円の攻防戦
今日の日経平均は359円安で寄り付き。
反落してスタートとなり、そのまま失速して行きました。そこからお昼にかけて売られ、前場の最後には5万円を割れるところまで下落。
後場に入っても流れは変わらずで、13時頃には今日の最安値まで下落した日経平均。そこから買い戻しの動きもあったものの大きくは動かず。しかし最後は大引けにかけて買いあがり、最終的には5万円台に復活しました。最終的には607円安の50,276円で大引けに。

今日の売買代金は6兆9948億円。非鉄金属、電気機器、機械などが下落して、サービスや海運、鉄鋼などが下落。プライム市場の値上がり銘柄は54%、値下がり銘柄は42%でした。
今日の値上がり寄与トップはリクルート。好決算から高騰しました。次いで中外製薬、ファストリでした。値下がり寄与トップはソフトバンクG、アドバンテスト、味の素となりました。
今日は下落したものの、値上がり銘柄は全体の5割を超え、総崩れではないです。
しかし、レーザーテックやディスコなど半導体が下落し、三菱重工やIHIなども下落。任天堂やフジクラも下落しています。
強かったのはキオクシア、ダイキン工業、ファストリ、良品計画。他にもKDDIやキッコーマンなども上昇しています。
今週の日経平均は3週間ぶりに反落となりました。ここ2週間で5,000円ほど上昇したので、この反落は当然のこととも言えます。むしろ下がるからまた上昇するわけで、ずっと上げ続けることはありません。
ここまでの半導体相場から少しずつ流れが変わりそうな、そんな空気感も感じるマーケット。まだ11月は始まったばかりですよ。
では、来週もいい波乗っていきましょう!

